みそ文

水力発電

三月末に、友人とその息子くんが福井に遊びに来てくれたとき。

友人親子は、目的地に向かう道中も、いろんなものを目に留めては、旅の行程を愉しむ。山に雪が残っていれば、「富士山みたいだね」と語り合い、道端の看板に恐竜の絵を見つければ、「さすが福井」と感嘆する。そんな友人親子の姿に、「旅人」としての心意気を感じる。

福井市内から恐竜博物館のある勝山市へと向かう道中、山肌に大きくて太い管がはわせてあるのが見える場所がある。小学二年生(小学三年生目前)の息子くんは、「きかぬは一生の恥」を実践しているおりこうさんで、目にしてすぐに「あれはなに?」と質問してくる。

私は「ああ、あれ? あれはね。たぶん水力発電の施設だと思う」と応える。

「すいりょくはつでん、って?」

今度は友人が応える。「水の力で電気を作るの」

息子くんは「ふうん」と言った後、小二(小三目前)として、さらに正しい姿を披露する。「すいりょくはつでん、は、水(みず)の、すい、に、力(ちから)の、りょく、に、発表(はっぴょう)の、はつ、に、電車(でんしゃ)の、でん?」

「はい。正解。そのとおり」

「そうか、水力発電か」もうすでに、息子くんが発音する、その言葉のその音は、きちんと漢字になっていて、水と電気のイメージが、その輪郭をなしている。

言葉や、概念や、その漢字は、こんなふうに、取り込んでいくものなのだなあ、と、そんな過程をいくつも経て、私も大きくなったのだなあ、と、しみじみとした春の日。

この話を夫にしたら、夫は私に「そんなときには、水力発電だとか、本当のことは教えずに、あれはね、秘密のロケット発射基地だよ、って、言わんといかんやろう」と言う。

そうなのか? いかんのか? あんなに山肌にモロ見えで、いったい何が秘密なんだ?     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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