みそ文

老眼鏡でツンフト

 三月末に老眼鏡を買った。実物が手に入ったのは四月に入ってから。五月の連休旅行に備えて、買おう、と決めた。

 普段の生活でも仕事でも老眼鏡の必要性を感じることはない。仕事で錠剤の刻印を目視する時に『これもだんだんと見えづらくなるんだろうな』と思いはしても老眼鏡を求めるほどではなく、自分はいつ頃老眼鏡を求めるようになるのかなと思っていた。夫は一年半くらい前に老眼鏡を買ってきた。夜寝床に横になり手元灯で本を読む時に老眼鏡がほしくなったらしい。

 夫はレーシックで近視矯正しており、私はフェイキックIOL(ICL)という術式で近視矯正してある。狙ってそうしたわけではないものの、私の右目は結果的にやや遠視気味に、左目はやや近視気味になっている。そのため遠くは主に右目で、近くは主に左目で見て、遠くも近くもよく見えるモノビジョンという便利な状態になっている。

 夫は寝床での読書以外で老眼鏡を使うことはない。朝食を食べるときに食卓に新聞を広げて読んでいるようではあるが、その時には老眼鏡はしていない。夫が老眼鏡を購入する動機が寝床での読書だったのであれば、私はどういう動機で老眼鏡を求めるようになるのかな、やっぱり仕事で必要に迫られてになるのかな、となんとなく予想していた。

 しかし、実際に私が老眼鏡を買おうと決めたのは、仕事のためではなく娯楽のためだった。漫画のコミックスの台詞や説明文の漢字にフリガナが打ってある、そのフリガナが日本語でも英語でもない言語の音で書かれている時とっさにそのフリガナが読めない、その極小サイズのカタカナを読みたい。その漢字自体はフリガナがあってもなくても裸眼で日本語で読めるし、意味もわかる。でもその文章全体を読む時のリズムとしては、作者があえてそこに当てた言語のフリガナの音で読むほうが、漫画の読み手としての私はたのしくて満足する。

 五月の連休旅行でゆっくりと読むつもりで購入したコミックスを一冊持って眼鏡屋さんに赴く。この漫画のこのフリガナがきれいに見えるような度数にしたいんです、と希望を伝える。フレームは軽さとフィット感重視で、レンズはブルーライトカットレンズで。

 五月の連休の旅先ではこの眼鏡をかけてコミックスを堪能した。夫が吾妻山に行っている間に宿のお部屋で、そして夫が蔵王へ行っている間にお宿の食堂で、それから二人で一緒にラジウム岩盤浴に行った時の休憩室の大広間で。老眼鏡をかけるとフリガナの小さな活字までガブガブと読める。たのしいねえ、たのしいよう。「同業組合」のドイツ語フリガナは「ツンフト」。満足。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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