みそ文

それぞれの休日

 夫は金曜日の夜から山へ出かけた。仕事を終えたら高速道路に乗り目的の山の登山口駐車場まで数時間走行し車中泊。本日土曜日の早朝から登り始めて午後には山小屋着。山小屋では二連泊する。山小屋にて一泊ののち、明日日曜日の朝から山頂を目指し、その山のもうひとつむこうにある山の山頂まで行ってからベースとしている山小屋に戻る。月曜日の朝数時間かけて山小屋から駐車場まで下山してまた車を運転して帰ってくる。

 土曜日は私が夕方か夜まで仕事のことが多いのだが、今日はたまたま休みで日曜日月曜日と合わせると三連休になったから、私も夫と一緒に出かけて私は温泉泊にしてもいいなあという計画もあったのだが、金曜日の私の仕事が何時に終わるかわからない(結局夜八時過ぎまでかかった)こともあり今回は同行を見合わせた。

 そうして迎えたひとりでの三連休。洗濯機に酸素系漂白剤の粉をたっぷりと入れてお湯を満たす。少し撹拌してから放置。洗濯は洗濯で大好きではあるが、洗濯機を洗濯するのもかなり好き。洗濯は毎日できるけれど、洗濯機の洗濯をするのは一ヶ月から数ヶ月に一度。

 少し前から背中の左側につっぱるような痛みがあり、先日のカイロプラクテックの調整で体としては快方に向かっているのはわかるものの、もう少し後押ししてやりたい感が湧くから、うちから車で15分くらいのところにある源泉かけ流し温泉に出向くことにする。女湯には岩盤浴もあるのでそちらも予約してから出発。

 温泉施設(日帰り入浴も可能だが宿泊できる旅館でもある)に着くと宿の送迎バスから日帰り利用のお年寄りのお客さんたちが続々と降りている最中で、宿の人たちが玄関で出迎え、昼間日帰り入浴料金千円と引き換えに入館利用券を手渡している。どのおじいさんもおばあさんもバスの中ですでに千円札を用意して握りしめてから降りてきたのだなあ。私は靴をロッカーに入れてフロントで受付をしてもらう。昼間日帰り入浴料金と岩盤浴料金合計で千五百円。岩盤浴用の大判バスタオル(岩盤に敷く)とバスタオル(寝転ぶときに体に巻くかかけるかする)がついてくる。岩盤浴時の水分補給用にフロント横の売店でペットボトル入り十六茶を買う。

 バスから降りてきたお年寄りたちは続々と大広間休憩場に入ってゆく。私は二階の大浴場へ移動する。この温泉には玄関を入ってすぐの一階部分に露天風呂付き大浴場があり、エレベーターで二階に上がって少し歩いたところに岩盤浴付き大浴場がある。この二階大浴場は脱衣所は二階にあるのだが、脱衣所で服を脱いだあと浴室に入るには浴室内の階段を実質一階というか地面と同じ高さまで降りる必要がある。そのためあまり足や脚が丈夫でない年配のお客さんたちはこの移動を避けて一階のお風呂を利用することが多い。

 浴場に降りて行くと誰もいなくて、今日はまだ誰もお風呂を使った形跡がなくて、わーい貸し切り一番風呂だーと喜びながらシャワーを浴びる。髪の毛を高い位置でひとつにまとめて岩盤浴室に入る。むわっとした熱気と蒸気に包まれる。岩盤スペースの「予約」プレートをよけて大判バスタオルを敷く。ペットボトルの胴体にロッカーの鍵をゴムでくっつけた十六茶ををそばに置く。普通サイズのバスタオルを掛け布団のように持って仰向けに寝る。体の背面にぬくもりがじわじわと行き渡る。

 しばらくしたら十六茶を飲んでいったん外に出る。岩盤浴室のすぐ外にある砂利風呂の縁に腰掛けて砂利風呂のお湯に足をつけて足湯状態で体を冷ましつつ休憩。それからまた岩盤浴室に戻り今度は背中側にバスタオルを持ってうつ伏せに寝る。これを何度か繰り返し、体がもういいです満足です、と伝えてくる声を待つ。

 途中でお年寄りが四人くらい入浴してきたが岩盤浴は利用しない。四人のうちのひとりは砂利風呂がお気に入りのようで仲間の人たちを砂利風呂に誘うのだが、他の人たちは砂利風呂にはあまり興味がないらしく大きな湯船に入ったあとは「今から頭を洗いたい」だとか「洗顔剤を持ってくるのを忘れた、ここのボディソープで洗うか」などと話して砂利風呂に入らない。砂利風呂に入っているおばあさんは「砂利風呂に入って横になったらどうせ濡れるからそのあとで顔や頭は本格的に洗えばいいじゃない、来なさいよー」と誘うが結局砂利風呂を利用したのはそのおばあさんひとりだった。そしておばあさんたちは「もうねえ、耳が遠くなってねえ、最近は内緒話いうもんができんようになったんだわあ、何を話しても大声みたいで」「そうそう、自分ちでふつうに電話で話してるつもりでも外の人に聞こえてるらしいわあ」「電話の相手も大声だしねえ」と互いの聴覚部門老齢化を語り合う。

 おばあさんたちが全員あがった頃に私は岩盤浴を終えていったん脱衣所に上がる。しばらく椅子に座って体を冷まして休憩する。その間もおばあさんたちはずっとおしゃべり。「お昼ごはんのあと帰る前には一階の露天風呂の方に入るんや」「私もそのつもり」「露天は顔が熱くならんでゆっくり入れるのがいいよね」

