みそ文

煮込みラーメンのご案内

職場のドリンクストッカー(冷やした栄養ドリンクを販売するための冷蔵庫)の前にしゃがんでの作業中。しゃがんだその高さに視線をぎゅうっと感じる。どんな作業をしていても、お客様の気配があれば、いらっしゃいませ、と、こんにちは、の声をおかけできるように常にセンサーを作動させているのだけれども、そのセンサーにかかるものとは別の種類の強い視線。

視線の主は、私のすぐ隣に立つ小さな女の子。三歳か四歳か五歳になっているかどうか、小学生にはなっていない、そんな年頃だと思う。

「いらっしゃいませ。こんにちは。なにか、か、どなたか、お探しですか」
「にこみらあめん、どこ」
「にこみらあめん、煮込みラーメンですね。ご案内いたします。お家の方もどなたか一緒にいらっしゃっていますか」
「うん。おかあさん」
「そうですか。では、煮込みラーメンのところで、お母さんをお待ちしましょう」

煮込みラーメンは、今の季節の商品だから、季節商品の売り場に、たくさん並べてある。「こちらです」と言いながら、小さなお客様をご案内し、煮込みラーメンの前に来たところに、お母さんと思われる女性が現れ、「あ、いた。あ、あった」と声を出す。

「いらっしゃいませ。お母さまでいらっしゃいますか」と尋ねると、その女性は「はい。ああ、よかった。どこではぐれたかと思ったよー。ほらほら、ここに煮込みラーメンあったよ」と小さな女の子に向けて言う。「おりこうさんなお子様でいらっしゃいますね。煮込みラーメンの場所を尋ねてくださったんですよ」とお伝えすると、「うわあ、そうやったん? ちょっとー、えらすぎるー。お母さんなんか、だーれにも、なーんにも、訊かずに、一人でずーっとうろうろして、ようやく見つけたところなのに、ちゃんとお店の人に訊いて、ほしいものの場所に来るなんて、えらいねー」と我が子を大絶賛。

お母さんの高いテンションとはうらはらに、女の子は、私をじっと見て「ありがとう」とひとこと言うと、煮込みラーメンの前にしゃがんで、「おかあさん。これ」と、商品の箱を手に取り、そして手渡す。お母さんは「ええー、それ、黒い箱のほうじゃん。赤い箱のほうにしようよ。味が違うんだよ」と言うけれど、女の子は黒い箱を手にしたまま「これ」と断言。

自分のほしいものを明確に具体的にイメージして、求めるものを手にすべく、着実に行動を重ねる。それができる、それをする、そうできるときにはそうする。それはとても大切なこと。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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