みそ文

ようこそ我が家へガス暖房

 本日の午前10時にガス屋さんがガスファンヒーターを持ってきてくださった。

 夫は先週の金曜日に仕事を納めており土曜日から年末年始の休暇で在宅している。私は今日が仕事納めで午後の出勤に備え準備していた。玄関前に現れたのは20代半ば前後と思われる青年。お世話になりますどうぞよろしくお願いしますと室内に招き入れる。ガス屋さんに作業してもらいやすいようにテレビをずらして置いていたのをさらに設置作業しやすいように位置をずらす。段ボール箱に入った新品のガスファンヒーターはメーカーも機種も私が『これがいいな、これを買いたいな』と思い『ほしい物リスト』に入れたまさにそのもので夫に小声で「あのファンヒーター、私が買おうと思ったのとおんなじだよ、うれしいよう」と伝える。

 ガス屋さんはまずガスホースの取り付け口を確認する。「このプラスチックキャップは新品のガス栓にだけついているものですからそれが付いているということはこの部屋のこのガスの栓はこれまで誰も一度も使ったことがないということですね」と言いつつガス栓にホースを取り付け開栓の方向に栓を動かそうとするのだがその栓が動かない。壁に空けられた四角い穴の中にガスの元栓様のものがありこれまではその穴はつねに開閉可能な蓋で閉じられていた。その蓋は簡単に開くのだが中の栓は動かない。ガス屋さんは「一度動けばすぐに軽く動くんですが。よいしょ、」と声をかけ回しなんとか開けようとするが動かない。手を入れて作業しやすいようにプラスドライバーで蓋のついた四角い枠を外しかなりの力を入れて開栓しようとしても開かない。「ペンチ等の簡単な工具でしたらうちにもありますが.のでよろしければ使ってください」と一応出しておく。ガス屋さんは「ありがとうございます。ただここのつまみは簡単なプラスチックなのであまり工具できつく触らないほうがいいので」と言いつついろんな角度で開栓しようとされたが開かず。「これはグリースアップの作業が必要になりそうですので、これからうちの技術の者と連絡を取りまして、スケジュールが開いていればすぐに、すぐが難しければ午後にまたお時間あらためて作業させてもらってもいいでしょうか」と提案される。午後は私はいないけれど夫はいるから大丈夫だよね、と思ったのだけど夫は「午後になる場合は『何時頃』と指定してもらえればいるようにします」と言う。ええ、きみ今日ずっと家にいる予定やん、と思うけれども黙っておく。ガス屋さんは「ぼくがここでグリースアップができるといいんですが、そこまでの技術はまだ習得していないものですからすみません」と言われる。

 ガス屋さんはスマートフォンから電話をかけ栓が固くて動かないこととグリースアップが必要そうということを伝え技術担当のひとがすぐこちらに来ることができるかどうかを確認する。結果すぐに来てもらえることになる。ガス屋さんは「では待ち時間のあいだにファンヒーター本体の説明をしておきますね」と箱からファンヒーターを取り出す。うわー、やっぱり通販の画面で見ていたのと同じデザインだー。付いている機能もおんなじだー、やったー。使い方は簡単で、ガスホースをガス栓につなぎ開栓し電源プラグをコンセント差し込み本体の電源スイッチを入れるだけ。設定温度と現在温度が表示され最低設定温度は13度最高設定温度は26度。エコ運転ボタンを押すと設定温度になると弱モードで運転し一時的に切れまた気温が下がれば点火する。おやすみタイマーを使えば一時間後に自動消火し、おはようタイマーを用いると30分単位で何時間後に点火開始するかを設定できる。