 おばあさんたちが全員出てから私はまた大浴場に下りる。持参のシャンプーで頭を丁寧に洗い持参の洗顔料で顔と体を念入りに洗う。頭は少し前に美容院でうっかり美容室備え付けのマッサージスプレーをつけてマッサージしてもらってから頭皮湿疹がずっとかゆくてなかなか治らず難儀していた。美容院にはいつもシャンプーとトリートメントとヘアオイルを持参するのだが、頭皮マッサージスプレーは持って行く時とそうでない時があり先日はそうでなかった。いつもなら「あ、なにもつけずにお願いします」と言うか「あ、持ってきてるんでこっちでお願いします」と言うかするのだが、なんとなく「あー、まー、いーかー」とそのまましてもらったら、まあよくなかった、ようである。シャワーのお湯でしっかり流したあとに洗面器で湯船の温泉水をすくっては頭に頭皮にかける。髪の毛の水気を切ってタオルで頭を包む。源泉を湯のみに汲んでふうふうと冷ましてから飲む。広い湯船に浸かって体を揉む。砂利風呂に入る。砂利風呂で仰向けやうつ伏せでお湯と砂利を堪能したら体がもうあがりましょうよと言ってくるからおとなしくあがる。

 頭皮の痒みが急速に引く。背中の痛みは軽い。少し前から痛かった左足人差し指のつま先はもう全然痛くない。夏に右足の親指の腹にできたさかむけ痕とその痛みもすっかり消えた。ここのお湯はほんとうに私の体によく合う。

 帰り道にコメリというお店に寄る。深めの植木鉢と軽石と観葉植物用の土を購入。何年も前に母がくれた「蚊連草」という蚊よけの観葉植物の植木鉢に「大きな鉢に植え替えてください」と買いてあるのをずっと放置していたのを植え替える用に。

 自宅近くの食堂で食事をとる。今日のメインの食事としてしっかりめに。きのこご飯、焼き秋刀魚、切り干し大根、きんぴらごぼう、小松菜と油揚げの炒め煮、高野豆腐、ワカメと胡瓜としらすの酢の物、ほうれん草のおひたし。秋刀魚は自分で買って自宅のグリルで焼いて食べるのもおいしいけれど、こうして焼いてもらった焼きたてを二百円でいただけるならそれもいいなあ。この食堂、私の旅先にもついてきてくれたらいいのに。そうしたら旅先でも食べたいものを食べたいだけ野菜中心でらくに食事ができるんだけどな。これくらいしっかり食べると今日の夕食はヨーグルトと青汁くらいでよさそう。

 そして本日余力があればやっておこうと思ったのは家電屋さんへ行くこと。大きな道路を超えて郊外の大型家電店に行く。目的はLEDライト付き拡大鏡。先日職場の先輩が「電気屋さんの招待会のカタログが来てたでしょ、あのカタログの最後のページに載ってるのを見た時に、これだ!!と思って、ちょうど他の用事で電気屋さんに行くことがあったから買ってきたの、三百円」とLEDライト付き拡大鏡を職場に寄贈してくださった。白色錠剤の刻印を監査するときにLEDの明かりをつけて拡大鏡で少しだけ大きくして見るとなんの薬なのかを素早く確認することができて仕事が素晴らしくはかどる。日常生活では何かを読むのも書くのもまったく裸眼で問題ないのだが、仕事中に大きさと形状が酷似した白色錠剤を見分けるときは老眼鏡は要らないけれど何かラクに見える道具があるといいなあ、と思っていたから「先輩、これは素晴らしいです、私が勤務するところすべて(といっても二箇所だが)に置いておきたい」と賞賛した。先輩は「三百円なのがまた素晴らしいやろ」と言う。

 家電屋さんでは過日先輩に教えてもらったとおり二階のレジ横のカゴ盛りコーナーへ直行する。ひととおり見て回りさらにもう一度見て回るが、ない。店員さんに「このカタログの最後のページのこれはどこにありますか」と尋ねる。店員さんも私が見たカゴ盛りコーナーをひととおり見て回りさらにもう一度見るが見つからず、耳につけているインカムのような機械と手元の何かを使って在庫有無の確認をする。そして売り切れで現在在庫なしということと注文取り寄せは可能ということを案内してくれる。「それでは注文をお願いします。それから、入荷後ここまで取りにくるのが手間なので送料負担してもいいですからメール便かなにか送料が安い方法で自宅に送っていただくことはできますか」と頼む。「ご自宅への配送については欠品商品のご注文ですからこちらで配送料は負担いたします。佐川急便での配送になります」とのことでありがたくお願いする。三百円の商品をみっつ注文した。一個は私の勤務先用に置こう、もう一箇所の勤務先には先輩の寄贈品があるから持っていかなくてもよくて、もうひとつは自宅で文字が異様に小さい「利用規約」などの文書を読む必要があるとき用に、残りのひとつは別の先輩が勤務に入る別のお店でもその先輩(錠剤監査用に小さな手元ライトを寄贈してくださっている)がきっと使いたいはずとふんで余分に購入。その先輩に、要る要る?と訊いてみて、ほしいー、ということであれば寄贈、えー別に要らなーい、ということであれば、LEDライト付き拡大鏡が既にある勤務先でいまある一個は調剤室用にして新しくもう一個をカウンター用に置いておいても仕事に便利かも、いいかも、と夢は広がる。

 ああ、よくがんばって家電屋さんでの買い物までこなしたね、と自分をねぎらいつつ帰路につく。帰ったら、浸け置きしていた洗濯機の洗濯の仕上げをする。それから温泉から持ち帰った洗濯物を洗って干す。体が「お昼寝しなさい、お昼寝」と眠気をもたらしてくるから、麻パッドの寝床に倒れこむ。だんだん涼しくなってきたけどまだまだ麻のひんやり感は極上の至福。お家にこもる休日も好きだけど今日みたいな休日も快適でいいな。夫の山小屋滞在時間も快適だといいな。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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