みそ文

旅先での過ごし方

旅先での、わたしの好きな過ごし方。地元のカフェや喫茶店などに入る。ティーポット入りの紅茶があればそれを注文する。たっぷりゆっくり飲めるから。たっぷりのティーポット入りがないときは、カップで飲み物を頼む。スターバックスなどであれば、ヴェンティという最大サイズ(590ml)のカップで注文する。お店に読み物が置いてあれば、その地方の地元新聞を読む。全国紙と共通の話題よりも、地元の求人広告や地域の催し物関係を中心に。もっと小さな個人経営のお店だと、地元の広報誌が置いてあることもあるから、それも読む。ここの自治体はこういうことに力が入っているところなんだなあ、だとか、こんな自治体サービスがあるのはいいなあ、と、ほう、ほほう、と、感心しながら。

一通り読むものを読み終えたときに、周りの人たちが何か話をしていれば、なんとなく耳を傾ける。聴き耳を立てるというほどではない、ぼんやりな聞き具合。地元の年輩の方たちが政治談議などをしているのが聞こえると、こういう茶店で、一般庶民が、こんなふうに「まつりごと」について思い思いの意見を交わすことの、思想や言論の自由と民主主義な様子がうれしくて、ぼーっとうっとりじんわりとする。

それから、たいていいつも持ち歩いているはがきか便箋を取り出して、友人への手紙を書く。どこに来ていて、どんな街で、どんな気候で、どんな景色で、どんな空の色で、どんなふうに過ごしているか、を、思いつくままに書き綴る。旅行とは全然関係ない話題で埋まることもある。はがきならば、郵便ポストを見つけ次第投函して、便箋ならば封筒に入れて持ち歩き、切手を買えるところを見つけたら、そこで切手を買って貼って投函する。

あとは、早めに宿に入り、大浴場があるところならば、一番風呂(一番でなくてもいい)にゆっくりと入る。広い浴槽で全身を伸ばしてから、お湯の中で自分の体を丁寧にじっくりとマッサージする。お風呂上りのほてった体を部屋に帰って横たえて、持参の中山式快癒器に身を任せる。ぐりぐりと、もみもみと、体全体をほぐして、深くゆるやかに息をする。そうしていたら眠気が来るから、するりとお布団にもぐりこむ。そして少しお昼寝(夕寝)する。

夫は、旅先では、小高い所に登るのが好きだ。展望台があればそこまで、お寺があれば石段をひたすら、小山があればそのてっぺんまで、登らずにはいられない。私はふもとから、坂を登って小さくなってゆく夫の姿を眺める。どんどん小さくなって他の人との見分けがつかなくなり、そうしてやがて見えなくなる。夫を待っている間、周りをゆっくりと見渡す。遠くを近くを足元を。葉っぱの葉脈に見入ってうっとりとしたり、木の実をじいっと見つめたり、その場のにおいを感じたり、いろんな音に耳を澄ましたり、うるさければ耳栓をして音を遮断してみたり、蜘蛛が巣を作る様子を「じょうずだねえ」と感心しながら眺めたり、触っても大丈夫そうな大きな樹の幹に手のひらと足の裏をあてて自分の中のいろんなものを放電して木に吸い取ってもらったり、座って自分の足の指を手でぐにぐにと前後左右に動かしてマッサージをしてみたり、体全体をぐううんと伸ばして曲げて体操をしてみたり。あるいは、最初に書いたような茶店で待っている間に、夫は一人で小高い所に登りに行く。そのときそのときの場所で、私が過ごしたいように過ごしていると、しばらくのちに夫が、「満足したー」と嬉しそうに戻ってきて、それでは、と、出発する。

そんな旅の過ごし方。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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