みそ文

洋梨のタルトを

 職場で仕事で疲れた状態で食べるお菓子はおいしい。そのとき「わあ、おいしい」と思って後日同じお菓子を買って家であまり疲れていない状態で食べると、おいしいのはおいしいけれどなんだかおいしさがふつうに感じられることがある。

 昨年末最後の営業日、私のシフトは出勤予定時間が11時だった。当日の朝職場から電話があり「今日最終日だから社長が蕎麦でもなんでも好きなものとって皆で食べなさいって言ってくれたんだけど、忙しくて蕎麦食べてる暇がなさそうだから、どうやらさんが出勤するときに通り道のどこかで人数分ケーキを買って来てほしいの。お金はいったん立て替えてもらえたらあとでレジから払うから」と連絡があった。
「わかりました」と応えて電話を切ったものの、普段ケーキ屋さんにあまり縁のない私はうひゃーどうしましょうと途方に暮れ、とりあえず近くのおいしいパン屋さんのプリンを買ってから考えることにした。
 パン屋さんでプリンを買って気持ちを落ち着けたあと、近くのケーキ屋さんに立ち寄る。うーんうーんと考えても普段ケーキ選びのセンスを磨いていない身分ではいろんなことがよくわからないけれど、なんとなくええいっと直感でショーケースの中で一番見た目が地味な洋梨のタルトを選んでみた。

 結果的にこの選択は同僚たちに好評で、疲れた体にナッツののった洋梨のタルトはほのかな焦げ目も含めて香ばしく、その後続いた年末仕事を円滑にこなすことができ、後半の仕事で再び疲れたところで冷蔵庫から取り出されたプリンたちは「わーい、ケーキだけじゃなくてプリンもあるんだー、やったー、こんなにつぶつぶいっぱいバニラビーンズが入ってるー」と再び同僚たちのお腹にするするとおさめてもらえた。私も自分で食べてみて『おお、我ながらこの組み合わせはよかったー、おいしいぞー』と満足だった。私にケーキを買ってくるように指令の電話をくれた薬局長は「どうやらさんに頼んでよかった。自分だったらもっとケーキケーキしたクリームたっぷりのを選んでたと思うけど、この選択が清く正しい暮らしをしているどうやらさんってかんじですごくいいわー。見た目は地味だけど滋養の味の滋味が深くてすべてが体に行き渡るかんじがするなあ」とまで言ってくださる。

 そんなことがあったから、今年になってそのケーキ屋さんの近くに行ったときに年末に職場で食べたのと同じ洋梨のタルトを休日の夫と私ふたり用に買って食べてみたのだが、休日のあまり労働作業の多くない体で食べると洋梨のタルトはぐっと体に重くて、おいしいのはおいしいのだけどこれはもっと空腹度が高い時に食べたいと感じる。

 おいしい食事と快適な睡眠のためにも適度にちょうどよく疲労するのはだいじだなあ。     押し葉

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
暮らし (109)
仕事 (161)
家族 (300)
想 (23)
友 (47)
学習 (79)
旅 (16)
心身 (8)

FC2カウンター

検索フォーム

FC2Ad

Template by たけやん