みそ文

オリーブを迎える

「私のオリーブがやってくる」の続編。

本日の私の最大の任務は、オリーブを取り置きしてもらっているパン屋さんにオリーブを取りに行くこと。そのときにオリーブのパンがあればそれも購入すること。その重大な任務遂行のために、雪がちらつく三月の中、パン屋さんへと向かう。パン屋さんに入ってすぐに、店員さんに「オリーブの取り置きをお願いしていた、どうやら、です」と声をかける。店員さんは、この前の人とは違う人だけれども、「はい。少しお待ちくださいね」と奥に確認に行ってくれて、取り置きのオリーブの缶を持って「こちらですね」と言いながら出てこられる。「はい。そうです。ありがとうございます。では、のちほど、パンと一緒に会計をお願いします」と頼むと、「はい。では、レジに置いておきますね」と、レジのすみっこに置いてくださる。

うふふ、うすす、私のオリーブだ、と、ほくそ笑みながら、パンのコーナーでオリーブのパン(正式名は「パン・オ・ゾリーブ、Pain aux Olives、と書いてあった気がする)をトレイに取る。今回は大奮発して三本。ベーコンのパンもまだあったから、こちらも二本。それをお店で二センチ弱の幅に切ってもらって持って帰る。ちなみにオリーブの缶詰の値段は、仕入れ値ではなく、業務用スーパー店頭で個人購入する場合の単品価格で七百四十円。問題なく納得の値段。

帰宅して、手を洗ってうがいをしたら、オリーブ歓迎開封式典の始まり始まり。黒い缶に、黄色いような緑のような、種を抜いたオリーブの実とオリーブの葉っぱの写真がついている。商品名は「Olives Vertes」。缶の側面に貼ってある日本語の表示シールには「グリーンオリーヴ 種抜き」と書かれ、名称は「オリーブ(こちらはヴでなくブ)、原材料は「オリーブ、食塩、酸味料」。固形量360g、内容総量850g。賞味期限は缶蓋に記載で、2013.02.19。保存方法は「直射日光を避け常温で保存」と書いてあるけれど、欄外に「開封後は液体と一緒に別の容器に移し、冷蔵庫にて保存の上、お早めにお召し上がり下さい」とも書いてある。原産国はモロッコ。輸入者は株式会社オリーヴ ドゥ リュック。JANは、5412535000069。日本語シールで隠れている部分以外の文字は、アラビア文字とアルファベットで、アルファベットのほうはおそらくフランス語と、もうひとつはトルコ語かな、ちがうなあ、オランダ語かな(理由は原材料の塩の部分がzoutと書いてあるから)。

缶切りを出してきて、きゅこきゅこきゅこきゅこ、と缶の蓋の縁を切ってゆく。わずかに黄色味を帯びた透明な液体が見えてきて、ふんっ、とオリーブの香りがしてくる。スプーンで缶の蓋を開ける。今度はもっと、どわっ、とオリーブの香りが自己主張する。それから、そうっとスプーンにオリーブの実をひとつのせてみる。きれいに種抜きされた黄緑色の細長い球形が美しい。いきなりパクリと口に運びたいところだけど、式典を厳粛に荘厳に行うためにも、まずは缶の中身全部を保存容器に移す作業を優先する。今回お世話になることにしたのは、スクリュータイプ(蓋をくるくると回して閉めると液漏れしないタイプ)のジプロックコンテナ、二個。最初はスプーンで移していたけど、なかなか仕事が進まないので、小型のお玉に登場してもらう。オリーブの実と漬け液とを二個の容器にだいたい半分ずつ入れて、缶の中身が完全になくなったところで、「ではでは、いただきますよー」とオリーブに挨拶をする。そして、さきほどのスプーンで一粒すくって口に入れる。

ほにゅっ、とした噛み心地のあと、じょわっじょわわわっ、と、オリーブの旨味が口に広がり、香りが鼻に抜けてゆく。あああああん、おいしいよう、おいしいよう、と、ジタバタドタバタと両手両足をばたつかせて、キッチンで一人、満足の地団駄を踏む。二個目は手の指でつまんで、そのむにょっとしたオリーブの実の弾力を指先でちょっと感じてから、パクリ。塩漬けとはいっても、原材料の酸味料がおそらく酢の仲間のなにかで、しょっぱさと、すっぱさと、オリーブ自体の甘いような旨味とがあいまって、なんとも言えないおいしさで、いてもたってもいられなくなり、一緒に買ってきたオリーブのパンを一切れ(オリーブが入っていない部分だった)袋から出して口に入れ、オリーブと一緒に咀嚼してみる。はうううううっ、たまらん。引き続き三個目のオリーブと二切れ目のパンを口に入れて同時に咀嚼開始。くうううううっ。今度は缶詰のオリーブの実はなしで、パンに最初からオリーブの実が入った部分のパンを食べて、焼いてあるのもやっぱりおいしいーっ、とジタバタ。

こうして、無事に式典を終えたオリーブたちが漂う容器に蓋をして、冷蔵庫に片付ける。ようこそ、ようこそ、我が家へ。存分においしくいただきます。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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