みそ文

赤イカに、さざえノドグロこだま貝

 先週の日曜日に魚を食べに出かけた。夫が「ボーナスが出たからご馳走するよ、なんでも好きなものを好きなだけ食べてくれ」と言ってくれるのでお言葉に甘えて。行き先はできれば春夏秋冬に訪れたいけど実際は年に2回くらいの頻度で出かける魚料理屋さん。一階の魚売り場で食材を選び二階の食堂でその食材を料理してもらう。

 今回は「夏だし、またおいしいアナゴがいたら天ぷらにして食べたいね」と話しながら出かけたのだけど魚売り場で「アナゴはありますか」と訊くと「今はアナゴの底びきはやってないから入らないねえ」と言われる。「以前夏にここにきていただいたアナゴの天ぷらがおいしかったからまたいただけたらと思ったんですけど残念」と言うとお店のひとも「アナゴの天ぷらおいしかったでしょう、何かアナゴに似たものを見繕ってあげられるといいんだけど、今うちにあるものはどれもアナゴとは全然ちがうものばかりだわぁ」と残念がる。

「では、赤イカをお刺身と天ぷらでいただきます、大きめの一杯を半分ずつで」と言うと「それなら小さいの二杯で一杯ずつ刺し身と天ぷらにしたほうがおいしいよ」と教えてくださり「じゃあ、そうします」と赤イカを二杯。
「それとコダマ貝を大きめのを4個ください、これは焼きで」
「それからサザエをつぼ焼きにしたいので2個」と言うと「大きさいろいろあるから好きなの選んで」と言われ水槽にサイズごとに分別されているサザエの中くらいのもの(お値段も中くらい)を2個選ぶ。
「あとは、ノドグロを一匹。頭は汁で、半身は焼きで、もう半身は煮で」
 ここで夫が「それと岩牡蠣を一個ください」と言う。夏の北陸は岩牡蠣の旬。冬が旬の広島の牡蠣とは異なるゴツゴツとした外観の貝の塊をお店のひとにひとつ選んでもらう。

 二階にあがり席に着く。それぞれの料理法を確認して注文する。単品でご飯を注文、夫は普通盛りで私は少なめで。おしぼりとお茶と箸と小鉢が三品供される。小鉢はバイ貝の煮付けとイカの塩辛とカニのほぐし身の酢和え。私はイカの塩辛が苦手なのだけど夫はふつうに好きなのですかさず私の小鉢の中身を自分の小鉢に入れて全部ひとりで食べてくれる。

 夫と「アナゴがなくて残念だったね」と話す。「こっちのアナゴは底びきなんじゃね」とも。瀬戸内海のアナゴは手に持った糸を垂らして釣る海釣り方式で夫は中くらいの子どもの頃夏になると海に出掛けてアナゴの海釣りしたなあ、と言う。私の父はむかし一時期船での海釣りに凝っていたことがあり夏の夜中に船(当時父は海遊びのために小舟を所有しており当時実家に住んでいた母と弟は父の趣味に付き合って小型船舶の免許を取得したので彼らは小さな船の操縦ができる、当時祖母も同居はしていたが祖母は小型船舶免許は取得していない)を出して海に出かけて行きアナゴを釣って持ち帰る。父は早朝それを台所でさばき、屋外で七輪に火をおこし、さばいたアナゴを焼き、タレを張った長方形の容器に焼き上がったアナゴを漬ける。私達家族が朝起きると食卓に父が焼いたアナゴがあり炊きたてのご飯と一緒に朝ごはんにアナゴをいただくのはことのほかおいしくて、大学の夏休みに帰省していた私は喜んで食べていた。高校の寮で暮らしていた妹も夏休みで帰省していると喜んでそのアナゴを食べる。だから瀬戸内海のアナゴといえば海釣り(あの漁法の正式な名前はなんというのだろう)だと思い込んでいたけれどそれは個人が趣味で釣るからであって商業的な漁として大量に捕獲するとなると瀬戸内海でも底曳き網や延縄漁で行われているのだろうか。

 今回赤イカをお刺身と天ぷらで注文したのはお刺身のほうが早く出てくるだろうからそれを食べている間に他の料理を待つとちょうどいいよねという思いでだったのだけど、実際には天ぷらのほうが先に出てきた。いつもなら天ぷらは天つゆがあってもひたすら塩で食べることが多いのになんとなく天つゆにくぐらせてご飯と一緒に食べたら天丼のおいしさがそこにはあり(あたりまえなのだが)、塩天丼とつゆ天丼を愉しむ形となった。

 夫の岩牡蠣は酢牡蠣で。他にもバター焼きやカキフライなどの調理法が用意されてはいるが夫は「せっかくの岩牡蠣をフライにするなんて」と拒む。

 サザエのつぼ焼きはとぐろの先っちょまでツルリンときれいに取り出せた。夏の海草をたくさん食べて鮮やかな緑色になったサザエは他の季節のサザエよりも一層おいしいような気がする。

 ノドグロは冬に食べた時にはその脂ノリノリの旨味が脳内麻薬を分泌促進しまくりだったが、今回夏に食べてみるとノドグロの身はどちらかというとスリムで脂はややさっぱりとしており冬に食べた時よりもずっと爽やかで清涼でこれはこれでまた冬とはまた異なる種類の脳内麻薬が分泌され食の快楽でラリり気味になる。夏のノドグロだからそうなのか、私達が今回食べたノドグロの個体がたまたまそういうタイプだったのか、どちらなんだろう、と思うけれど、どちらでもおいしいから詳細は求めない。

 すべてをおいしくいただいて、小雨の降る日本海を眺め、満足して店を出る。一階の魚売り場で「前回と今回はコダマ貝を焼いてもらっておいしかったんですが、もしかしてコダマ貝はお吸い物でいただいてもおいしいんでしょうか」と訊くと「汁もおいしいねぇ」と言われる。焼いたコダマ貝の殻の内側にたまった汁のじくっとしたおいしさがあれだけ口に広がるということはこれはハマグリともアサリともまた少しちがう貝のお吸い物になるのではないかと思いながらいただいたけど、そうか、やっぱりそうなのか、よし、次回は小さめのコダマ貝を複数個買ってお吸い物でいただこう。

 休日のレジャーお出かけの気持ちとしては帰りの高速道路でどこかサービスエリアに立ち寄りソフトクリームを食べたら完成度が高くなるよねと話はしたものの私達のお腹は魚で十分にくちくなっておりソフトクリームの入る余地はなかった。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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