みそ文

ナビの交替

 車のナビが新しくなった。これまで使っていたナビは今の車になる以前の車のときに購入し取り付けて使っていたもので今の車を購入した時にもナビだけそのまま付け替えてもらった。そのナビを購入したのは十年以上前のことで長年いろんなところに案内してもらった。

 西日本東日本それぞれの地図が入ったCD-Rを読み込ませるタイプだったのだが、今はもう当時の地図にはない新しい道があちこちにできていて、そういう新しい道を走るとナビ上の画面では道なき荒野を駆け抜けているような画像が示される。それでも目的地にはそれなりに近いところまで連れて行ってくれるし旅の道中が多少荒野でも実際の道路上の標識を見て進めばそれほど不便なこともなく頼りにしてきた。

 ときどきはナビのどこも触っていないのに画面が勝手に動いて現在地が野を越え山を越えしまいには海に飛び出してそのまま日本海を北へ北へと進んだり太平洋をどんどん南に走ったりすることもあったけれど通勤途中にそういうことがあっても通勤の道路はいつもと同じでナビの道案内は必要なく海の上をどこかへ突き進んでいても音楽はそれまで通り聴けるのでナビもどこか未知の世界に飛び出したいそんな気分になることもあるのだろうなくらいで放置して問題のないことだった。

 5月の連休の旅から帰ってきたときだったか、夫が「なにか音がする」と言う。音の発生しているところはどこだろうとあちこち探っていくとナビのCD-RやCDやDVDを入れるところから音がするとのこと。そこからナビのCD-Rを取り出すとカラカラというような異音は止まる。しかしCD-Rを取り出すと本格的な道案内をしてもらえなくなる。

 本格的でなくてもよければ、いったん地図CD-Rを入れた状態で行き先設定をしCD-Rを取り出すとメモリナビという簡易案内のナビが起動する。このメモリナビは画面の作りが簡易であるだけでなく音声もなんとなく偽物っぽい声色で『わたくし本物ではありませんので詳しいことはわかりません、一応案内はいたしますがそのつもりでよろしく』という雰囲気が漂う。

 私が訪れるようなところはそれでも十分に事足りるから別にいいやと思っていたのだが、夫は少し前からしきりに「新しいナビがほしいなあ」「そろそろ新しいナビにしたいよなあ」と言っていた。それが今回CD-Rを入れるとカラカラと異音がするようになり、その状態でどこかの百名山に行って帰ってみたら道中の不快がたまらなく不快に思え、彼が行きたいお山までの道をちゃんと知っているナビに変えたい、という思いが強くなったらしい。

 日曜日の午後に「今日ナビの交換に行ってくる。今度のナビは音楽CDを入れたらそのCDの内容をナビが記憶してくれるよ」と夫が言う。「そうなんだ。じゃあ、いつも私が車中で聴いているベートーヴェンの5番と7番のこのCDを持って行ってオートバックスからの帰りにCDを入れて録音しておいて。次に私が車に乗ったらこれまでどおりに聴けるように再生中の状態にしておいて」とCDを手渡すと夫は「わかった」と言って出かけた。

 オートバックスから帰ってきた夫が「新しいナビは画像がきれい」だと言う。「CDの録音はうまくできた?」と訊くと「録音していない」と言う。私が手渡したCDを彼は何故か持って行っておらず家に置いて行ったという。夫は「今度のナビはSDカードが中に入れてあってそのSDカードを持って帰ってパソコンにつないでCDのデータを入れてそのSDカードをナビに入れたら音楽が聴ける」と言う。

「そんな面倒くさい方法はいや。そんな方法じゃパソコンのない人はこまるじゃん。パソコンなんかなくても車中のナビとCDさえあれば録音できることなのに」と私が異を唱えると夫は「そういう方法もあるよ、ということでそうしようというわけじゃない」と言う。

「まだご飯を作るのに時間がかかるから、持っていくのを忘れた(のか置いていったのかは不明)CDを車に持って行って録音してきてよ」
「これから?」
「うん、これから。今のままじゃ次に私が車に乗った時に交響曲鳴らないでしょ。どうやらくんがナビを新しくすることには反対しないけど私は賛成の立場でもないの。私にとってだいじなのは日々運転の時に聴いている音楽がそのまま聴けることだから。それが失われるなら古いナビでこれまでどおりの音楽が聴けるほうがいい」
「わかった。行ってくる」

 そう行って夫は車に行ったがしばらくすると戻ってきて「CDを一度全部流さないと全曲録音できない」と言う。「そんなわけないと思うよ」と答えるがとりあえず夕食の支度ができたから食事をする。夫に「私が頼んだことが私にとってそれほどだいじなことだとは思っていなかったのかな」と尋ねる。夫は食事中なのに「そんなに言うなら今から行ってくる」と立ち上がろうとするが「食事を先にしよう」と制する。「CD1枚全部終わるまでおれ車の中におらんといけんのん?」と夫が言う。「録音そのものはそんなに時間かからないと思うよ」「どれくらい?」「さあ、もともとのCDの音質と録音側の音質設定にもよるんだろうけど、ちゃらい音質ならCD1枚で3分から5分、いい音質なら7分から10分くらいかな、パソコンに取り込むときのかんじは」

 夫は私からの依頼を軽んじた後ろめたさがあるからなのかそそくさと食事を終えるとCDを持って駐車場に行く。10分から15分弱程度で戻ってきて「3分では済まんかった」と言う。「でもずっと全部聴かなくても録音できたでしょ。オートバックスからうちまでが15分くらいだから帰りにCDを入れてくれたらそれでうちに着くまでに録音済んでたはずなんだけど」

 夫は自分の山へのナビ案内を新しくすることだけに夢中で私が日々の音楽環境に強いこだわりを持っていることには重きを置いていなかったのであろう。CDの録音は来週にでも気が向いたときにすればいいことでそれより早く聴きたいならみそきちが自分で録音すればいいことだと思っていたのかしらと言うと夫は「そのとおりです、すんません、わるうございました」と言う。夫には「私がCDを手渡して頼んだのにそのCDを置いて行くことも録音作業を来週以降に後回しにしようとすることもどちらも私のことや私がだいじに思っていることを蔑ろにしていることだと私には感じられてたいへんに残念な気持ちになることなんだよ」と伝える。

 夫が日曜日の夕食後に車の中で録音してくれた交響曲を次の出勤の時に聴くとこれまでのナビでMDで聴いていたものよりもこれまでのナビでCDで聴いていたものよりもずっとずっと音がきれい。夫が録音作業している間に私は新しいナビの取扱説明書のオーディオ部門を熟読した。それによると初期設定の標準音質録音よりもさらに高音質の録音ができ再生するときにも音の聴こえ方や臨場感を好みに設定できるという。

 夫がナビを付け替えてから一週間経った日曜に二人で野菜レストランにお昼ごはんを食べに行く。夫に運転してもらい、私は助手席でナビのオーディオ設定を行う。まず初期設定ではCDを挿入するととりあえずなんでもかんでも記憶していないものに関しては自動録音を開始するようになっているのを取りやめて手動で録音開始したときだけ録音するように設定する。録音音質を標準設定から高音質設定に変更する。一週間車の中で聴いていた交響曲をいったん消去する。持ってきたCDを入れる。録音を開始する。うちから野菜レストランに行くまでの半分くらいの時間(6分程度)で録音は終了する。オーディオを再生するときの音質や臨場感の設定をする。低音を強化するとティンパニやコントラバスがドスドスと響いてきてそれはそれで聴き応えがあるが長時間聴き続けるには向いていないかんじなので「聴き疲れしにくいナチュラル設定」というのを選ぶ。

