みそ文

眠たくなったら眠ること

 数ヶ月まえのこと。たしか二十分ほど前にお薬をお渡ししてお見送りしたはずの女性(小さな子どものおかあさま)が空のプラスチックボトルを片手に「すみません…。さっきシロップのお薬をいただいた者なんですが、あのあと下の子がおねえちゃんのシロップを勝手に開けて半分以上一気飲みしてから『プハーッ、おいしかったー。もういいっ』って、じゃばーって、残りをその場にぶちまけたんです…。お薬全部なくなっちゃって…。どうしたらいいでしょうか。もう一回先生に処方箋書いてもらったらいいんでしょうか」と相談に来られた。

「まあ、それは、びっくりでしたね。シロップは今すぐ新しく作り直しますね。そちらの容器お預かりして一回洗ってそこに入れさせてもらいますね」
「あの、下の子は、おねえちゃんの薬をいっきに半分も飲んで、大丈夫でしょうか、なにかしてやったほうがいいでしょうか」
「そうですねえ、もう何十分かしたら、すごーくすごーく眠くなってくると思いますから、そうしたら、今日はさっさと寝かせてあげてください」
「それだけでいいんですか」
「はい、あとはそうですね、念のため普段よりも様子をよく観察してあげてください、普段よりも異様にぐっすり眠る以外には特にこれといって何も起こらないはずなんですが、一応念のために。喉が乾いて水分をほしがるようならお水でも麦茶でも飲ませてあげてください。それよりも、このあとお渡しする作りなおしたお薬には、もうけっして弟くんの手が届くことがないように、全部おねえちゃんにきちんと飲んでもらえるように、厳重に管理して隠しとおしていただけると助かります」
「それは、もう、鉄壁の守りに入ります。ああ、もう、びっくりしました」
「ですよねー、びっくりしますよねー。今後はおうちの中のすべてのお薬の保管をこれまで以上に警戒態勢でお願いしますね。では、こちらが新しく作りなおしたお薬です。今日から毎晩寝る前にここの目盛を一目盛ずつで四日間続けてくださいね、冷蔵庫保存なのは、先程もう説明しましたね、だいじょうぶでしたね」
「あの、お薬代は…?」
「今回のはお代はけっこうです、このままお持ちになってください」
「ええっ、いいんですか、それはなんだかわるいです」
「いいんです、いいんです、早くお帰りになって、眠くなった人を寝かせる準備をしてあげてください」
「はっ、そうでした。では、お言葉に甘えます、ありがとうございました、失礼します」

 ちょっと勝手にシロップ飲んで、ねんねして、だっこして、おんぶして、またあした。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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