みそ文

うどんときしめんは少しちがう

 最近我が家では味噌鍋が流行している。市販の「豚みそちゃんこ鍋スープ」を買ってきて卓上鍋で鶏肉、豚肉、きのこ、豆腐、紀文魚河岸あげ、野菜、麺を入れて煮る。麺は味噌味が濃い目のスープなので雑炊よりもラーメンよりも太うどんかきしめんがよく合う。これに松山あげを加えることもある。

 日曜日の食材買い出しのとき今回はきしめんを二玉買いましょう、ときしめん売り場に並べてあるきしめんを手に取る。売り場にあるきしめんの賞味期限を見ると2月25日と2月27日のものと2月28日のものとがあり、そのときには今週のどの時点で鍋できしめんを食べるかは未定であったから、賞味期限長めのものでと、2月27日期限のものと28日期限のものを一袋ずつ買い物カゴに入れる。そのとき袋の外から触った麺の感触が、期限27日のものと28日のものとではずいぶんと異なるなと感じる。賞味期限が一日異なるだけで麺というものはこんなに違うのか、製造日が一日異なるだけでそんなに喉越しとコシが変化するのだろうか、口に入れる以前の手で触った感覚だけでもこんなに変化するのであればそうだろう、だから手打ち麺を供するような外食屋さんでは時間が経過した麺は廃棄処分にする場合もあるのかな、とカートを押す夫に話す。夫は「そうなん?」と言っただけでレジに向かう。

 レジで会計を終えて帰宅する。買ってきた食材を冷蔵庫に片付けながら夫が「うわ、ほんまや。麺を触った感触がちがう」と言う。「ね、そうでしょ。期限が一日違うと麺の食感以前に触る方の触感までこんなに違うんかね」と応える私に夫は「ほんまやなあ、えらい違うなあ」と言う。

 そして今宵の夕食が豚みそちゃんこ鍋となった。今夜の野菜はもやしとチンゲンサイ。きのこはしめじ。きしめんは期限が27日のものを先に入れて使う。28日のほうは明日の二日目ちゃんこで食べよう。市販の鍋用スープは二人家族で一度に食べつくすには量が多く、一日目の具から出ただしがおいしいから、別の鍋で昆布とだしパックを泳がせて翌日煮出しただしを追加して二日目ちゃんこを食べる。

 はふうはふう、おいしいね、と言い合いながら食べていて、夫が「ねえ、これ、ほんとにきしめん?」と訊いてくる。

「きしめんだと思ってきしめん売り場から取って買ってきて片付けて鍋に入れたけど、そう言われればきしめんにしては少し厚みがあるねえ」
「麺が四角いのは四角いけど、本当に二個ともきしめんだったんじゃろうか」
「どうだろ、もう一個の期限が一日長いほうはまだ冷蔵庫の引き出しにあるよ」

 夫は冷蔵庫の引き出しをあけて「きしめんだ」と確認したあと「今日の麺の袋は?」と言う。「もう洗ってゴミ袋に捨てた」と言うと夫はゴミ袋の一番上にある麺の袋を手にとって「うう、やっぱりちがう」と言う。夫が私にも見えるように見せてくれた麺の袋には「うどん」と書いてある。

「ああ、これは、やっぱりきしめんじゃなくてうどんだったんじゃね。それなら袋の外から触った感触があんなに違っていたのも納得」
「それは、うどんときしめんじゃあ違うじゃろ。売り場で気づかんかったん?」
「うん。きしめんの列に一緒に並んでいたから。袋のデザインや色合いも似ていたのかな。そういうどうやらくんも冷蔵庫に片付けてくれるときに気づかんかったじゃろ」
「うん。気づかんかったなあ。でもこうして鍋の中で煮た麺を見て食べるとやっぱりきしめんとうどんは違うなあ」
「ほんとうにねえ。今日も明日もきしめん食べる気満々だったのに、うどんだったのは、まあいいけど」
「ほんまに、まあええけど、やなあ。でも太めの白い麺ならこのスープには合うからいいっちゃいいんだけど、気持ちはきしめんだったなあ」
「うん、私もきしめんの気持ちだった」

 食後に家計用財布の中のレシートを見る。きしめんはきしめんと、うどんはうどんと印字してある。値段は両方とも一袋48円。きしめん売り場に一列に整然と並んでいるからといってそこに並んでいるものが必ずきしめんだと思い込まず今一度「これはきしめんに間違いないかな」と包装の文字を確認する子に私達は成長するのだろう。

 明日の味噌煮込みきしめん、たのしみ。明日は松山あげも入れよう。     押し葉

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
暮らし (109)
仕事 (160)
家族 (298)
想 (23)
友 (47)
学習 (79)
旅 (16)
心身 (8)

FC2カウンター

検索フォーム

FC2Ad

Template by たけやん