 夫が「なにこれ今まで聴いていたのと全然ちがう。いや、ちがわんけど、これまで聴こえてなかった音が聴こえる。バイオリンの音に厚みと奥行きがある。バイオリンは弦で音を出してるんじゃなくてあの木のボディから音が出てきてるのがすごくよくわかる」と言う。

 そういうわけで新しいナビの道案内機能にはまだ私はお世話になっていないけれど、オーディオとはすっかり仲良くなった。このオーディオがあれば長時間の移動もぐんとたのしくなりそう。そして私は車の中でテレビを見る習慣も欲求もないのでこれまでのナビでは一度もテレビ機能やDVD再生機能を使ったことがなかったのだけど、今度のナビはドラマの音響や効果音を強化してダイナミックな迫力を味わえるような音を出す設定もあるらしいので、画面を見る目的ではなくドラマの音響を愉しむ目的で清盛のDVDを入れて聴いてみると自宅のテレビで再生して視聴するときとはまたちがう味わいがあるかもしれない。今度の夏の帰省のときのおたのしみおたのしみ。     押し葉

運動選手を応援する

 4月の後半に約1週間、夫は出張でアメリカ合衆国に行った。出張から帰ってきた翌日4月29日は祝日だったが夫の勤務先は日常の出勤日で夫もふつうに出勤した。翌日4月30日からはふたりで旅に出かける。

 旅の高速道路の道中で夫が「今回の出張で成田で乗り換えた時に山口茜選手に会った、バドミントン選手の」と言う。私は「名前までは知らないけどもしかすると私そのひとのこと知ってるかも。職場に貼ってあるポスターで見たことがある気がするの。ええと、どちらかというと小柄で体格のしっかりとしたショートカットの女子選手?」と問うと夫は「そうそうそのひとそのひと」と言う。

「でもどうやらくんはなんで成田で遭遇したそのひとがその選手だってわかったん?」
「いかにもバドミントン選手が遠征で移動中なかんじの服装だったし、まえにタウン誌かなにかで見たことのある写真とおなじ顔だったし」
「そうか、あのポスターの選手は地元の方だから今度の国体開催関係のポスターに起用されていたのね。それにしてもそれだけでそのひとだと特定できるなんてすごいねえ。私だったらきっとぜったいになあんにも気づくことなく素通りしてると思う」
「で、とっさに声かけて『山口茜選手、ですよね。僕も福井から来たんです。応援しています。握手してください』って言って握手してもらった」
「人違いじゃなかったんだ。それとも本当は人違いだけど『あー、よくそのひとと間違えられるんだよなー』と思いながらも握手してくれちゃったんかな」
「ちがうって。ちゃんと本人だったはず。でも『応援してます』って言いながら『あー、おれ、いま、嘘はついていないけど、これまでずっと熱心に応援してきたかというと全然そういうわけじゃないよなー、でも応援していないかっていうとそんなことはないから別に応援してますって言っても嘘じゃないよな』ってすごく葛藤した」
「大丈夫大丈夫それは嘘じゃないしそこで『特別応援しているわけではないんですけど握手してください』って言うよりはよっぽど失礼がなくて声をかけたからには適切な日本語表現だと思うよ。それにしても私がバドミントンの選手のことを知ってるなんてめずらしいじゃろ」
「うん、知っとるとは思わんかった、この話も、ふうん、で終わるかと思っとった」
「じゃろ。私の勤務先のトイレに貼ってある国体関係のポスターに女子バドミントン選手の写真がついてて、まえまえからこの方はどなたなのかしら、と思ってたの」
「うん、国体にももちろん出るやろう。でも、おれ、本人にそんなことよう言わんわ、『応援してます、うちの妻の職場のトイレにあなたのポスターが貼ってあるんです』だなんて」
「いや、そんなこと言う必要ないし実際全然言うてないやん。それに私の勤務先全店でトイレに貼ってあるわけじゃないのよ、ふつうになんかそのへんの壁にあんまりやる気のないかんじで貼ってあるところもあった気がする。あ、でも、ご本人には『やる気のないかんじで貼ってある』とかそんなことも言う必要ないよ。で、私が入るシフト先のうちの一個のお店はトイレが広くて快適でね、便座に座ったときにちょうど正面にそのポスターがゆったりと見えるから私の記憶にも残っていたの。でもそのポスターそのものは国体にむけてスポーツ関係のみなさんドーピングには注意しましょうね、スポーツファーマシストっていうドーピング知識に詳しい薬剤師のあたらしい資格もできましたから気になることがあったらスポーツファーマシストに相談してくださいね、って啓蒙するような内容で、そのバドミントン選手のことには細かく触れてなかったと思うなあ」

 旅から帰宅して数日後、夫が「応援してます、って言うたからにはプロフィールくらいは把握しておこうと思ってあのあとwebであちこち見たよ。名前も合っててよかったー、山口選手だとは思ったけど山崎だったが山田だったかうろ覚えだなーと思ってたからなー。この春高校を卒業して今は熊本の再春館製薬に就職したんだって」と教えてくれる。「実業団?」と訊くと「たぶんそうなんじゃないかな」と言う。ああ、じゃあ、どうやらくんとおなじ飛行機で成田に行って乗り換えたわけじゃなくて勤務先の熊本からの飛行機だったのかもしれないね。

 これで私も職場やどこかでまたあのポスターを目にしたら(今日の勤務先でも見てみたがやはりその選手の個人情報は名前もなんにもなにひとつポスターには記載されていなかった)そのポスターを見る限りにおいては「この方は山口茜選手、この春高校卒業後再春館製薬に入社してバドミントンを続けている」というデータが毎回脳内に打ち出されることだろう。しかし他の写真や映像や実物立体を見てもポスターのひとと同一人物だとは同定できない自信も満々。     押し葉

蒟蒻シャンプーさようなら

 以前ここで書いた「お誕生日のお祝いに」の蒟蒻キノコシャンプーをその後も夫はずっと愛用しており近年は夫の誕生日プレゼントはこれと決まっていた。今年ももうじき4月になり夫の誕生日がくるからそろそろ購入の手配をしましょうと販売会社のサイトに赴く。そして「舞健泉(まいたけせん)」の文字をいそいそとクリックする。するとそこには見慣れたシャンプーの写真は掲載されているものの「販売終了」の文字が。

 夫に「どうしよう。今年もプレゼントするつもりだった蒟蒻シャンプーが販売終了になってる」と伝える。夫は「製造も終了したということなんかな」と言う。どうなんだろう、と、シャンプー本体を持ってきて裏側の製造者を見る。販売者とは別ではあるのだけどwebで調べてみるとこのメーカーの製品を販売する部門が別部門として別会社の形になっているだけでどこか別の販売ルートがあるというわけではなさそう。

 いつもwebで購入していたのでここの販売店に電話をかけることはなかったがもしかするとなんらかの形でどこかで手に入る情報が得られるかもしれないし代替になる製品情報に出会えるかもしれない。メールで問い合わせる方法もあるけど今回は電話をしてみようと決めて電話する。結論からいえば在庫限りで販売終了となり既に在庫はなく再販の予定もなく製造も終了している、本当に本当にごめんなさい、ということだった。そうですか、たいへん残念ではありますが、これまでよい商品を提供してくださってありがとうございました、とお礼を述べて電話を切る。

