みそ文

マスクで修行の花粉症

花粉症シーズン全盛期。いろんな対策が功を奏して、花粉症の症状少なめでこの時期を過ごせることの快適度合いを年々更新しているのがうれしい。

夫と結婚して最初の頃は、花粉症の症状があらわれるのはわたしだけで、夫は「なんだかたいへんそうだね」と言いはするものの、生活全般において、わたしに対して平常運転を無意識に要求するような言動が散見していた。しかし、その後、数年して、夫も花粉症を発症する身体となり、その症状がどれほどつらく不便でぐったりとするものなのか身を持って体験してからは、この時期の省エネモード運転での生活は当然だよね、という態度の人に変身した。

わたしは花粉症の症状がひどく出たときの各種損失を知っているから、とにかく症状がひどくならないように、症状が出るとしても軽くて済むように、現れた症状をすみやかに緩和するように、と、その対策をほぼ常に重ねる。小学校入学前からだから、わたしと花粉症との春の逢瀬の歴史は長い。最近は熱愛がさらに燃え上がり、春に限らずほぼ年中逢瀬を重ねるようにもなった。

子どもの頃には、花粉症という語彙もアレルギーという概念もその存在はまだ一般的ではなかった。だから当時自分に適切な対策を施すことができなかったのは、わたし自身も両親も医療機関の人々も仕方がないことだったと思う。そんな状況の中で当時子どもという立場のわたしの前にある選択肢は、親が提示提供してくれる範囲のものに限られていた。けれども、自分が大人になって、世の中の時代がかわって、自分に合わせて自分で対策を選んでアレンジしてゆけるようになり、そして自分なりの快適を追求できるようになった。わたしはそれが果てしなくうれしい。

あれこれと花粉症対策を講じるわたしと比べると、夫は花粉症の症状に対しておおらかというのか鷹揚というのか、なったらなったで、症状が出たら出たで、その時期を「つらいー」「ぐったりー」と言って過ごす。症状が出たらわたしが常備している漢方薬を「ちょうだい」と言って飲み「効いた!」と喜ぶけれど、症状が出ないように事前から予防しようという行動はあまり見られない。

しかし、この春の夫は、珍しく自主的に「マスクを分けて」とわたしに申し出てきた。だから、二人で使うなら、と、大箱のマスクを買い求めた。そして夫は毎日マスクを装着して出勤する。そして「今年は通勤の時も、会社にいるときも、ずっとマスクしてるから、花粉症の症状がすっごい少ない。例年なら会社においてる箱のティッシュがすごい勢いでなくなるのに、今年はあんまりティッシュ使ってない。鼻かむ時間が少なくて、鼻水だらだらで頭がぼーっとするのもないけん、仕事もちゃんとできる。マスクってすごいなー」とうれしそうに言う。

夫がうれしそうであることは、わたしもうれしいのだけれど、既に何年も前より「マスクをしてるだけで、花粉症の症状は激減するよ。マスクしたほうがいいよ」とわたしが助言していたのを「ふうん、そうかなあ」だとか「それは知ってるよ」などと言っては軽やかに聞き流していた夫に、一言たずねたくもなる。「ねえ、ねえ、どうやらくん、花粉症予防にマスクが有効という話は、もう、遥か過去よりわたしが何度も何度も言っていたと思うんだけど、そのときにはずうっとマスクせずにいて症状にやられてぐったりしてたのに、ぐったりして仕事のできない会社員であることも平気でへっちゃらだったのに、今年はなんでそんなに熱心にマスクして予防するの? わたしの提案は聞けなくても、テレビで言ったり新聞に書いてあったりすることは実践する気になるってこと? それはテレビや新聞の情報は重要視してるけど、わたしからの情報は軽んじてないがしろにしているということ?」

夫は「王様のおっしゃることをないがしろにするなどと、そんな、とんでもございません」と大袈裟に言ったあと、「それはね。去年までは、修行、じゃったんよ。マスクなしで花粉症を体験する修行。今年からは、マスクありで花粉症を体験する修行に変わったけん」と続ける。

「どうやらくん、わたしの言うことを聞き流すのや聞かないのはまえから上手だったけど、わたしの言うことに対していい加減な適当なことをつるっと口走ってけむにまく技は、近年飛躍的に上達してるよねえ」と感心すると、「そうじゃろ。修行じゃけん、がんばりようるけん。花粉症もたいへんじゃけど、みそきちと暮らすのもたいへんなんじゃけん」と語る。

マスクは熱くて息苦しくはあるけれど、マスク以外の予防や対策の薬や工夫などのために投資する手間やお金や各種エネルギーはたしかにかかるのだけれども、花粉症の症状がひどくて苦しいのに比べたら、それはずっと許容範囲内だ。丁寧に暮らすことや機嫌よく働くことを信条としている身としては、防げる不都合を防がずに、自分の生活や仕事の質を低下させることは本望ではないから、自分の本望に応えつつ、夫の修行も見守ってみるつもり。     押し葉

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
暮らし (109)
仕事 (161)
家族 (299)
想 (23)
友 (47)
学習 (79)
旅 (16)
心身 (8)

FC2カウンター

検索フォーム

FC2Ad

Template by たけやん