みそ文

胃カメラを鼻から入れたら桜餅

 乳がん検診で要精検になり、結果異常なく半年後に念のための再検査を受ける予定となったことは前回書いたとおり。そしてその後子宮がん検診を受けその結果はまだ届いていないががんとは別に子宮筋腫が見つかりその筋腫が悪性でないかどうかの血液検査結果を待っているところ。子宮筋腫自体は悪性でなければ今後閉経に伴い縮小化していくであろうしなんら不都合な自覚症状もないのでこのまま定期検査を受けつつの経過観察となってゆくだろうと思う。

 今回乳がんと子宮がんの検診で今一度自分の体を見直すことになったのを機会に、自治体から送ってもらったがん検診の受診券を用いて胃がん検診と大腸がん検診と肺がん検診を受けることにした。もう一枚胃がんリスク検診の受診券もあり受診した。それに関しては婦人科で子宮がん検診を受けたときに採血してもらうだけの検査でその結果ピロリはおらず胃がんのリスクは低いという結果が届いた、胃カメラ検査を受けた翌日に。

 前回胃カメラの検査を受けたのは7年前か8年前か9年前かそのくらい。15年くらい前にはバリウムでの胃がん検診を受けたように思う。そのどちらとも異常なく胃カメラのモニターで見た胃壁などの粘膜はたいへんに美しく、きれいすぎる、こんなにきれいな胃腸の中に検査薬や検査機器を入れるほうが胃腸に気の毒だと思いその後は長らく検査を受けずにきた。胃の検査は毎年あるいは一年おきに受けるにはあまりにも検査後の身体的不調が大きく、検査を受けることでかえって胃腸の調子がしばらく崩れてつらいのと、なんとなく他はともかく胃腸は大丈夫なかんじがすることもありしばらく受けていなかった。しかし今回は今一度謙虚な気持ちで検査を受けることにしようと決めて申し込み前日から体調を整え検査当日に臨んだ。

 前回胃カメラ検査を受けたのと同じ病院で久しぶりに受ける胃カメラ検査の検査前処置室の椅子はマッサージ椅子になっていた。温泉施設のマッサージ椅子のようにお金を投入しなくても好きなだけマッサージ機能を使うことができる。そのマッサージ椅子はマッサージをしなければゆったりとしたひとり用のソファ的座り心地。その椅子に座った状態で胃カメラ前の麻酔処置を受ける。

 まずは胃内壁を清浄にするための検査液を紙コップに一杯飲む。まずくはないがまったくおいしくはないその液体を飲み干したら点鼻薬で鼻の通りをよくする。3分程度経過したら次は鼻の麻酔をスプレーする。そのスプレー液は飲み込むことで喉の麻酔にもなる。もう5分ほどしたら同じ麻酔液をもう一度スプレーする。だんだんとなんとなく喉の感覚が鈍くなり唾液を飲み込むのがやや不自由になってくる。それからさらに数分後、喉の麻酔の喉スプレーが噴霧されそのまま検査室に移動し検査台に横になる。体の左側を下にして枕のところにティッシュを大量に敷いて、もう麻酔で唾液は飲み込めなくなっているから垂れてくるのはすべて外のティッシュに流すようにとの指示を受ける。

 入れてみて通りやすいほうの鼻に入れていきます、との説明のあと右側の鼻の穴からカメラのチューブが挿入される。麻酔が効いているので痛みはないが違和感はあり体としてはおおいに抵抗感もある。背中をさすり続けてくれる看護師さんが「鼻で息を吸って口で息を吐くのが一番らくですよ」と案内してくれてそのとおりにしてみる、たしかに少しだけわずかにらくかも。気持ちとしてはモニターを凝視したいのだけどたいへんに苦しくてこの苦しさを紛らわすには呼吸に集中するしかないと判断し鼻から吸って口で吐くをただそれだけを繰り返す。