 夫には「製造も終わったんだって」と伝える。夫が作った白菜と豚肉のミルフィーユ鍋で夕食を摂る。そういえばこの会社の製品で以前炭のシャンプーのサンプルをもらったことがあったかも、と思い出す。当時そのサンプルを使ってみたけれど蒟蒻キノコシャンプーの素晴らしさには及ばず採用しなかった気がする。蒟蒻キノコシャンプーは育毛効果も謳っているがなによりも頭皮を清浄にする効果が高くてこのシャンプーで洗うと数日経過しても頭の痒みを感じないという点を夫は高く評価している。実際に彼の抜け毛は随分減ったと思う。しかしもう存在しないものは求めても仕方がない。これはこれで我々になにか次のステージへ移行しなさいというお告げでもあろうから何か新しき佳きものとの出会いが近くに来ているのかもしれない。

 夕食を終えてからもう一度蒟蒻キノコシャンプーの販売会社に電話をかける。電話に出てきた方は先の電話でのオペレーターさんとは別の方。

「先ほどオペレーターのハセガワ様に担当していただいた者なのですが今一度ご相談したいことがありまして再度お電話差し上げました。登録電話番号を申し上げます」
「どうやらみそ様ですね。恐れ入りますがご本人確認のためにご住所を教えていただけますでしょうか。はい、ありがとうございます。どういったことでお電話いただきましたでしょうか」
「これまで愛用しておりました舞健泉スカルプシャンプーをwebで再度購入しようと思いましたところ販売終了と表示されていたものですからお電話を差し上げましてどこか別のところででも購入する方法はないものかとご相談いたしましたところハセガワ様からは既に在庫もなく販売も製造も終了しており再販の予定もないとのご案内をいただきましてそうですかとお礼を申し上げ先ほどの電話は終えました」
「そうでしたか。これまでご愛用くださいましたのに誠に申し訳ないことでございます」
「ええ、このシャンプーですと頭皮が痒くならずたいへん気持ちよく使えていたものですからとても残念ではあるのですが、今後舞健泉スカルプシャンプーの代わりとなるシャンプーをさがすにあたり、御社の炭ミネラルシャンプーのサンプルをいくつか送っていただくことができたらと思いまして」
「はい、かしこまりました。サンプルのご用意は可能です。ただお一人様につき2点のみという制限がございますので2回分のみのお送りとなりますがご了承いただけますでしょうか」
「はい、もちろんです、助かります」
「それではお送りするご住所は登録のご住所でよろしいですか」
「はい、お願いいたします」
「舞健泉のスカルプシャンプーは育毛効果が優れたシャンプーということで販売しておりましたが炭ミネラルシャンプーのほうにはそういった成分は含まれてはおりません。ですが頭皮をすっきりとケアするという意味ではたいへんおすすめの商品ですのでぜひお試しくださいませ」

 そういうわけで以前にもサンプルをもらって使ったことがあるかもしれないけれどどんな使い心地だったかの記憶が定かでないのでこのたびあらためて送ってもらう炭ミネラルシャンプーが届いたら使ってみよう、というか夫に使ってみてもらおう。そしていいようであれば今年の誕生日プレゼントは炭ミネラルシャンプーにしもうひとつであれば次なるよきシャンプーを求めて彷徨う旅路をともに歩む私の気概と勇気をプレゼントすることにしようか。     押し葉

いとしの桜餅

 我が家の居間にかけてあるカレンダーには毎月何かおいしそうな食べ物の写真がついている。1月はちらし寿司、2月はみかん、3月は桜餅。ついでに4月以降もめくってみると、4月は西京焼き、5月は和菓子の詰め合わせ、6月はさくらんぼ、7月はうなぎ、8月はメロン、9月は果物盛り合わせ、10月は土鍋で炊いた白米、11月はおでん、12月は蟹海老いくら帆立雲丹。

 3月になってからこのカレンダーの前を通るたびに『桜餅おいしそうだなー食べたいなー』と思っていた。そう思っただけで口に出したことはなかったのだけど、ある日夫がそのカレンダーを見ながら「桜餅おいしそうだなー食べたいなー」と声に出して言うから「うわーどうやらくんも? 私もずっとそう思ってた」と言いふたりで「おいしい桜餅食べたいね」と話す。

 何日かして夫が「うちの近くの安倍川餅のお店でも桜餅売ってるんだって」と言う。webを眺めていたら遭遇した情報らしい。じゃあじゃあ買ってみようよ、でもあそこは安倍川餅もお昼すぎて行くと売り切れててもうないことが多いから早いほうがいいよねきっと。

 日曜日には一週間分の食材買い出しに出かける(週の途中の木曜日に生協さんの配達はある)。たいていは午後になってから出かけるがこの日は朝10時過ぎに家を出て安倍川餅屋さんに立ち寄る。桜餅、ある。5個で650円。うわあ、なんてきれいな桜餅なんだろう、とうきうきわくわくした気持ちを抱えつつ車の中に桜餅を置いてスーパーでの食材買い出しに励む。

 帰宅して食材を片付けるところに片付け緑茶を用意する。袋から桜餅を取り出しただけでふわーっと桜の葉の香りが漂う。桜餅が入っているパックを開けるとさらにぶわーっと香る。薄桃色のもち米がピカピカつやつやとしていて一粒一粒が立っている。桜の葉の塩漬けは緑と茶色の間の色で繊細な葉脈が広がる。中のあんこはこしあん、滑らかで軽やかでこれならいくらでも食べられそう。

 「うわ、すごい桜餅のにおいがする」と言いながら居間に入ってきた夫に「私こんなきれいな桜餅を見たのは初めて。私の人生の中でこの桜餅は最高峰だと思う」と伝える。夫は「どれどれ」とパックを開け「うわ、桜餅の香りがすごいな」と言う。夫は一口二口三口ほどで一個の桜餅を食べつくし「うまい、これはうまい」と続けて二個目を食べる。私もその勢いにつられて一緒に二個目を食べる。夫が「桜餅の桜の葉っぱっておいしいよなあ、この葉っぱがないよりもあるほうが格段にうまいけど、おとなになるまでこの葉っぱが食べられるって知らんかった。この葉っぱの塩味とあんこと餅の甘さとの兼ね合いが素晴らしいのになあ」と言う。

「私も小さいときは桜餅の桜の葉っぱはどちらかというと苦手でいつもわざわざ外して食べてたよ」
「でもそれは葉っぱを食べられるのを知ってて外しとったんじゃろ?」
「うん。私が葉っぱを外すと母や祖母が『その葉っぱがおいしいのにもったいない』って言うんだけど、だからといって母も祖母も私が剥がした葉っぱだけを好んで食べることはなかったなー」
「それはないやろ」
「どうやらくんはいつから桜餅の葉っぱも食べるようになったん?」
「結婚してからじゃないかなー、うちはとうさんもかあさんもみんな桜餅の葉っぱはむいて食べてたから誰もこの葉っぱが食べられるって知らんのんちゃうかな」
「え、そうなん? それならどうやらくんがおとうさんとおかあさんに桜餅買ってって一緒に食べて葉っぱも食べられることを教えてあげたらいいのに」
「うーん、でも桜餅の時期におれが広島にいることってないからなー、いたとしても桜餅のこと思い出してわざわざ買うとも思えんし」
「結婚してから葉っぱも食べるようになったって言ってたけど私達がどこに住んでいたときのことなん?」
「うーん、それはおぼえてない。けど『あー、このひと葉っぱまで食べようる』と思ってそのときから食べるようになったのはおぼえてる」
「そのときに私に『桜餅は葉っぱまで食べられるん?』って訊いたりした?」
「それもおぼえてない」
「じゃあ、私が『食べられるよ、一緒に食べたほうがおいしいよ』と説明したかどうかも」
「おぼえてない」

