みそ文

冬支度をミルクパンで

 快晴の日曜日、洗濯物をたっぷりと洗って干す。普段のちょこちょこざあっとの清掃では行き届かない箇所にもぐっと掃除の手を伸ばす。寝床をあったかバージョンにしつらえる。

 作業の合間にミルクチャイを煮出して飲む。夏の間はその存在をほぼ忘れているミルクパンを取り出してガスレンジにのせる。チャイのブレンド済み茶葉を鍋の水の中に入れる。最初はお湯でそして後半は牛乳を加えて加熱する。茶色と乳色が混ざる液体と鍋肌が接する部分が小さくぷつぷつと煮えて泡立つ。砂糖を足して鍋の中身を木のスプーンでゆるうっと撹拌する。ガスレンジの火を止めたらぽってりとしたマグカップにミルクチャイを注ぐ。

 ミルクチャイにはローズマリーの粉末を散らす。アップルパイにはシナモンパウダーをふりかけるように、ミルクチャイにはローズマリーの粉末。以前一度ミルクチャイにローズマリーを入れて飲むのを試したら以来すっかりとりこになりその後はいついかなる時も自宅でのチャイにはローズマリー。冷蔵庫のスパイスハーブ保管場所からローズマリーを取り出すときに同じ「ロ」がつく「ローレルパウダー」と間違わないように気をつけて毎回慎重に真剣に小瓶をつかむ。そんなに慎重に真剣になるのであれば、そして寒い季節のあいだ何度もミルクチャイを作り頻繁にローズマリーパウダーを使うのであれば、なにか自分にとってひと目でそれがローズマリーであることが認識できるような目印を蓋かどこか目につきやすい位置にシールかなにかでつけおくとよいのではないかしら。

 寝床をあったかバージョンにして一晩寝てみたら、ここしばらくなんとなく気になっていた起床時の後頭部から首と肩にかけてのこわばりのような鈍い痛みが今朝はない。そうか、身体としては既にとっくに寝床をぜひとも温かく整えてほしかったのねえ、とはいってもなあ、ちょっと前まで自分の背中と布団が接する部分が生あたたかくて自分の太ももの左右の内側が近づくたびに熱くて寝苦しくて涼しくすることばかりに熱意を傾けていたから、そんなに急に温感を求めることになるだなんて、これまで何度も夏を生き秋に移行した経験をもってしても上級の寝床整備士になるのはなかなか難しいものであるなあ。

 寝床からひやひや寝具を取り去ってぬくぬく寝具をのべる。押し入れから加湿器を出してきて水を入れ稼働させる。それら一連の作業を終えて整えた空間に身を横たえる。そうしてほのかなぬくもりに包まれるそのときに「ああ冬支度」と思う。そして、そういえば冬に向かうときにはこうして「冬支度」を覚えるけれど、他の季節を迎える時や迎えた時に「春支度」「夏支度」「秋支度」とはあまり意識していないような。冬を生き抜くということは他の季節を過ごすのに比べると少しばかりたくさんの力が必要なのかもしれないなあ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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