 胃がん検診は施設によって検査方法が異なっており、バリウムを飲んで写真を撮影する方法と口から胃カメラを入れる方法と鼻から胃カメラを入れる方法のどれかを選ぶ。11月から逆流性食道炎の治療薬を服薬してその効果が感じられてきた時期でもあることからどうせ検査するなら食道の状態も見ることのができる胃カメラにしようと決めた。バリウムでの胃透視では胃の状態は確認できても食道の状態までは観察できないよね、と。

 胃カメラ検査が終わるとすぐにカメラで撮影した映像を数枚見せてもらえまったく異常がないこと、小さなポリープはいくつかあるがこれは良性のものでそのままにしておいてよいものであること、よって細胞採取も細胞診も行わないこと、若干の胃炎傾向は見られるもののこれはたいていの人がそうである程度のものなのでまったく気にしなくてよいこと、十二指腸も食道もきれいな状態であること、の説明を受ける。前回の胃カメラの時に見た自分の食道と胃と十二指腸の映像の記憶に比べると若干の経年劣化は見られ前回の記憶の中ではつやつやとした薄いピンク色だった粘膜が今回はベージュっぽい色合いでつややハリは低下しているが昨年後半からの胸焼けや胃もたれや喉のつまり感がつらかったことを思うともっとよくない状態であることも覚悟していたのに一時期は咳き込みもひどくてあんなにしんどかったのにこんなにきれいな状態でいてくれてありがとうねと自分の粘膜に対してお礼を伝えたい気持ちになってくる。そしてよくここまでいい状態に戻してきたよねと服薬と食事療法と姿勢や生活習慣の見直しに励んできた自分の努力をひとりこころのうちで称える。「しばらくは喉の麻酔がきいているのでこののち1時間は飲食を控えるように」との指導を受けて検査室を出る。鼻と喉にひりひりとした不快な感覚があるままで会計を済ませる。

 今すぐに食べることはできないけれど、去年見つけておいしかったお店の桜餅が始まっていたら買いたいな、と思いながら帰り道に寄る。数日前夫に「あのお店の桜餅たのしみだね、いつからだろう」と話したら夫は「まだまだ、3月になってからだろう」と妙に自信を持って断言していたが、お店の前に着いてみると入口のガラス戸に「さくら餅」の札が貼ってありその始まりをうれしく思う。買って帰ってもすぐには食べられないから、桜餅を食卓に置いたら、通帳を持って銀行と郵便局に出かける。車にガソリンとウォッシャー液を入れて銀行と郵便局の用事を済ませて一度帰宅して通帳を置いたらまた出かける。今度は保健センターで申し込んでおいた肺がん検診と大腸がん検診の時間だ。大腸がん検診は検便採取キットを受け取るだけで提出はまた後日。平日であれば館内の提出場所に、夜間休日であれば建物の外に設置された検便投函ボックス(保冷機能付き)に提出する。肺がん検診は問診票の質問に回答したあと検診車の中で撮影してもらう。その間もずっと鼻と喉がひりひりとしていて、このひりひりとした痛みが今日中にひいてくれるといいなと思いながら一連の待ち時間と受診を済ませる。それらの結果はまた後日だがたぶんなんとなくどちらも問題ない気がしている。

 すべてを終えて帰宅して、胃カメラの検査からちょうどよく時間も経過して、たのしみにしていた桜餅を食べる。おいしい。いい香り。可愛い形、きれいな色。けれど胃カメラで疲労した体で食べる桜餅は十全ではなく、やはりもっと万全な胃腸の状態で次の桜餅には臨みたいとしみじみ思う。もち米類やあんこ類は食べると胃液が逆流しやすいため普段はもうほぼまったく食べなくなっているのだけれど、春の桜餅だけは特別な食べ物として少しだけ、人生の桜餅切符をだいじにだいじに使いながら、あの香りと色と形と味と食感と喉ごしのすべてを、生きている間毎年春に愉しめたらと願う。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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