 結局この日は5個入りの桜餅のうち夫が2個私が3個食べた。

 我が家の近くの安倍川餅屋さんの安倍川餅はおいしいからときどき買って食べるのだけど、春に桜餅を買って食べるのは初めてのことで、こんなに美しくておいしい桜餅の存在をこれまで知らないままでいたとは、なんてうっかりしてたんでしょう、と思う。この春のうちにもう何度かこの桜餅を買って食べたいね、と夫と話し、翌週にはまた買ってきて今度は夫が3個私が2個食べる。

 大きさといい形といい香りといい味といいその存在すべてが美しくおいしい桜餅だからと今週の日曜日にも夫が買い求めに行ってくれたのだが「すみませんね、今日はお彼岸のお菓子作りが忙しくて桜餅は作らなかったんですよ」ということで購入できず。翌日夫が山に行っているあいだに午前11時頃私があらためて買いに行ったのだが「ごめんなさいね、今日の桜餅はもう売り切れたんです」と言われる。「桜餅の販売はいつごろまでなんですか? 桜の花が咲く頃までですか?」と尋ねると「うーん、どうでしょうねえ、なんとなくですが入学式の頃まではやってますねえ」とのこと。ということは4月の6日頃までなのだろうか。

 そして今日は仕事が午後からで午前中用事があって出かけたついでに安倍川餅屋さんに立ち寄ってみたら桜餅の最後の1パックが店頭にあり「桜餅ください」と650円を財布から出す。持って帰り緑茶をいれ桜餅をしばし見つめてその姿と香りの美しさにうっとりとしてからはむっと噛む。緑茶と一緒でももちろんおいしいけれど、ここの桜餅は緑茶なしでもそれだけでもさわやかでのどごしがよい。おいしかったー、と満足して元気よく出勤し仕事に励む。仕事を終えて帰宅したら桜餅の元気の余韻の勢いで夕ごはんをこしらえる。ちらし寿司(瓶詰めの素を混ぜるだけ)とほうれん草の卵炒り、豚肉とニンジンと白菜の汁多めの中華炒め煮、くるみ小女子、真空パックを開封するだけのあさりの佃煮、筍入りおから、筍の有馬煮。夫が筍の有馬煮を食べて「うわー、この筍の山椒ようきいてるなー」と言う。

「それ、筍の有馬煮だよ。なんでかはわからんけど私の中で有馬煮といえば山椒味の煮物だと思ってるなあ」
「へえ、そうなんや、有馬煮、と言われてもおれはなんも思いつかんな」
「有馬といえば有馬温泉、温泉といえばー、で止まる?」
「いや、そこまでも連想せんなー、有馬煮、ということは馬が関係してるんかなー、と思えば思うかな」
「ええー、有馬ときて馬かなーはないやろ。有馬地方のことについて私は全然詳しくないけど、もしかすると山椒の産地なんじゃないかな」
「有馬くらい山の中やったら山椒はありそうだけどそうなん?」
「いや、知らんけどなんとなく。私が勝手に有馬煮といえば筍にかぎらず山椒の実がいっぱい入った煮物だとイメージしているということはどこかでそういう体験があるからじゃないかなーと思って」

 そして食後には桜餅。見た目がかわいくて美して芳しくておいしくていとしい桜餅。     押し葉

暖気の通り道

 ガスファンヒーターを使うようになり我が家の電気代は減った。夜10時頃まではガスファンヒーターを利用し布団に入る少し前にエアコンに切り替える。翌朝起きたらエアコンを消しガスファンヒーターをつける。出勤時等の外出時にはガスファンヒーターを消して帰宅したらまたつける。ガスファンヒーターだからスイッチを入れるとすぐに暖かい空気が出てきて瞬時に部屋がぬくもる。エアコンの場合はスイッチを入れて暖かい空気が出てくるまでに時間がかかる。暖かい空気が出てきたとしても部屋と体が暖まるまでにはさらに時間がかかる。だから真冬の冷え込む時期はその日のうちに帰ってくる外出であればエアコンを16度設定くらいでつけたままにして日中暖かいときは自動で止まってもらい帰宅した時にも家が冷えきっていないように、帰宅してもすぐに食事の支度をしたりいろいろ活動ができるように調整をしていた。家の中の空気が冷えきっていると仕事の疲れと寒さで食事を作るための活動が速やかに円滑に行えず寒いからご飯が作れない、ご飯が作れないから食べられない、食べられないから体が寒いまま、というよくない循環の中で時間を経過させることになる。それがガスファンヒーターを採用してからは、帰宅した時に家が寒くてもスイッチひとつでぼわんと暖かくなるから、私も『あったまるまで動けない生き物』になることなくそれなりに速やかに家のことができる。

 これまでに比べると電気代が例年よりも六千円ほど安くなった。ただし現在は原油価格が安くなっているので電気代の単価も安くなっている背景があり電気使用量だけが劇的に減少したわけではない。それでも昨年の同じ時期よりも六千円安いのは『やったー』という気分。しかしこれでガス代がガスファンヒーター使用により六千円以上高くなっていれば出費としては増える。それでもガスファンヒーターでこれだけ快適になったことを思えば安くなった電気代の価格を上回るガス代になっていたとしてもそれはそれで快適のための投資としてお支払いしたいくらい。でも光熱費がこれまでよりも高くなるよりは安くなるほうがうれしい。どうかなどうかなと思いつつガスメーターの検針を待つ。玄関ポストに入っていたガス代のお知らせを見る。そして昨年の同じ時期と比較すると二千円程度高い。電気代が六千円安くなりガス代が二千円高くなったということは我が家の光熱費は総合で四千円くらい安くなったということか。いやいや、ガス代のほうも原油価格が安くなった影響で単価が下がっているから今のガスの使い方と使用量でガス代がいつもこのくらいというわけではないだろうが、それでもこの差額には『やったー』と小躍りしたくなる。

 ガスファンヒーターを使うようになりエアコンの使用時間が減っただけでなく洗濯機の乾燥機能の使用が激減した。というのもガスファンヒーターを使うとファンヒーターから出てくる暖気の流れ道の空気がこれまでよりも乾燥する。従来設置していた加湿器だけでは人体の乾燥感が大きく暖かい快適があるとしても乾きすぎる不快を耐える気はなく加湿器を置く場所や設置台数等検討した結果、洗濯を終えたタオル類を腰の高さくらいの物干しハンガーにかけてガスファンヒーターの温風の通り道に置いてみることにした。すると空気がしっとりしてなおかつガスの炎が暖かくたいへん快適になった。しかも物干しに干したタオルがたいへんによく乾く。乾燥機で乾かしたときのようなふっくらかんわり感はないが夏の天日に干したときに近いぱりっとさらっとした仕上がり。タオル類以外のものはこれまでどおりサンルームの物干し台にかけて除湿機と扇風機の風を当て乾かす。

