みそ文

西洋かんじきスノーシュー

 土曜日の仕事を終えて帰宅したら、休日で家にいた夫が「この冬、ついに、ウィンタースポーツにデビューするかもしれん」と言う。

「ウィンタースポーツいうたら、なんじゃろう。スキーするん?」
「スキーはせん」
「じゃあ、どこかスケートリンクに行くん?」
「行かん」
「うーん、他に冬ならではスポーツいうたらなんじゃろう。羽子板とか凧揚げはウィンター(冬)というよりは正月じゃしねえ」
「いいもの、見つけたんじゃ。スノーシュー」
「あ、それ、スノーシューって、わたし、聞いたことある」
「え? なんで知っとるん?」
「なんでじゃろう。でも、あれじゃろ、こう、かんじき、みたなものを履いて雪道を歩くぶんじゃろ?」
「そうそのとおり」
「ノルディック複合で雪道を歩きようてんのの仲間じゃろ?」
「それはちがう。あれはスキー」
「そうなん? でも、短いスキー板みたいなのを履いて歩きようてじゃん」
「あれは歩きようるように見えるかもしれんけど、実は滑ってる」
「そうなんじゃ。普通のスキーはだいたい両脚をそろえて滑るけど、ノルディックは左右の足を前後にしてるだけで、やっぱりスキーじゃけん滑ってるのは滑ってるんじゃ」
「うん。でもスノーシューは、ほんとうに、かんじき、じゃけん。西洋かんじき。ちゃんと裏には滑り止めがついてて滑らんようになってるし。滑るんじゃなくて歩く」
「で、それは、どこでするもんなん? スキー場?」
「スキー場じゃあ邪魔になるじゃろうけん、まあ、スキー場の近くのスキー客の邪魔にならんようなところの山道、なんかなあ」
「スノーシューをするような、っていうんじゃろうか、スノーシューで歩くような雪山があるん?」
「うん。そのへんの近くの低い山に雪が降ったら、そこの低めのところで」

 夫は「冬の間は山に雪が積もっていて登れない(厳密に言えば登ろうと思えば登れるが、雪山登山をするほどにはまだ自分は登山上級者ではないと自覚しているのと、冬山登山の装備一式揃えるほどの投資はする気になっていないため、冬は登らないことにしているらしい)から、山が雪に覆われる間は、近所でジョギングしてトレーニングしながら春の雪解けを待つしかないなあ」と以前は言っていたのだけど、冬の間も登山初心者なりに山で遊ぶ方法を求めていたのであるなあ、となんとなく感心する。

 スノーシュー(snowshoe)とは、直訳すると雪靴。スノーが雪で、シューはシューズ(靴)のシュー。
 そう思って見てみると、夏の富士山登山ツアーが旅行会社で催行されるように、「スノーシューツアー」なるものが世の中にはあちこちにあるらしいことを知る。登山ほどには登り下りのない「雪山散歩」というかんじだろうか。ちゃんとスノーシューツアー用のコースというのも整備されているようだ。
 実際のスノーシューの客層がどういう構成になっているのかはまだよくわからないけれど、登山人口の半数以上がリタイア年代の中高年者であるという夫の話から想像すると、やはりその世代のアウトドア嗜好の人々が主なお客さんなのかな。
 そういうコースやツアーが用意されているということは、スキーがしたいわけではないしスノーボードもしたいわけではない、が、雪道を歩きつつ雄大な雪景色を眺めるような活動ならしたい、という人たちが一定数以上いるということで、それなりの市場になっているということなんだろうなあ。

 うん。いいんじゃないかな。これまでは雪が降り積もると、夫も私も「あー、雪下ろしがー、雪かきがー」と、どちらかというとあまり歓迎ではない心情になることが多かったけれど、スノーシューで遊ぶとなれば、雪が降れば「やったー」と思い、たくさん積もればさらにワクワクするかもしれないのであれば、それはなんだかお得な気分になれそう。
 もちろん私はスノーシューにまったく興味はないし、雪山散歩には同行しないけれども、夫が上機嫌でうれしそうであるならば、吹雪でも豪雪でもなければ、山間部中心にちょうどよく降ってくれるといいね、という穏やかな気分で降雪積雪を見守れるようになるかもしれない。
 冬将軍さまには今季もまた引き続き、雪の量は市街地は極力少なめでの調整をお願いするけれど、夫が雪が積もる山に行くそのときには、気持ちのよい雪景色に見とれて脳内に嬉しいの汁がいっぱいジュパジュパジョパジョパ出るようなお天気加減にしてもらえるとなお嬉しゅうございます、とお話ししてみることにしよう。

 ところで、夫は普段に山に登る時には熊よけの鈴をつけていくけれど、スノーシューで山に行く時には熊よけ鈴は要らないのかな。クマは冬眠中だろうか。     押し葉

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Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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