 ガス屋さんの説明をひととおり聞いてから夫と私はいろいろと質問する。夫は私がガスファンヒーターを愛するあまり夜間就寝中もエアコンではなくガスファンヒーターを弱い運転でつけて寝るつもりがあることに反対しており「夜寝るときにガスファンヒーターつけっぱなしにしてもいいものなんでしょうか」と問う。ガス屋さんは「はい、大丈夫なのは大丈夫なんです。うちなんかもガスファンヒーターつけておいて寝ることはありますが、不完全燃焼になることはないように不完全燃焼になる前の時点で自動で消える装置がついていますから点けたままで寝て危険ということはないです。他にもこんな安全機能やあんな安全機能もありますのでそれで就寝中に事故でなにかあるということはないんです、ただなにぶん機械のことですから、ご心配であればおやすみタイマーで自動で切れるようにしてお休みいただいて朝方ぐっと寒くなる時間帯におはようタイマーで自動点火して暖かくなるようにしていただくとより安心してお使いいただけます」「点けたままで寝ているときに定期的に換気しなくて酸素が足りなくなったりしないんですか」「メーカーの推奨換気は1時間から2時間ごとに1分から2分窓を開けて、にはなっているんですが、息苦しさ少なくより快適にお使いいただくにはそのほうがいいんですが、この機械そのものが燃焼で消費する酸素というのは通常の室内ドアの開閉や住人の動きに伴う空気の流れで十分補われるんです。よほど人の出入りのない空気の動きもない密室でない限りはガスファンヒーターをつけたままでも少し離れた場所で寝ていただくのは問題ないんです」。私が事前に予習してガスファンヒーターのすぐ前に寝転がって寝るのでなければ室内空間を温めて離れた場所で寝るぶんにはそれで一酸化炭素中毒で死んだりしないよ大丈夫だよ、もしも換気が必要になれば私のことだから夜中にいくらでも起きだして窓を開けるに決まっているし、これまでだってずっと必ず隙間を開けて空気が常に換気されるようにしているんだからそれで換気は十分だよ、でも寝ててガスファンヒーターあったかいなーしあわせだなーと思いながら酸素不足でぽっくり逝くんだとしたらそんなにうまくぽっくり逝けるんならヘンに後遺症残ったりするんじゃなくってことならもっとおばあさんになったときにそういう目に遭うんだったらそれはそれでわるくないと思うなー、といくら言っても「ガス屋さんがいいって言ったらいいけどそうじゃないなら点けたまま寝るのはだめ」と言っていた夫だがガス屋さんの説明には「そうなんですか」とうなづく。実際に使ってみてやっぱり夜中は少量の酸素といえどもガスファンヒーターに奪われることなく酸素独り占めで寝たいなと体が感じるようならきっと寝る前にガスファンヒーターを消してエアコンをゆるゆると運転し暖かさを保ちつつ眠るんだろうな。

 ガス屋さんは「ガス企業局としましてはずっとガスファンヒーターで暖を取ってガスをご利用いただきたいところなんですが、ガス料金が都会ほど安いわけではないこともありますし、市の職員としての立場から申し上げますとそんなガス贔屓なことだけ言っていたのではいけないということになっておりまして、ガスだけでなく電気と併用してもらうのがエネルギー効率としてはもっとも理想的であるということもお伝えしなくてはなりません。気温が低くて寒いときにはガスでいっきに暖めてその後ある程度暖かくなったらエアコンに切り替えて暖かさを保つというのがガス代も電気代も両方がそれほど高くならずに済む使い方ですのでできればそうしていただけると一番いいかなと」と付け加える。

 私からの質問は「例えばレンタル後六年目に購入という形を取り使い続けて最終的にこの機械が動かなくなったときの廃棄はどのようにするのですか」というものだったのだが、「お電話いただければ引取に伺いますので。こちらで無料で処分いたします」という回答だった。

 また「5年間レンタルしたのち6年目にはいったん今の機械をお返ししてまたそのときの新しい機種でレンタルさせてくださいということは可能ですか」という質問に対しては「可能です」とのこと。5年未満の段階でももう少し大きな機種に変更したいなどの要望があればその都度相談し在庫があれば対応可。ただしその場合は新しい機種でレンタルし始めた時点を一年目と換算するので購入可能な6年目までの時間が現時点からではなくなる。レンタル中は年間二千円かかるが修理が必要な場合もメンテナンスで内部クリーニングが必要な場合も経費の負担はないが購入後の6年目以降は修理実費や内部クリーニングの経費(約三千円)がその都度必要になるので購入にするかレンタルのままでそのときそのときの新しい機種を使っていくかはそれぞれの判断に委ねられる。

