みそ文

天高い秋の姉妹

本日の校正。「ふく袋の活躍

二十代の後半に、韓国ソウルにある延世大学語学堂において、韓国語の語学留学をしたことがある。結婚した年の秋から冬にかけての時期で、大陸の秋の空の、抜けるような天の高さを何度も見上げて深く息をした。

留学期間のある週末に、日本から妹が遊びにやってきた。妹には、空港から大学までの路線バスによる移動方法と、大学構内の説明を、手紙に地図とともに書いて送ってある。妹はその説明に従って、語学堂一階の椅子のある待合スペースまで辿りつく予定だ。私の授業が終わったら、そこで待ち合わせしようね、でも、もしかすると、飛行機が遅れることもあるかもしれないし、そのときには、私がその場所で、椅子に座って待っているから、とにかく待ち合わせはそこね、と、決めていた。

授業が済んで、一階に行くと、妹が待合スペースの椅子に座って、青年と話をしていた。「あ、やぎ、おまたせ。ちゃんと来れたんじゃね。よかった」と声をかける。妹が、「あ、ねえちゃん。あのね、私がここの大学の門に入った後、この場所を探しようたら、この人が案内してくれちゃったんよ」と言いながら、その人に向かって英語で、「ありがとうございました。私の姉です」と紹介する。私も英語と、そして韓国語で、丁寧にお礼を言う。青年は、延世大学の学生さんで、私の手紙の地図を頼りに語学堂を探す妹を見て、声をかけてくださったのだそうだ。語学堂は大学本体とは少し離れたところにあるから、ちょっとわかりにくくて、私も入学試験(クラス編成試験)受験時に、辿り着くのに苦労した。青年は、妹と私を見てにっこりと、「会えてよかったですね。すぐに姉妹だとわかります。じゃ、よい週末を」と、英語で言いながら、軽やかに立ち去ってゆく。

その後、語学堂の学生食堂で遅めのお昼ご飯を食べようと、食堂に向かっていたら、語学堂の教頭先生的立場の先生と階段ですれ違う。この先生には、私がソウルで住むところを探すときに、とてもお世話になっていた。私の当初の韓国語力では、民間の下宿屋さんで下宿するに際しての様々な交渉をするには、私にとっても下宿屋さんにとっても、双方ともに厳しいものがあるだろうと判断してくださってなのか、この先生の弟夫婦である方の家をホームステイ先として、個人的にコーディネイトしてくださったのだ。だから、私が、折々に、この先生にご挨拶するたびに、私の韓国語語彙が増えていることを、先生はとても嬉しそうな顔で喜んでくださっていた。先生は、隣にいる妹を見て、私に、「おねえさん? それとも、妹さん?」と訊かれる。私が、「妹です。日本から遊びに来たんです」と答えると、先生は、「ああ、本当に、顔がそっくりですねえ。すぐに姉妹だとわかりますよ」と言われる。先生と別れた後で、妹が、「今、なんて話ししてたん?」と訊くので、「今の先生は、ここの教頭先生みたいな人でね、私が住むところを探すときに、とてもよくしてくれちゃったんよ。でね、やぎと私がそっくりだって。すぐにきょうだいなのがわかるって」と説明する。「そういえば、さっきのおにいちゃんも、すぐに姉妹ってわかる、って言ってたよね」と妹が言う。

すぐに姉妹だとわかるのはともかく、たまに、妹のほうが「姉」と判断されることがある。それはたぶん、妹のほうが、きちんとしたおしゃれな身なりをしていることが多いからなのではないかな、と、予想している。妹と父は、なんというか「おしゃれさん」なのだ。私はあんまりアパレル業界には、消費者として貢献してないほうだ。けれど、身内の父と妹が、しっかり貢献してくれていることで、なんとなく安心して、気軽な気分で生きている。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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