みそ文

雨に学ぶ

「雨に歌う」

おそらく上記記事のいきさつにより、傘をささずに雨に濡れて歌うことに味をしめた私は、気が向くと、雨が降っても傘をささずに帰宅して、熱いシャワーを浴びる至福を好む大人に成長した。

大学生のときに、授業が済んだ大学から、当時住んでいたアパートまで、その日はルームシェアしていたルームメイトと一緒に歩いて帰った。そのときに、彼女は傘を持っていて、私は傘を持っていなかった。たぶん、登校するときには、雨が降っていなくて、でも帰る頃には雨が降る予報があったから、彼女は傘を持っていたのではないかな。あるいは、もしかすると、私が私の時間割で登校した時には雨が降っていなくて、彼女が彼女の時間割で登校したときには既に雨が降っていたから傘を持っていたのかもしれない。

ルームメイトは、傘を持たない私に「みそさんも一緒に入ろう」と言いながら傘を開いてくれる。「ありがとう。でも、いいん。私、帰ってすぐに熱いシャワー浴びるけん、このまま濡れながら帰るけん」と応えると、「そうなん? じゃあ、わかった」と、しばらく、彼女は傘の中で、私は雨を浴びながら、二人で並んで、なんでもないことを、ああだこうだと笑いながら話しながら、てくてくと歩いて帰る。他に知り合いの誰か学生とすれ違えば「ばいばーい」と手を振ったりもする。

ところが、下校の道中の半分も来ないあたりになったとき、ルームメイトが「ああ。みそさん。私、もうダメ。お願いじゃけん、私の傘の中に入って。私一人が傘に入って、みそさん一人が濡れとったら、なんか私が意地悪しようるみたいなけん、お願いじゃけん入って」と言いながら、傘半分で私の頭上の雨を遮る。

「そうなん? そういうことなら、仕方ないか。ありがと。わかった。入る」と、すでにかなり濡れそぼった状態だけれども、おとなしく傘に入れてもらって歩く。あたりまえだけど、傘に入ると、あんまりそんなに濡れなくて、なんだか少し快適だ。

雨に濡れながら、小さな声で歌いながら、帰って熱いお風呂に入るのは、愉しくて気持ちいいけれど、誰かと一緒の時ではなくて、一人の時にするほうがいいね、と、少し学んだ雨の日。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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