 この冬夫とは何度も「ガスファンヒーターいいなあ」「ガスファンヒーターいいねえ」と言い合いながら暮らしている。     押し葉

ようこそ我が家へガス暖房

 本日の午前10時にガス屋さんがガスファンヒーターを持ってきてくださった。

 夫は先週の金曜日に仕事を納めており土曜日から年末年始の休暇で在宅している。私は今日が仕事納めで午後の出勤に備え準備していた。玄関前に現れたのは20代半ば前後と思われる青年。お世話になりますどうぞよろしくお願いしますと室内に招き入れる。ガス屋さんに作業してもらいやすいようにテレビをずらして置いていたのをさらに設置作業しやすいように位置をずらす。段ボール箱に入った新品のガスファンヒーターはメーカーも機種も私が『これがいいな、これを買いたいな』と思い『ほしい物リスト』に入れたまさにそのもので夫に小声で「あのファンヒーター、私が買おうと思ったのとおんなじだよ、うれしいよう」と伝える。

 ガス屋さんはまずガスホースの取り付け口を確認する。「このプラスチックキャップは新品のガス栓にだけついているものですからそれが付いているということはこの部屋のこのガスの栓はこれまで誰も一度も使ったことがないということですね」と言いつつガス栓にホースを取り付け開栓の方向に栓を動かそうとするのだがその栓が動かない。壁に空けられた四角い穴の中にガスの元栓様のものがありこれまではその穴はつねに開閉可能な蓋で閉じられていた。その蓋は簡単に開くのだが中の栓は動かない。ガス屋さんは「一度動けばすぐに軽く動くんですが。よいしょ、」と声をかけ回しなんとか開けようとするが動かない。手を入れて作業しやすいようにプラスドライバーで蓋のついた四角い枠を外しかなりの力を入れて開栓しようとしても開かない。「ペンチ等の簡単な工具でしたらうちにもありますが.のでよろしければ使ってください」と一応出しておく。ガス屋さんは「ありがとうございます。ただここのつまみは簡単なプラスチックなのであまり工具できつく触らないほうがいいので」と言いつついろんな角度で開栓しようとされたが開かず。「これはグリースアップの作業が必要になりそうですので、これからうちの技術の者と連絡を取りまして、スケジュールが開いていればすぐに、すぐが難しければ午後にまたお時間あらためて作業させてもらってもいいでしょうか」と提案される。午後は私はいないけれど夫はいるから大丈夫だよね、と思ったのだけど夫は「午後になる場合は『何時頃』と指定してもらえればいるようにします」と言う。ええ、きみ今日ずっと家にいる予定やん、と思うけれども黙っておく。ガス屋さんは「ぼくがここでグリースアップができるといいんですが、そこまでの技術はまだ習得していないものですからすみません」と言われる。

 ガス屋さんはスマートフォンから電話をかけ栓が固くて動かないこととグリースアップが必要そうということを伝え技術担当のひとがすぐこちらに来ることができるかどうかを確認する。結果すぐに来てもらえることになる。ガス屋さんは「では待ち時間のあいだにファンヒーター本体の説明をしておきますね」と箱からファンヒーターを取り出す。うわー、やっぱり通販の画面で見ていたのと同じデザインだー。付いている機能もおんなじだー、やったー。使い方は簡単で、ガスホースをガス栓につなぎ開栓し電源プラグをコンセント差し込み本体の電源スイッチを入れるだけ。設定温度と現在温度が表示され最低設定温度は13度最高設定温度は26度。エコ運転ボタンを押すと設定温度になると弱モードで運転し一時的に切れまた気温が下がれば点火する。おやすみタイマーを使えば一時間後に自動消火し、おはようタイマーを用いると30分単位で何時間後に点火開始するかを設定できる。

 ガス屋さんの説明をひととおり聞いてから夫と私はいろいろと質問する。夫は私がガスファンヒーターを愛するあまり夜間就寝中もエアコンではなくガスファンヒーターを弱い運転でつけて寝るつもりがあることに反対しており「夜寝るときにガスファンヒーターつけっぱなしにしてもいいものなんでしょうか」と問う。ガス屋さんは「はい、大丈夫なのは大丈夫なんです。うちなんかもガスファンヒーターつけておいて寝ることはありますが、不完全燃焼になることはないように不完全燃焼になる前の時点で自動で消える装置がついていますから点けたままで寝て危険ということはないです。他にもこんな安全機能やあんな安全機能もありますのでそれで就寝中に事故でなにかあるということはないんです、ただなにぶん機械のことですから、ご心配であればおやすみタイマーで自動で切れるようにしてお休みいただいて朝方ぐっと寒くなる時間帯におはようタイマーで自動点火して暖かくなるようにしていただくとより安心してお使いいただけます」「点けたままで寝ているときに定期的に換気しなくて酸素が足りなくなったりしないんですか」「メーカーの推奨換気は1時間から2時間ごとに1分から2分窓を開けて、にはなっているんですが、息苦しさ少なくより快適にお使いいただくにはそのほうがいいんですが、この機械そのものが燃焼で消費する酸素というのは通常の室内ドアの開閉や住人の動きに伴う空気の流れで十分補われるんです。よほど人の出入りのない空気の動きもない密室でない限りはガスファンヒーターをつけたままでも少し離れた場所で寝ていただくのは問題ないんです」。私が事前に予習してガスファンヒーターのすぐ前に寝転がって寝るのでなければ室内空間を温めて離れた場所で寝るぶんにはそれで一酸化炭素中毒で死んだりしないよ大丈夫だよ、もしも換気が必要になれば私のことだから夜中にいくらでも起きだして窓を開けるに決まっているし、これまでだってずっと必ず隙間を開けて空気が常に換気されるようにしているんだからそれで換気は十分だよ、でも寝ててガスファンヒーターあったかいなーしあわせだなーと思いながら酸素不足でぽっくり逝くんだとしたらそんなにうまくぽっくり逝けるんならヘンに後遺症残ったりするんじゃなくってことならもっとおばあさんになったときにそういう目に遭うんだったらそれはそれでわるくないと思うなー、といくら言っても「ガス屋さんがいいって言ったらいいけどそうじゃないなら点けたまま寝るのはだめ」と言っていた夫だがガス屋さんの説明には「そうなんですか」とうなづく。実際に使ってみてやっぱり夜中は少量の酸素といえどもガスファンヒーターに奪われることなく酸素独り占めで寝たいなと体が感じるようならきっと寝る前にガスファンヒーターを消してエアコンをゆるゆると運転し暖かさを保ちつつ眠るんだろうな。

 ガス屋さんは「ガス企業局としましてはずっとガスファンヒーターで暖を取ってガスをご利用いただきたいところなんですが、ガス料金が都会ほど安いわけではないこともありますし、市の職員としての立場から申し上げますとそんなガス贔屓なことだけ言っていたのではいけないということになっておりまして、ガスだけでなく電気と併用してもらうのがエネルギー効率としてはもっとも理想的であるということもお伝えしなくてはなりません。気温が低くて寒いときにはガスでいっきに暖めてその後ある程度暖かくなったらエアコンに切り替えて暖かさを保つというのがガス代も電気代も両方がそれほど高くならずに済む使い方ですのでできればそうしていただけると一番いいかなと」と付け加える。

