みそ文

扉を閉めたらスイッチオン

 出勤する前に食器を食洗機(食器洗浄乾燥機)に並べて入れる。食洗機用粉末洗剤を洗剤投入口にスプーンでさらりと入れる。食洗機の扉を閉じる。電源ボタンを押す、スタートボタンを押す。

 帰宅したら食洗機の扉を開ける。私が出かけている間に食器を洗いすすぎ乾燥し、さらにはドライキープなる技術で送風乾燥を行い食器と庫内の乾燥状態を保ちつつ温度を下げておいてくれる。食洗機は食器を洗うのも乾かすのもたいへんに上手だ。

 今朝も出勤前に食洗機に食器を並べた。洗剤も入れた。食洗機の扉も閉じた。仕事から帰ってきていつものように食洗機の扉を開ける。食器を片付けようかなと取り出して、あら、なんだか今日はあまりきれいに洗えていないわ、と思う。おかしいなあ。うちの食洗機は食器を洗うのが上手なのにどうして今日はあんまり上手じゃないんだろう。昨日炒めものの調味料にカレー粉(五葷抜き)を使ったから黄色っぽいかんじと油っぽいかんじが残っているのかしら。お皿は手で洗い直しましょう、とシンクに置く。あら、スプーンもあんまりきれいになっていないなあ。他のものはどうかしら。グラスとカップは洗えているようないるような。でもマグボトルは明らかに洗えていないかんじがするなあ、これはちょっと酸素系漂白剤を入れてしっかり洗浄しよう。箸も菜箸もなあんか洗いあがりがいつもみたいにぱりっとしていないなあ。ううむ、もう一度洗おう。すべての食器を取り出す。食洗機の中全体を濡れ布巾でざあっと拭き消毒用エタノールを軽く噴霧する。

 食器類はもう一度洗うものと片付けてもよさそうなものに分けて、片付けるものは卓上にいったん置き、もう一度洗うものをスポンジで洗う。洗ったものは食洗機を食器水切りカゴとして中に並べる。その作業をしていて、はっと、あっと、洗剤投入口に入れた洗剤がそのまま溶けずに残っていることに気づく。ということは、食洗機の扉を閉じて、スイッチを入れて出かけるはずが、スイッチを入れずに扉を閉じただけで出かけて、食器が洗われていないままに扉を開けて片付けようとしたということなのねえ。洗い物を食洗機に入れる前には軽く流水で流しものによってはスポンジでこすっているものもあるからすっごく汚れているわけではないのが洗えているように見えたのかな。食洗機が上手に洗えなかったのではなくて、私が食洗機に食洗機としての仕事をさせるために必要な作業をしていなかったのねえ。いやあ、これは失礼いたした。卓上にいったん置いた食器もすべてシンクに戻してスポンジで手洗いする。

 それにしても実は洗えていなかったことに気がついてよかったなあ。夏の食中毒の季節に洗っていない食器を使うのはなかなかに命がけだもの。食器を使用ごとに水洗いして用いる文化は近年になってからのことだとどこかで聞いたか読んだかしたことがある。毎回食器を洗うわけではない時代に暮らした人であれば毎回洗ったわけではない食器で食事をしてもそう簡単に食中毒にもその他の病気にもならなくて強い子丈夫だったのかもしれないけれど、私が生まれたときにはもう食器は使用ごとに洗浄する文化が完成していたから、私の身体は洗った食器で食事をすることにおそらく慣れすぎている。昔の人はそのへんの衛生事情の兼ね合いもあってあまり長生きしないケースが多かったのかもしれないなあ。世に生きる生き物のひとりとして希望を述べるならば、衛生的には少々課題がある状態での食事であっても体調を崩すことなくひたすら栄養を吸収し血に肉に力にし、なおかつ自分の身体にとって毒となるものはすみやかになにごともなかったかのように排出できたらとは思う。だが私は同じ物を食べて夫がなんともないときでも私だけが下痢や嘔吐に至るあるいはその他の不調に陥るということを何度か何度も経験している。そういった私の身体にとっての危険防止のためにも食器はきれいに洗ったものを使い、そこそこ安定した体調を保って暮らしてゆきたい。

 しかしこの調子で私のうっかりにさらなる磨きがかかると、食器が洗えていないことに気がつかないまま食器を片付けてその食器を次にそのまま使う域にまで到達するかもしれない。そのときに食器が洗えていなかったことに気づくことなく体調良好でいられるか、それともどうしたんだろうおかしいなあ何がどうしたというのだろうと心当たりのないままに体調を崩して苦しむか、どちらになるんだろう。ううむ、どうしてもその二者択一で選ぶのであれば前者を選ぶけれども、できることならそのどちらも選びたくない、どちらにもなりたくないなあ。清潔に洗った食器で食事をし続ける未来に自分の身を置く方向で考え行動していこう。できるあいだはそうしていこう。

 しばらくは食洗機の扉を閉めたらすぐにスイッチを入れて「スイッチオン!!」と声を出し指差し確認をすることにしてみよう。今朝はたしかに食洗機の扉を閉めたその後に何か他のことを思い出してそれをしてからそのあとで食洗機のスイッチを入れましょうと思ったのにそのまま忘れて出勤したという経緯があったように思う。食洗機の扉を閉じたにもかかわらずもう少しあとでスイッチを入れようなどというようなことはせずに、今後は食洗機の扉を閉じたらすぐにスイッチを入れてスタートさせる習慣にして様子を見る。扉を閉じたらすぐにスイッチ。扉を閉じたらすぐにスイッチ。

 私はいろんな家電製品にお世話になりながら暮らしていて、どの家電製品に対しても便利でありがたいことだなあと思っている。中でも洗濯機の仕事に対しては特に尊敬と愛情をおぼえる。そして食洗機の仕事もやはり尊敬して愛している。そんな洗濯機と食洗機には存分にお世話になりながら暮らしてゆきたい。今後も彼らにじゅうぶんにお世話になるそのために、スイッチを入れて作動させることが必要な家電製品に関しては、その「スイッチを入れる」という家電製品を使うヒトとしての基本動作を忘れることなくぜひとも毎回確実に実行したいと思う。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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