みそ文

ちゃんことちゃんぽん

 昨夜仕事から帰ると、夫が「夕ごはん、ちゃんこ?」と疑問文を装った勧誘をしかけてくる。夫は取立山(とりたてやま)経由鉢伏山(はちぶせやま)経由大長山(おうちょうやま)登頂という長時間山歩きから戻ってきて身体がちゃんこを欲しているのであろうな、ということは想像できる。しかし私の身体は二週連続のちゃんこにそれほどの魅力は感じていない。出勤前に塩麹に漬けておいた鶏肉を焼いて、野菜を炒めて、私が食べても頭が痛くならないインスタントちゃんぽんでの夕食をたのしみにしていた私は「ちゃんぽん?」と問い返す。疑問を装った勧誘。夫は「ちゃんぽん、じゃなくて、ちゃんこ」と返す。

「塩麹に漬けた鶏肉があるん。それでちゃんぽんを作るつもりだったの」
「ちゃんぽんかー、うーん、ちゃんこがいいなー」
「私、疲れてるから、あんまり外出も運転もしたくないからお家ご飯希望」
「ちゃんこ、おいしいよー。シメにラーメン入れたら、ちゃんぽんの希望にも近くなるよー」
「うーん、わかった。じゃあ、明日のお昼ごはんをちゃんぽんにして、今夜はちゃんこにしよう」
「やったー。みそきちどんさんのシビックに乗せて行ってくれる?」
「それはいや。運転はしたくないんだってば。どうやらくんがシビックの運転してくれるんならいいけど、私は運転はしたくない」
「そうかー、わかった。じゃあ、おれの軽で行こう。運転する」

 そんな経緯で昨夜はちゃんこ。二週連続ちゃんこ。ちゃんこ鍋はいつもと同じ内容でネギ・玉ねぎ・ニラ抜きで鶏レバーと豚肉追加、シメはラーメン一玉。単品は「白魚の唐揚げ」「レンコンの唐揚げ」「タコ酢」「焼き鳥塩」。レンコンは私の身体が家からお店までの間に「レンコンが食べたい。レンコンの唐揚げが食べたい」と強く希望してきたため注文。半分に切ったすだちを絞ってかけて食べるレンコンの唐揚げはおいしい。唐揚げでなくても輪切りにしてフライパンで焼いたものも好き。
 食べ始めてしばらくのあいだ夫が「おれ、ラーメンひとりで一玉食べたい」と言うから「じゃあ、ふたりで二玉食べようよ。たぶん私もひとりで一玉食べられると思う」と話していたが、鍋が進むにつれて夫が「二玉も食べられるかなあ、なんかだいぶんお腹がいっぱいになってきたんだけど」と言い始める。「だったら、まず一玉頼んで食べてみて、それでも足りなかったらもう一玉追加注文して食べよう」と提案する。結果的には一玉でちょうどよかった。それ以上食べたら苦しくてつらかっただろうと思う。夫は帰路で「二玉食べようと思ったら、単品をもう一品か二品減らしたら食べられたな」と話す。「減らすとしたら焼き鳥かな」と私が言うと夫は「タコ酢もなくていいかも」と言う。

 そして今日のお昼、インスタントちゃんぽんを作る。オリーブオイルを熱して緑色の冷凍すじなしインゲンを炒める。インゲンを取り出す。そのあと再びオリーブオイルを熱して塩麹につけておいた鶏肉を焼く。鶏肉を取り出す。計量カップで500mlの水を鍋に二回入れる。お湯が沸騰してくる。夫が「どうしてお湯が茶色いん?」と私に訊く。「塩麹がついたものを炒めた鍋をそのまま使っているからかな、塩麹焦げやすいから」と応える。洗濯機が今日二回めの洗濯(一回目は普通の洗い物、二回目はソフト洗いのもの)が仕上がった音を鳴らす。「どうやらくん、ここからちゃんぽん作るのお願いする。私、洗濯物干してくる」

 サンルームに洗濯物を干し終えるとちょうどちゃんぽんができあがったところ。私は洗濯かごを洗濯機の横に片付けてから、胡椒とすりゴマのすりおろし容器を卓上に置く。椅子に座って、いただきます、と手を合わせる。夫は「今日のちゃんぽんには焼き海苔がすごくよく合う」と言っては、丼に焼き海苔を入れる。私のちゃんぽんが終盤に入ったとき、すでに先に麺を食べ終えてスープを味わう段階にいる夫が「このスープはおいしいラーメン屋のおいしいスープに匹敵する」と言う。

「おいしくてよかったね。塩麹漬けの鶏肉を先に焼いた味があとで入れたお湯のスープについたのかな」
「もしかしたら鶏がなくてもいいんじゃないかな」
「先に塩麹だけ少し炒めてそこに水を入れても同じようになるってこと?」
「うん、たぶんそうだと思う。塩麹、すごいなあ」

 夫の山欲もちゃんこ欲も、私の洗濯欲もちゃんぽん欲も満たされた、よき週末、よき休日。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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