 私からの質問は「例えばレンタル後六年目に購入という形を取り使い続けて最終的にこの機械が動かなくなったときの廃棄はどのようにするのですか」というものだったのだが、「お電話いただければ引取に伺いますので。こちらで無料で処分いたします」という回答だった。

 また「5年間レンタルしたのち6年目にはいったん今の機械をお返ししてまたそのときの新しい機種でレンタルさせてくださいということは可能ですか」という質問に対しては「可能です」とのこと。5年未満の段階でももう少し大きな機種に変更したいなどの要望があればその都度相談し在庫があれば対応可。ただしその場合は新しい機種でレンタルし始めた時点を一年目と換算するので購入可能な6年目までの時間が現時点からではなくなる。レンタル中は年間二千円かかるが修理が必要な場合もメンテナンスで内部クリーニングが必要な場合も経費の負担はないが購入後の6年目以降は修理実費や内部クリーニングの経費(約三千円)がその都度必要になるので購入にするかレンタルのままでそのときそのときの新しい機種を使っていくかはそれぞれの判断に委ねられる。

 そうやってひととおり訊きたいことを訊き終えて申込書に認印を押し一年分の利用料金である2160円を支払い終えたところにグリースアップ担当のひとがふたり到着。おじちゃんと呼ぶのがふさわしいかんじの男性のほうが素早く栓を外す作業をしながらもうひとりの男性(おにいちゃんともおじちゃんとも呼べる年頃の方)相手に作業しやすい環境設定(テレビをさらに移動して作業空間を広く取り作業の手元をライトで明るく照らすなど)の指示を出し彼はさくさくとそれに応える。最初のガス屋さんはまだ全然おじさんの要素がなくておにいちゃん以外には呼びようがないほどに若々しい。彼に対しておじちゃんは「念の為に外のガスの元栓閉めてきて」と指示をし「閉めましたー」という声を聞いてから本格的に栓を外す。その作業をおにいちゃんは熱心に見学する。おじちゃんが一番若いおにいちゃんに「これはかたいな。グリースアップの要請してきて正解やわ。それに外枠まで外しといてくれたから作業タイムが短くて助かったわ」と言う。グリースアップという専門作業のおかげで栓はスムーズに動くようになり外枠もきれいに付け直される。おじちゃんは「それじゃ、これでもう元栓は大丈夫ですから。あとは実際の使い方の説明を聞いてください。私たちは次の現場に行きますのでこれで失礼します」と中間の年頃の男性とふたりで先に帰る。

 そうして、ガス屋さんはガスの元栓の開閉の仕方、ホースの着脱の仕方、ガスファンヒーターへのホースの着脱方法、実際の接続まで手早くなおかつわかりやすく説明して、我が家に初めてのガス暖房の温熱をもたらしてくれた。

 ガスファンヒーターはふんわりしっとりと暖かい。しかも下から暖かいから足元が暖かくて上から暖気が来るエアコンよりもふわっと暖かく感じる。しかも実際使ってみるとエコ運転時はもちろんのこと通常運転でもかなりこまめに温度管理し暖かければ弱くなり無駄に燃焼し続けることなく運転調整してくれる。なんとなくエアコンはおとなサイズの人間の上半身エリアを暖かくするのが得意だけどガスファンヒーターは下半身エリアを暖かくするのがじょうずなようなそんなかんじ。

 ガス屋さんが帰ったあとで夫に「わたし金曜日の時点でガス屋さんに電話してガス料金のこと質問してレンタルガスファンヒーターがあることを教えてもらってお手柄だったと思う」と語る。「だってね、自分で勝手にweb通販で購入して設置しようとしていたとしたら、簡単にカチッとガスホースを繋げばいいだけだと思っているのにあのガスの元栓が動かないと知ったところで途方にくれていたと思うもん。で、自分でもどうやらくんに頼んでもどうにもできなくてガス屋さんに来てもらうことになってたと思うのよ。そこでガス屋さんから『ああ、もうガスファンヒーターは持っておられるのですね。実はガス企業局ではガスファンヒーターのレンタルサービスというのもしておりまして、こんなサービスなんですけれど、もしまた必要になられたときにはよろしければご利用ください』というような話をそこで聞いたとしたらきっと、そのお手軽さと手頃な料金に、がーん、そんないいものがあるんだったらもっと早く訊いてみたらよかったー、しまったー、注文先走ってしもうたー、と思ったと思うん。それを考えると、ガス料金どうなるのかなー、一応訊いて確認しとこ、と自分の頭で考えてさっさと自分の口で尋ねることができるわたしもえらいけど、私がweb通販でポチッと注文する前のタイミングでそういう情報にわたしを導いてくれてもともと購入するつもりだったのとおんなじガスファンヒーターが我が家に来るように差配してくれたガスのかみさまありがとうだよ、ほんとうに」

 じゃあ、私仕事に行くけど、ガスファンヒーター消していこうか、と尋ねると夫は「ううん、そのままで」と言う。私が仕事から帰ってきて玄関に入った時の家の中の暖かさがこれまでよりもまろやかで下半身までまんべんなく暖かさを感じる。ファンヒーターのそばで座椅子に腰掛け温風の吹き出し口から70センチくらい離れたところに両足をおろす。これまでのエアコンにはないそしてコタツの中で足を温めるのともまた異なるほんわりぬくぬくとした快適はもはや快楽に近くてとろりーんとしばしまどろむ。梅シロップのお湯割りを入れたグラスを両手で包みこみちょびっとずつ甘酢っぱくあたたかい梅汁を飲みくだしているあいだに両足がぽわわーんとあたたまる、こんな素敵な満足が今年最後のお仕事のあとで得られるだなんてなんだかなにかのご褒美みたい。     押し葉

ガスファンヒータがやってくる

 来週の月曜日に我が家にガスファンヒーターが仲間入りすることになった。うちのマンションはテレビ配線の側に備え付けのガス取り付け口がありガスファンヒーターを使おうと思えばいつでも使える物件。これまでも何度かガスファンヒーターの採用を検討したことはあったのだが、建物の断熱材がしっかりしているからなのか、エアコンとコタツで十分に暖かくそれ以上の暖房の必要性をあまり感じなかったのとガスもそれほど安いというわけではないため、うーんやっぱりいいか、と見送ってきた。

 それがこの冬の電気料金請求書を見てみたら、消費電力自体は例年よりも少ないのに支払う電気料金が高くなっていて、電気メインの暖房でやっていくのと、ガスメインあるいはガスと電気を併用するのと、どちらがどれくらいどうなのか比べてみたいな、と考える。

 暖房器具の暖かさとしては、エアコンよりも灯油ファンヒーター(北陸に来てからは使っていない)よりもガスファンヒーターが好きなのだけど、これまでなかなかご縁がなく自宅でガスファンヒーターのお世話になる機会がなかった。うちの場合はおそらくそんなに大きなものでなくていいだろうから、小型のものを一台見繕ってみましょうかね、とweb通販の画面であれこれ物色する。ああ、これくらいのものがいいのではないかなと思う機種をいくつか見て、それだと一台だいたい一万三千円と少しくらいで、それにガスホースを別途購入するとそれが5メートルで五千円くらい。なるほどそのくらいの初期投資になるのね、と心つもりをする。地域によってはガスファンヒーターでの暖房を利用する手続きをするとガスの料金が割安になる契約があるところもあるらしく、現在居住する地域のガス企業局にそういう割引契約があるかないかについてだけでも問い合わせておきましょう、と思い金曜日午前の時点で電話をする。

