みそ文

灯籠の模様

 今回の帰省では、どうやらの実家に二泊、私の実家に一泊した。私の実家の仏壇は八畳の和室にありそのとなりに六畳の部屋が続いている。以前は六畳の間も畳だったのだが、今回帰省してみたら畳がなくなり床張りにリフォームされていた。みみがー(姪、弟の子、現在中学一年生)の日本舞踊のお稽古用に板の間を作ったのかしら、と思ったがそうではなくて、この部屋の柱と梁を太いものに通し直すことによって家全体の耐震性を高くしたのだとか。太い柱を組み込んだため床面積がこれまでよりも若干狭くなり畳六枚は入らなくなった。それなら板張りにしてもいいかもね、ということで板の間にしたのだという。せっかくできた板の間について家族皆はみみがーに「踊りの練習に使うてもえんじゃけんね」と推奨したが、みみがー本人は「え? ええよ、わたし、じぶんの部屋でこうやってひとりで練習しようるもん」と手のひらをひねって見せ、新しい板の間がみみがーの踊りの練習場所として活躍することはまだない。この板の間にしゃがんであぐらを組み寝転んでうつぶせて体を動かしてみたところヨガをするのにたいへんに塩梅がよいことに気づく。板の上で足の裏が滑ることもなくつっかかることもない。私はひとり「こりゃええわあ」とのびのびとヨガを行う。

 隣の八畳の間に弟とむむぎー(甥、弟の子、現在中学二年生)がやってきて作業を始める。仏壇の前にお盆の灯籠(電気で灯りがともるタイプ)を組み立てる作業。箱からパーツを取り出して弟とむむぎーが一台ずつ組み立てる。むむぎーは弟がするのを見て同じように真似をして組み立て作業を行う。母によればこの灯籠の組み立てを弟の担当にすることで弟にお盆の支度の一端を着実に担わせる目的と次世代を担うむむぎーにお盆文化を伝承継承してゆく目的を兼ねているのだとか。

 灯籠のパーツを仕分ける弟とむむぎーに「私もなにかお手伝いしようか」と声をかける。弟は「ええわいね、ねえちゃんはヨガしようるんじゃろ、ヨガしようきんさいや」と言う。むむぎーが「みそちゃんが手伝ってくれるんじゃったら、おれ手伝わんでもええかね、むこうに行っとっておらんでもいいとか」と言う。弟がむむぎーに「ボケたなすきちみたいなことを言いよらんとしゃっと手伝えや」と言う。私は「そういうことでしたら、私はありがたくここでヨガを」と続ける。身体をほぐしてから鳩のポーズで呼吸を繰り返し始めたところでむむぎーが「みそちゃんなにしょうるん」ときいてくる。私は「鳩のポーズ」と答える。むむぎーはそのまま弟のほうを向いて「なんか、おとうさんのおねえちゃんてかわっとるよね。おとうさんの妹もかわっとるけど」と言う。弟が「ほうじゃろうが。おとうさんがまともでえかったなあ思うじゃろうが」と言い、むむぎーが「うーん、そうかなあ、そうかもね」と言う。

 弟とむむぎーが一台ずつ組み立てた灯籠は電球を覆う部分の模様が薄く透けて見えるのが美しい。二台の灯籠は門番か門そのものの役割を果たすなにかであるかのように仏壇の両脇に静かに配置された。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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