みそ文

へこむのが正解なとき

先月他店へ異動した新人三年目くんが、まだ、私の勤務先店舗にいた頃のある日。「僕、今日、すっごく、へこんでるんです。むっちゃおちこんでるんです」と言う。その理由は、その日の三日前に、三年目くんは店長から頼まれた用事があり、「わかりました。明日連絡しておきます」と請け負ったにもかかわらず、翌日にその連絡をするのをすっかりと忘れて、さらにその翌日の休日もその件について何一つ思い出すことなく過ごし、そして「今日」になって外部業者さんが店内作業しているのを見て、ようやく、自分が業者さんへの電話連絡をし忘れていたことと、自分が休んでいる間に店長が代わりに連絡してくれていたことと、本来であれば自分の休日中に済んでいたであろう作業が今日になって行われていることに気づいたから。業者さんの店内作業日が予定より遅くなったこと自体には、店舗として重大な損失があるわけではないけれど、自分が請け負った仕事をすっかりうっかりし忘れて、それを今日になるまで思い出さなかったということが、彼にとっては大きめの衝撃のある出来事であったようす。

「三年目さん。それはへこむのが正解です。そこはちゃんとおちこみましょうよ。それでへこまず、何も気にせず、まあいいか、へらへらへららと通り過ぎていくようでは、社会人として、仕事人として、いかんと思いますよ」
「ありがとうございます。でもなんか、全然、慰められた気持ちがしません」
「それは、慰めてはいないからです。ここで慰めてどうするんですか。別に責めもしないですけど。でも、忘れたのが店内のことで、店長と三年目さんとの間のことで、よかったです。お客様から承った何かを忘れ去って放置したわけではなかったのはさいわいです」
「それは、たしかに、そうか、な」
「今回のうっかりに関しては、しっかりへこんで落ち込んで、自分は本当はどうしたかったのかどうありたかったのかのイメージを脳に強く残しましょうよ。そして、次回、類似の出来事の時には、今度はうまくやれるように、力を養っておきましょう」
「そうか。そうします。へこむのも落ち込むのもがんばります。今度はうまくやります」
「そうしてください。応援はしてますから」
「はい。うう」

彼がいつか、部下を持つ身になったときに、部下を持つ身になるまでの日々に、あの日へこんでおちこんだことと、あの日以外のいろんなことが、大きな力と小さなたくさんの力として、きっとよき働きをするはず。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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