 結果、ガス暖房機を用いることによる料金割引はないけれど、ガスファンヒーターの貸し出しでしたらいたしております、という案内をもらう。あら、まあ、レンタルガスファンヒーターというものがあるのですか。レンタルガスファンヒーターの料金は10月から翌年9月末までの1年間で二千円と消費税。うわあ、安い。貸し出し機種は選べないが、実際に一冬使ってみて気に入らなければ返却すればよく、異なるサイズなどに交換したければそれは連絡してみて在庫があれば変更可能で、借りたものが気に入れば二年目三年目もそのまま継続利用できる。何も言わずに黙っていれば二年目三年目も継続で借りるものとみなされ二千円の請求書と振込用紙が送付される。レンタルの最長期間は5年。その間にもっと大きな機種がいいな、であるとか、こういう機能がついている機種がいいな、あるいはこんなデザインがいいな、という希望が生じれば自分で新たに購入して借りていたものはお返しする。最初に借りて使ってみたのが気に入り続けて使いたい場合は、六年目になった時点で最終の二千円を支払うと手元にあるガスファンヒーターをそのまま購入できる。つまり、気に入れば、一台のガスファンヒーターを1年二千円の6年ローン(というには少額だが)の合計一万二千円と消費税で購入できることになる。ガスファンヒーターは10年程度使えるものらしく、6年目に購入してからもその後約5年は使えるかなというのが使用期間目安とのこと。5年経過した時点で来年以降も毎年レンタルで利用したい、ということであれば、5年間使ったガスファンヒーターはいったんお返しして新たにまた別のファンヒーターを貸し出してもらうことになるのかな。

 どちらにしても自分で今すぐ一万三千以上出して買うよりも気軽でお手頃ということではないかしら。しかもガス企業局のレンタルガスファンヒーターにはガスホースも無料でついてきて、ガスホースの長さが長くても短くても値段は変わらない。しかもガス企業局のひとが持ってきて設置作業と初期点検をしてくれる。なんて素敵なお話なんでしょう、と感心しつつぜひ利用の申し込みをさせてください、どうしたらいいですか、と尋ねる。「このお電話で住所とお名前と電話番号をお知らせくださればそれで申し込みいただけます。レンタルのガスファンヒーターで現在在庫があるのは木造の七畳から八畳用のものだけで、木造11畳用の大きなものは今全部出払っているんですがそれでもかまいませんか」と問われる。「ええ、ええ、もともとそのくらいの大きさのものを考えておりましたから、そちらのほうがありがたいです」「よろしければ、このあと今日の午後にでも取り付けに伺えますが」「今日の午後は仕事に出かけて夜まで戻りませんので、以降で可能な日はいつになりそうでしょうか」「年内は28日月曜日が仕事納めですので、月曜日は可能ですが」「わあ、ありがたいです。では月曜日の午前中にお願いできますか。あ、ホースの長さは5メートル希望です」「はい、では午前10時頃にお持ちする予定でよろしいでしょうか。ホースは5メートルですね。どうやらさんのところのマンションでしたらテレビの横のところにガスの取り付け口がありますよね。同じマンションで何軒かレンタルガスファンヒーターをお使いの方がいらっしゃいますが、皆さんやはり3メートルか5メートルが使い勝手がよいようですので、5メートルのホースということで」「はい、お願いします、お待ちしております」

 ガス企業局の方によれば「ガスファンヒーターには一点デメリットがありまして、原油価格が安くなっている現在は灯油ファンヒーターに比べると稼働にかかる費用が若干高くなってしまうんです。ですがしかし、灯油に比べますとガスは購入や保管や給油の手間がかかりませんからずっと便利にご利用いただけるのではないかと」とのこと。「いえいえ、我が家は灯油ファンヒーターは使っていなくてですね、エアコンとコタツで十分に暖かい(加湿器も使っているからなお暖かい)のですが、例年に比べて消費電力は少なくなっているにもかかわらず支払う電気料金が高くなっているものですから、ガスファンヒーターと併用あるいはガスファンヒーターメインにしてみたらどうかな一度試してみたいな、と思ってのことなんです」と説明する。

 ガス企業局の方は「そうですか、そういうことでしたら、ぜひガスファンヒーターをお試しください。ガスファンヒーターでしたらすぐにすばやく暖かくなりますのできっとご満足いただけますし、ある程度しっかりと暖まったらガスファンヒーターからエアコンにきりかえて暖かさを保つというような使い方をしていただくだけでも電気の使用量とその結果の料金はお安くなるはずですから」と付け加えられる。

 帰宅した夫に「ガスファンヒーター買おうかどうしようかーって話してたでしょ。あれね、すごく素敵な展開になったんだよ」と報告する。夫も「なにそれ、やっす」とその良心的なシステムとお手頃価格に驚く。「こういうことはなんでも訊いてみるもんだねえ、こうやって思いがけないサービスに巡り会えるんだもの、というわけで、来週の月曜日から我が家にガスファンヒーターが仲間入りします」「あわててガスファンヒーターとガスホースをぽちっと買ってなくてよかったなあ」

 という話を今日職場でしたら同僚たちが「うわー、やすーい、そんなサービスあるなんて全然知らんかったー」「しかもその借りてるガスファンヒーター使っててなんか調子わるいなーってときにはガス企業局に電話すれば見に来てどうにかしてくれるんやろ? それすっごいええやん」「ガスの配管工事しなくてもテレビのところにすでに来てるんでしょー、それはガスファンヒーター使うべきよー」「ガスのあったかさはいいよねー、ふわーっとあたたかくて、エアコンの乾いた風とはちがうのが好き」「灯油ファンヒーターみたいにくさくないのもいいよねー」と、誰一人ガスファンヒーターの利用者はいない(オール電化住宅に住む同僚もいる)にもかかわらず皆ガスファンヒーターには、そしてガス企業局のレンタルガスファンヒーターサービスに関してはたいへんに好意的。

 今の暮らしは今まで住んだことのあるどこのどの暮らしよりも年々日々日進月歩で快適でうれしいなあと折々に思っていたところだけどガスファンヒーターの仲間入りで日進月歩の快適がさらに進みそうな気配。     押し葉

絹暮らし

 『手指の自由と機嫌の自律』で書いた『他の疾患の可能性』は結局その疾患と診断するほどには血液や尿の検査結果の数値がそれほど高く出なかったため類似の症状は多々あるがその病名での診断はなしで今ある症状に対してこれまで続けてきた工夫や対策を続けて様子をみていきましょうということになった。ただ症状はあまりにもその疾患に多くあるもののため、これからも三ヶ月に一度程度専門医の診察を受け、何か症状が悪化しているときにはすぐに相談対応できるように、もちろん三ヶ月経過していなくてもあいだでなにか気になることが生じた場合はいつでも予約をとって受診するようにしつつ経過観察をしていこう、ということになった。

 実際のところ今回可能性のあった疾患はその疾患であるとしてもそれほどどうこうしようもなくそれが原因で早急に生死にかかわるようなことでもなく生存の質が若干低下するのをなにでどう補っていくかという対処が中心となるため、そしてその対処はその診断があってもなくても既に行ってきたことなので、これからもこの調子で生きていってください、というかんじであった。

