みそ文

美容院の飲み物

私がお世話になる美容院(美容室と呼ぶ方はそちらの呼び方で読んでください)は、全体的に満足なことが多いのだけど、全館禁煙というわけではなく、ときどき、たまに、スモーカーのお客さんがいると、その人の席に灰皿が供されて、それで室内全体が、いっきに喫煙空間になるのが、唯一残念なところだなあ、と思っていた。前回行ったときにも、たまたま、たばこを吸うお客さんといっしょになり、よし、これはもう、この美容院の禁煙化の念をそろそろ本気で発動しよう、と、思いながら帰ってきた。

今日、その美容院に行ってみたら、店内何ヶ所かに、「年内いっぱいで、完全禁煙化いたします。ご理解ご協力よろしくお願いいたします」という案内書きが貼ってある。おお。来年はもう、ここでたばこの煙を感じなくて済むのね、念が通じるってうれしいなあ、やはり念は発動してみるものだなあ、とほくそ笑む。

ところで、この美容室では、各種待ち時間のサービスとして、飲み物を出してくれる。「お飲み物は何がいいですか」と訊いてくれて、「何がありますか」と訊き返すと、そのときにあるものを教えてくれる。コーヒーと紅茶は定番で常にあり、あとは、緑茶、ココア、ウーロン茶、オレンジジュース、リンゴジュース、などがあるときにはある。

わたしは午後三時以降は、カフェイン入り飲料を摂らないようにしている。理由は夜間の睡眠の質を確保するため。そしてここ数年は、コーヒーがうまく消化できない体になっている(おいしいのに、飲むとあとで胸やけで苦しくなる)から、コーヒーは、年に一回か二回、お、今日の、今の体調なら大丈夫そうだ、という直感がやってきたときのみ、ほふう、と、おいしくいただく。

そういうわけで、その美容院で飲み物を出してもらうときにも、ノンカフェインのものとなると選択肢があまり多くなく、これまでは「では、お水をください」だとか「お湯をください」とお願いしたりしていたのだけど、今日は、そうよ、自分が飲める飲みたいものを持参したらいいんじゃん、と気がついた。それで、赤ルイボスティーのティーバッグをひとつ小さなビニール袋に入れたものを、ポケットにしのばせて行くことに。

美容師さんが「しばらくお待ちいただく間に、よろしければ何か飲み物をご用意いたしますが、何がいいですか」と訊いてくれたら、すかさず、持参の赤ルイボスティーティーバッグを取り出す。「ありがとうございます。自分が飲みたいものを持ってきたので、これにお湯を注いでもらえますか」とお願いする。「ふつうのポットのお湯で大丈夫ですか」と確認してくれるから、はいはい、大丈夫です、と応える。

しばらくすると、黒いプラスチックの取っ手とカップ受けが繋がったものにセットされた使い捨ての白いプラスチックのカップに、赤ルイボスティーが入ったものが運ばれてくる。美容師さんが「このお茶の出し具合、こんなかんじでいいんでしょうか」と訊いてくれたときに、内心、あ、しまった、ティーバッグをそのまま入れた状態にしてもらえるようお願いするのを忘れちゃった、おかわりしたいときにはお湯だけ足してもらえばいいようにしようと思っていたのになあ、と思いつつ、次回はそれを忘れずお願いしよう、と心に決めつつ、「大丈夫です。ありがとうございます。いただきます」とお礼を伝える。

あたたかい赤ルイボスティーを、ほうっと飲みながら、ああ、自分で飲みたいものを持ってくる作戦大成功だわ、と、にんまりする。今日はお客さんが多くて、いろんな待ち時間が長そうだから、このお茶を少しずつ大切に飲もう、と思って半分くらい飲んだところで、シャンプー台に案内される。さきほどお茶を用意してくれた美容師さんとは別の美容師さんで、「飲みかけのお茶、ここに置いたままでもいいですか」と訊くと、「はい、もちろん、どうぞ」と言ってくれるから、安心して、そのままお茶をテーブルに置いてシャンプー台へ。

シャンプー台での作業が済んで、鏡の前の椅子に移動して、髪の毛が洋服につかないようにするためのテルテル坊主みたいな雨合羽みたいな美容院独特の大きな布を巻いて着せてもらって、ドライヤーが始まる前に、「あ、さっき、待ち時間の時に座っていたところに置いてきた飲み物、いただいてもいいですか」とお願いする。美容師さんは「はい。すぐ持ってきますね」と、わたしがいたところを見てくれるけれど、わたしが飲みかけで置いていたカップが見当たらないらしく、あちこち見てくれたそのあとで、「すみません。誰か気をきかせて片づけてくれたみたいで、どこにもないんです。新しく入れ直しますので。紅茶でよかったんでしたかね」と訊いてくれる。「ああ、片づけてくださっていたのでしたら、もういいですよ。実は、あのお茶、わたしがこの時間コーヒーや紅茶や緑茶が飲めなくて、自分で飲みたいものを自宅から持ってきたティーバッグにお湯を注いでもらったものだったので、同じものを新しく入れ直してもらうことができないんです」と話すと、「なんと。それはすみません。てっきりうちの紅茶かと。まだだいぶん残ってたのに、もったいないことしてすみません」と言われる。「いえいえ、わたしも、カップにティッシュで蓋して、あとで飲みますから、キープお願いします、って今度からはお伝えするようにします。もし喉が乾いたら、また、そのときにお願いしますから、今は、飲み物なしで大丈夫です」と伝えて、美容師さんが「必要な時には、いつでも言ってくださいね」と言ってくださるから、「はい、そうします。ありがとうございます」とこたえる。

美容院の禁煙空間が思い通りになったいま、美容院での次なる課題は、飲み物を飲むのであれば、飲みたいものを飲みたいように飲めるように必要な作戦を練ることだな。とはいえ、美容院では、別段、飲み物を飲む必要はまったくない。だから、作戦も練っても練らなくてもどちらでもかまわないことで、なんだかとっても気がラク。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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