みそ文

おおらかな休日

職場での休憩時間に、休憩室でストレッチをしていたら、新人二年目くんも休憩を取りにやってきた。「最近、なんだか、いろいろと、仕事がいっぱいいっぱいですけど、みんなよく頑張ってますよね」と、互いをねぎらいあう。私が、「そうそう。聞いてもらえますか。最近疲れているせいなのか、このまえの火曜日、私、休日だったのに、間違って出勤したんですよ」と話したら、新人二年目くんは、「どうやら先生がそんな間違いするの、珍しくないですか」と言う。

「だから、私、自分で自分に久しぶりに、かなりびっくりしました。店長と月度勤務表確認してすぐに、こっそり帰りましたけど、白衣着て、店長に朝礼してもらおうと思って、働く気満々だったんです。店長が、ワースケに私入ってないって、先生休みだった気がする、って教えてくださっても、それでもまだ私、ああ、社員さんたち、またワースケ作り間違えてるわ、くらいに思ってたんですけど、間違ってたのは私でした」
「火曜日のワースケを前日の月曜日に作ったの僕なのに、そんな間違いしませんよ」
「いやいや、新人二年目さんがここのお店に赴任される以前に、私出勤日なのに、ワースケに入ってない、ってことが、過去に何度かあったから、つい、あ、またかな、と思って」
「でも、僕なんか、毎月、月末の十日間くらい、たいてい休日に間違って出勤して、お店に来てから気がついて、そのまま帰ってるんですよ」
「なんで、そんなことを」
「ほら、月度勤務表って、毎月二十日からの分を、何日か前にもらうじゃないですか。あれを、僕、みんなの分は、印刷して出すんですけど、自分の分をなかなか印刷しないんですよ。いい加減もう印刷しよう、と思うのが、だいたい月末になってからで、でも印刷しても、それを自宅に持って帰るのに、またもう数日かかるんです。だから、月末の十日間くらいと、場合によっては月初めも、前日によほどそう思って、翌日の自分の勤務を確認してれば大丈夫なんですけど、それをしてないと、自宅に勤務表ないから、自分の予定がよくわからなくて、とりあえず、会社に行けばわかるし、と思って、出てくるんです」
「で、どの時点で、自分の休日に気がつくんですか」
「事務所の前まで来て、ワースケを確認したときです。あ、自分の名前、今日、ない、やっぱり休みだったか、と思って、帰るんです。あたかも何か用事があってお店に来たみたいな自然さで、そのまま、しなーっと、帰ります」
「わあ。そうなんだあ。私なんか、社会人生活で初めての出勤日間違いで、自分としては、けっこう衝撃を受けてたんですけど、そんなに再々、間違って出勤してたら、衝撃でもなんでもないですね」
「はい。全然。むしろ、やったー、仕事かと思ってたのに、休みだったー、今日は得したー、って思います。最初から休みだとわかってたら、僕、一日中、家で何もせずにぼーっとしてますもん。仕事だと思うから、しゃきっとできて、それでしゃきっとしたあとに、仕事じゃなくて休みだったら、しゃきっとしたまま、休日にやりたいと思ってることをあれこれして、満喫できるじゃないですか。だから、休日に間違って出勤したら、すっごく得した気になります」

新人二年目くんのおおらかさに、やや敗北感は感じるものの、だからといって、彼に憧れて彼を目指すか、というと、それはちょっと違う気がした。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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