 ただ今回専門医を受診したことでとてもよかったなあと思ったのは、これまで私がいくら手指の痛みやその他の症状を訴えても「パソコンのキーボードを激しく打ち過ぎなんちゃうん」であるとか「運動不足のせいじゃない?」などと言っていた夫が、専門医にかかった一連の話をしたところ「そうなんや、ほんまに痛かったんや」と神妙に納得していたことだ。たしかに私のキーボードの打ち方はやや激しい。職場で薬歴を書いていても何をひとりだけそんなにしゃかりきに仕事をしているのかと思うような打鍵音になることがあるのでそのたびにいかんいかんここまで激しくなくても文字は打てるよと指の叩き方を柔らかくする。自宅でPCを触るときにもおなじような音になることがあるからその都度気をつけてソフトタッチをこころがける。
 そういうわけで以前は私が痛いと言っても「ふうん」というかんじだった夫が今は私が難儀しているのを見ると「代わりにしようか」と率先して申し出てくれるようになったのが大きな変化。急ぐときには「じゃあお願いするね」と頼み、急がないときには「やっていないとどんどんできなくなるだろうから時間がかかってもいいときには自分でするね、今度急ぐときにはお願いする、ありがと」と自分で地道に作業をする。

 そして『手指の自由と機嫌の自律』で書いたシルクの手袋が実によい。これまでも手あれのときにハンドクリームを塗り綿の手袋をつけて寝てみたことは何度かあったがそれでは熱すぎてむれて結局眠ってまもなく外してそのあたりに放置しているのが常だった。それが素材がシルクだとまず蒸れない、そして温かいけれど熱くない。だから寝ていてもわりとずっと着けている。それでもときどき外していることがあるのだが綿の手袋だと外したら外したっきりなのが、シルクの手袋の場合はなんとなく手が冷えるような軽く関節がこわばるような痛いような感覚を覚えてシルク手袋着けたいと思い夜中でも外れた(自分が外した)手袋を布団の周辺で探しては外れている方の手につけて『ああ、やっぱりこれ着けると手がらくで気持ちいいー』とほっと和みつつ再び眠る。そしてシルクには保湿効果もあるから手指の乾燥防止にもなっているのがいいかんじ。睡眠時のシルク手袋は左右兼用のものにしており、外出時のシルク手袋は左右があるものを使っており、どちらもそれぞれによい。

 以前はシルクという素材はあまり好きでない時期が長かった。理由はシルクのにおい。シルク独特の蚕のような桑のようなにおいがあまり得意でなくて身に着けているとそのにおいにうっとなることがあったからなのだけど、体がシルクの機能を求め始めたからなのか最近はそのにおいがあまり気にならなくなった。そして今はほぼ全身でシルクにお世話になる日々。     押し葉

洗濯物用ホーローゴミ箱

 最近買ってよかったもの。百円ショップで購入したホーローの容器。台所用品売り場にあった直径約14cm深さ約12cmの円柱形の容器。もともとは生活雑貨ゴミ箱関連コーナーで探したのだけれども手頃なものがなく台所用品置き場を見たらちょうどよいものと遭遇。この容器には柔らかいプラスチックの蓋もついてはいたがそれはすぐに捨てて蓋なしの状態でベランダの出入口とサンルームの出入口に置く。使い道はゴミ箱。洗濯物を干すときに出てくる糸くずなどのゴミを入れるのに使う。
 この容器を買うまでは、洗濯物を干す場所の近くに小さめの紙袋を置いてそれにゴミを入れたり、小さめのカゴの内側にビニール袋を設置してゴミ箱として使うなどしていたが、これらの方法ではその中身を燃やせるゴミ袋に移して捨てるときにすっきりと移しきれずくっついて残ることがあるのが地味にストレスだった。
 しかしホーローの容器を使うようになってからは、中のゴミはぽぽんと容器の外側を軽くはたくだけですべてがきれいに捨てきれて、たとえ多少なんらかが残りすっきり取りきれなかったとしてもボロ布やティッシュなどでさあっと拭き取ればすっきりする。ホーローは固くて丈夫だからガシガシと拭き取ることもできなんならじゃぶじゃぶと気軽に水洗いすることもできる。

 百円ショップにお世話になってきたものはこれまでいろいろあるけれど、このホーロー容器はこれまで私が百円ショップで買ったものの中では群を抜いて「百円なのにすごく使い勝手がよくてつくづく満足だなあ、ほんとうに買ってよかった」という気持ちを強く覚えるひと品。     押し葉

オイルサーディンと塩レモン

 本日の夕ごはんは夫作の「味噌汁(具は豆腐と松山あげ)」と「温泉卵入り納豆」と「ちぎったレタス」と「小女子の釘煮(市販の完成品)」と「オイルサーディンと塩レモン」。

 オイルサーディンの缶を開けて小さめの器にオイルサーディンを取る。そこに冷蔵庫から取り出したネスカフェゴールドブレンドの空き瓶の中にある塩レモンを入れる。オイルサーディンと塩レモンの両方をかじって口の中で咀嚼する。右側の後頭部でじゅわっと旨味を感じる。夫が「これは塩レモンを細かく切ってのせて食べたほうが食べやすいかも」と言う。

「うん。どうやらくんが塩レモン切って用意してくれるんかと思ってたけど、瓶から出してそのまま器に入れてくれたけん、各自で己の歯でかじれ、いうことなんかなと思った」
「うん、今日はそうしたけど」
「これはこれですごくおいしいけど今度はぜひ塩レモン小さく切って切って。あのね、このオイルサーディンと塩レモンを一緒に食べるとね、頭のこのへん、右側の後ろの辺りですごく深いかんじで『ああ、おいしい』って感じる気がするよ」
「うんうん、これはうまいなあ」

 オイルサーディンと塩レモンを咀嚼した後半にさらにレタスを口に入れると口の中がさっぱりとしてなおおいしい。夫は「オイルサーディンと塩レモンをあらかじめ混ぜたものをドレッシングっぽく生野菜のサラダにかけて食べてもおいしいんじゃないかなあ」と言う。

 初期に作成したなんちゃって塩レモンに比べるとネスカフェゴールドブレンドの瓶でじっくりと作った塩レモンはやはりレモンの香りが電子レンジの加熱によって飛散していないからなのか口の中でかむたびにレモンの香りが鼻腔に拡がっておいしいなあと思う。夫にそう話したが夫は「そうかなあ、最初の頃に食べた塩レモンと違うかなあ、違いがわからんなあ」と言う。「両方ともおいしいけどなあ」という意味として捉えれば夫の「ちがいがわからない」「ちがいを気にしない」おおらかさに安寧な気持ちを得ることはできる。しかし夫が真に人生全般暮らし全般飲食全般に関してちがいを気にしない人なのであればこの人はそういう人なのだとおおらかな人だからと思うかもしれないけれど、夫はお酒やお蕎麦や山用品など細かい違いやうんちくを好んで語ることがあるということは「違い」に関するアンテナや感性がないわけではないのだと思う。となると、塩レモンを作成した妻としては、いやそこはぜひとも積極的にちがいをわかろうとしてみませんか、そしてそのちがいを共に味わいましょうよ、そうできる方が好きかもよー、と思ったりもするわけだ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

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