みそ文

スズキと酢漬け

 「気になるスズキ」について夕食時に夫に話す。「スズキは魚のスズキだろうか」と言う私に、夫は「そりゃあ、魚じゃろう。人間の鈴木さんを置いて帰っても仕方ないし」と言う。

「そうじゃないよ。魚のスズキを常温の車庫に置いてたら腐るのが心配なんだってば。干物かなあ。スズキ、大丈夫かなあ」
「スズキの干物って、あんまり聞いたことがないなあ」
「うん。スズキは生を塩焼きにしたのが一番おいしい気がする。じゃなくて、としこさんのお母さん、スズキを保冷箱に入れて車庫に置いて帰らはったんかなあ」
「あ。わかった。スズキじゃなくて、酢漬け、なんじゃないかな。みそきち聞き間違えたんじゃない? 酢漬けなら車庫に置いといても腐らんじゃろう。お米と酢漬け、うん、組み合わせもありえるかんじで、それっぽいな。酢漬けだ、酢漬け」
「そうかなあ。酢漬けってなんの?」
「それは知らん」
「どうやらくんは、酢漬けと言えば、なんの酢漬けを思いつく?」
「うーん。小梅?」
「小梅って、カリカリ小梅の小梅?」
「うん。あれ、好き」
「そうですか」

 人様のおうちのスズキの行く末をああだこうだと案じても、本当に仕方のないことであるから、ここはひとつ思い切って、としこさんのお母さんが車庫に置いて帰ったのは、魚のスズキではなくて何かの酢漬け、たぶんきっと小梅の酢漬け、ということで納得して、こころ穏やかにこころ安らかに、自分のお腹に入るスズキとの出会いをたのしみに待つことにしたい。     押し葉

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
暮らし (111)
仕事 (161)
家族 (301)
想 (23)
友 (47)
学習 (79)
旅 (16)
心身 (8)

FC2カウンター

検索フォーム

FC2Ad

Template by たけやん