みそ文

コンドロイチン

 年配ご夫婦のお客様。声をかけてくださったのは、女性の方。「コンドロイチンちょうだい。」とおっしゃるので、「はい。コンドロイチンですね。お薬のものと、健康食品やサプリメントのものとございますが、どちらをお求めでしょうか。」とおたずねしてみる。

「薬よ、薬。」
「はい。では、こちらにどうぞ。」

 てくてくてく。医薬品のコンドロイチンコーナーに、ご案内する。

「これじゃない。こんなんじゃない。ちがうちがう。」
「えーと、お薬のコンドロイチンですよね。」
「ちがうわ。サプリよ。」

 さっき、薬や、いうたやん。と思いつつも、にこやかに、
「あ、サプリでしたか。失礼いたしました。では、こちらにどうぞ。」

 てくてくてく。サプリメントや健康食品のコーナーで、コンドロイチン製品を、いくつか手に取り、お見せしてみる。

「サプリメントのコンドロイチンは、いろんな会社が出してまして、容れ物の形も、こういう袋入りのものや、こちらのような瓶入りのものなどがあります。成分的にも、コンドロイチン単品のもの、他のものと混ぜてあるもの、いろいろです。お客様は、どのようなタイプをお求めでしょうか。」
「えー、なんか、こんなんじゃないわ。私らがいつも飲んでるのは、こう、壺に入ってるぶんよ。」
「壺ですか。ガラスの瓶ではなくて、プラスチックのボトルでしょうか。」
「そうよ。プラッチックの壺、壺。」
「でしたら、このあたりでしょうか。」

 と、心当たりのあるあたりの棚を、手でざあーっと、なぞってみる。

「あ。これ、これ!」と、お客様が手に取られたのは、「グルコサミン」。

「お客様。そちらはグルコサミンです。コンドロイチンではないんですが。」
「あ。いいの。いいの。コンドロイチンも買うけど、グルコサミンも買うんや。」
「グルコサミンもコンドロイチンも、別々に、両方ともお求めなんですね。」
「そうよ。いつも飲んでるコンドロイチンは、どこにあるのよ? いつも買って飲んでるのに、どうして私らのコンドロイチンがどれなんかおぼえてくれてないん?」

 そんなん、知らんがな、と思いつつ、

「いつもありがとうございます。プラスチックの壺のような容れ物に入ったコンドロイチンなんですよね。メーカーはどこのものか、あるいはシリーズ名か何か、ご記憶ではないですか?」
「そんなん知らんわ。」
「うーん。ではですね、壺の色や形や大きさは、いかがでしょう。」
「白っぽくて、でっぷりしてて。あ、これ、これ。あったわ、あった。ここにあるじゃない、コラーゲン!」

 ええええっ。コラーゲン?

「お客様。こちらは、コラーゲンなんですよ。コンドロイチンではなくて。」
「わははははー。私ら、もう年寄りやけんねー。自分が欲しいもんの名前も、すぐに忘れたり、間違えたりするのよー。これ、これ、コラーゲン。グルコサミンとコラーゲン。これでいいわ。」
「あの、コンドロイチンは?」
「私ら、コンドロイチンは、飲んでないから。買ったことないから。」
「そうですか。お求めのものがみつかって、よかったです。グルコサミンとコラーゲンとコンドロイチンは、なんとなく仲間ですもんね。うっかり間違えますよね。お体に合うものを、ぜひ続けてみてくださいね。ありがとうございました。」

 とは、言ってみたものの、「ううっ、おばちゃん、たのむわ。」と、こころの中で、かなり激しく、思った。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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