 そうやってひととおり訊きたいことを訊き終えて申込書に認印を押し一年分の利用料金である2160円を支払い終えたところにグリースアップ担当のひとがふたり到着。おじちゃんと呼ぶのがふさわしいかんじの男性のほうが素早く栓を外す作業をしながらもうひとりの男性(おにいちゃんともおじちゃんとも呼べる年頃の方)相手に作業しやすい環境設定(テレビをさらに移動して作業空間を広く取り作業の手元をライトで明るく照らすなど)の指示を出し彼はさくさくとそれに応える。最初のガス屋さんはまだ全然おじさんの要素がなくておにいちゃん以外には呼びようがないほどに若々しい。彼に対しておじちゃんは「念の為に外のガスの元栓閉めてきて」と指示をし「閉めましたー」という声を聞いてから本格的に栓を外す。その作業をおにいちゃんは熱心に見学する。おじちゃんが一番若いおにいちゃんに「これはかたいな。グリースアップの要請してきて正解やわ。それに外枠まで外しといてくれたから作業タイムが短くて助かったわ」と言う。グリースアップという専門作業のおかげで栓はスムーズに動くようになり外枠もきれいに付け直される。おじちゃんは「それじゃ、これでもう元栓は大丈夫ですから。あとは実際の使い方の説明を聞いてください。私たちは次の現場に行きますのでこれで失礼します」と中間の年頃の男性とふたりで先に帰る。

 そうして、ガス屋さんはガスの元栓の開閉の仕方、ホースの着脱の仕方、ガスファンヒーターへのホースの着脱方法、実際の接続まで手早くなおかつわかりやすく説明して、我が家に初めてのガス暖房の温熱をもたらしてくれた。

 ガスファンヒーターはふんわりしっとりと暖かい。しかも下から暖かいから足元が暖かくて上から暖気が来るエアコンよりもふわっと暖かく感じる。しかも実際使ってみるとエコ運転時はもちろんのこと通常運転でもかなりこまめに温度管理し暖かければ弱くなり無駄に燃焼し続けることなく運転調整してくれる。なんとなくエアコンはおとなサイズの人間の上半身エリアを暖かくするのが得意だけどガスファンヒーターは下半身エリアを暖かくするのがじょうずなようなそんなかんじ。

 ガス屋さんが帰ったあとで夫に「わたし金曜日の時点でガス屋さんに電話してガス料金のこと質問してレンタルガスファンヒーターがあることを教えてもらってお手柄だったと思う」と語る。「だってね、自分で勝手にweb通販で購入して設置しようとしていたとしたら、簡単にカチッとガスホースを繋げばいいだけだと思っているのにあのガスの元栓が動かないと知ったところで途方にくれていたと思うもん。で、自分でもどうやらくんに頼んでもどうにもできなくてガス屋さんに来てもらうことになってたと思うのよ。そこでガス屋さんから『ああ、もうガスファンヒーターは持っておられるのですね。実はガス企業局ではガスファンヒーターのレンタルサービスというのもしておりまして、こんなサービスなんですけれど、もしまた必要になられたときにはよろしければご利用ください』というような話をそこで聞いたとしたらきっと、そのお手軽さと手頃な料金に、がーん、そんないいものがあるんだったらもっと早く訊いてみたらよかったー、しまったー、注文先走ってしもうたー、と思ったと思うん。それを考えると、ガス料金どうなるのかなー、一応訊いて確認しとこ、と自分の頭で考えてさっさと自分の口で尋ねることができるわたしもえらいけど、私がweb通販でポチッと注文する前のタイミングでそういう情報にわたしを導いてくれてもともと購入するつもりだったのとおんなじガスファンヒーターが我が家に来るように差配してくれたガスのかみさまありがとうだよ、ほんとうに」

 じゃあ、私仕事に行くけど、ガスファンヒーター消していこうか、と尋ねると夫は「ううん、そのままで」と言う。私が仕事から帰ってきて玄関に入った時の家の中の暖かさがこれまでよりもまろやかで下半身までまんべんなく暖かさを感じる。ファンヒーターのそばで座椅子に腰掛け温風の吹き出し口から70センチくらい離れたところに両足をおろす。これまでのエアコンにはないそしてコタツの中で足を温めるのともまた異なるほんわりぬくぬくとした快適はもはや快楽に近くてとろりーんとしばしまどろむ。梅シロップのお湯割りを入れたグラスを両手で包みこみちょびっとずつ甘酢っぱくあたたかい梅汁を飲みくだしているあいだに両足がぽわわーんとあたたまる、こんな素敵な満足が今年最後のお仕事のあとで得られるだなんてなんだかなにかのご褒美みたい。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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