みそ文

高速で赤福を運ぶ

 約一年に一回の頻度で受けている眼科検診に行ってきた。結果は異常なく良好。久しぶりに受診するとこれまでもあった定番の検査機器に加えて新たな検査機器が導入され便利により精密になっていることに感心する。

 帰宅した夫が「あ、赤福がある」とよろこぶ。「うん、買ってきた、一緒に食べよう」と応える。今回は往復に利用する高速バスの発着時刻と現地で乗り換える鉄道と受診時間との兼ね合いが絶妙で、行きのバスは若干到着が遅れたにもかかわらず、全体に無駄な待ち時間がなくかといってせわしないわけでもなくたいへんすばらしいスケジュールとなった。最近は年に一度しか行き来しないのでいつからそうなのか以前からそうなのか定かではないのだが今回の乗車でひとつ気づいたことがあり夫に報告した。

「あのね、高速バスの座席ってね、自分の前側に、前の席の人の背もたれの裏側の部分があるじゃん、あそこにね、ドリンクホルダーにする開閉できる金具が付いているのはまえからあったんだけど、まえはそれ以外にもパタパタと開閉して使える小さなテーブルがあったような気がするのね。その下には網があって網の中にゴミ袋にできるビニール袋と無料の冊子が入れてあるのは前からそうなんだけど。久しぶりに乗ってみたら今回はその開閉式テーブルがすっかりなくなっていてね、かわりに座席シートの布地と似た素材の布の謎のポケットがついていたの。そしてその布のポケットを私以外のほぼ全員の人が使っていました。さて、そのポケットは何に使うものでしょうか」
「スマホ入れ?」
「えっ、なんでわかるん?」
「だって、世の中のひとたち、なんかしきりにスマホ触ってはるやん」
「うん、高速バスの中から見える町中にも鉄道の通路や階段にも『歩きスマホは危険ですやめましょう』っていう意味の注意書きがあちこちにあったんだけど、歩きながらスマートフォンを見たり触ったりしているひとはそういう注意書きはきっと目に入っていないんじゃないかなあ」
「うん、そうだと思う」
「でも、どうやらくん、すごいじゃん。私、今日、自分の席の前にある謎のポケットをしばらーく眺めて、何をするものなんかなー、と思ったけど、周りの人らがスマートフォンを入れて置いとってのを見てようやく、ああ、そうなんか、ってわかったのに」
「しかし、なんで自分のバッグでも服のポケットでもなく座席の前にスマートフォンを置いておく必要があるんじゃろうか」
「うーん、わからんけど、バッグに入れていたらお知らせに気がつきにくくて、服のポケットに入れるにはスマートフォンのサイズは大きいんじゃないかな。その謎のポケットはねスマートフォンの上部分の数センチが見えるくらいの深さでねまさにそのためっていうかんじじゃったよ」
「スマホのお知らせいうても、バスの移動中に何をそんなに緊急で知らんといけんことがあるん?」
「そりゃあ、人それぞれお仕事の連絡のこともあるじゃろうし、家族の介護や看護に関する連絡が必要な人もおってじゃろうし、重要な緊急連絡というわけじゃなくても、たのしみにしている何かがあるんかもしれんし、人それぞれよ、世の中これだけたくさんの人たちがスマートフォンを愛用しているということは、私達が知らないなんらかの快楽がきっとあるんよ」
「そうやろうなあ」

 赤福は八個入り。今日と明日のおたのしみ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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