みそ文

大人も飛ぼう

先日肋骨を骨折した同僚に、私は今日「ごめん。私、まちがっとった」と話しかけてみた。同僚は「え? なにが?」と首をかしげる。

「私、これまで、もう、椅子の上から飛んで遊ぶのはやめたほうがいい、ってばっかり言うとったけど」
「うん。私も、もう、あれは、せんほうがええ、って思っとるよ」
「うん、でもね、やっぱり、人間として、飛びたいとき、ってあると思ったん。やっぱり飛びたいときには飛ぶほうがええと思う」
「ええー? そうじゃろうか。でも、私が今回気をつけんといけんかったのは、自分の身長と体重が、子どものとは違う、いうことを考えんにゃいけんのに、それをしてなかったとこじゃと思う」
「うん、じゃけん、大切なのは、飛ばんようにすることじゃなくて、安全対策を十分にしてから飛ぶことじゃと思うんよ」
「そうじゃろうか。飛ばんかったら済むことなんじゃないんじゃろうか」
「まあ、飛びたくないのを、無理に飛ぶ必要はないんじゃけど、なんか、飛びたい! って思うときが、やっぱりあると思うんよ。そう思ったけん、今回、飛んだんじゃろ?」
「そうか。まあ、そうじゃわいねえ。だんなが止めるのも聞かずに飛んだんじゃけん、そうじゃろう」
「じゃけん、飛びたい! と思ったときには、自分の身長と体重と、飛んだ結果起こる振動や衝撃や、そういういろいろを考えて、広くて安全なところで安全に飛ぶのがいいと思う。子どもさんたちみたいに、だんなさんに抱きとめてもらうのは、やっぱり、よっぽど、ジャンプとキャッチの訓練を重ねてたペアの競技者でもない限り、大人同士は、けっこう危ないと思うんじゃ」
「そうなんよ。あのとき、だんなにぶつかりさえせんかったら、ただジャンプしただけのことで、こんなことにはならんかったと思う」
「じゃろ? じゃけんね。今度飛びたくなったときには、安全な状態を確認してから、だんなさんと子どもさんたちには、これから、私、飛ぶけん、横によけて、見ようてよ、って言うてから、華麗なジャンプと完璧な着地を披露して、拍手喝采してもろうたらええと思うん。そうしたら、飛びたい欲望も満たせるし、子どもさんたちに、飛行と着地のお手本も見せてあげられるし」
「あはははは。でも、ああ、そうか、そうじゃね。そうする。今回もそうすりゃあよかったんよ、私」
「でも、まあ、人生、何事も、やってみんにゃあわからんことってあるけんね」
「うん。ほんまに、ようわかった。もう、今回のこの怪我で、何がいや、って、怪我をした経緯を、病院で先生に説明するときの、なんともいえん恥ずかしさ。でも、ちゃんと本当のことを説明せんにゃあ、夫婦間の虐待を疑われて通報されても、だんながかわいそうなし、思うけん、頑張って言うんじゃけど、先生も看護士さんらも、なんか、あきれようてんような、笑いようてんような、そんなかんじなんよ」
「そりゃあ、そうじゃろうねえ。それで、痛みのかんじは、マシになりようる?」
「ああ、それは、もう、すっごいマシ。ただ、私、皮膚がカブレやすいけん、湿布を貼っとったところがカブレて、皮がむけて痛くなったけん、もう貼ってないんよ」
「コルセットは?」
「コルセットはしとる。四週間は必ず続けてください、って言われとるけん」
「それなら、まあ、いいと思う。でも、そういえば、カブレやすいのは、今に始まったことじゃないんじゃけん、今度から病院にかかるときには、カブレやすい体質ってことも話して、湿布だけじゃなくて、塗り薬も希望するようにしたら?」
「ええ? そんなことできるん?」
「できるに決まってるじゃん」
「いやあ、そんなん知らんけん、湿布出されたら、それを貼るしかない思うとるけん。塗り薬って、バンテリンみたいなやつのことじゃろ? 塗り薬なら、私も、カブレんのんよ」
「そうじゃろ。塗り薬は、液体でも、絞りだしのチューブのでも、固形糊みたいなチックタイプでも、好きなのを希望したらいいよ。そのかわり、湿布に比べたら、少しこまめに塗りなおさんにゃあいけんのが、ちょっと面倒くさいといえば面倒くさいけど、カブレて、皮膚がむけるよりはいいと思う」
「そうなんじゃ。ああいうのって、病院にはないけん、こういうお店で買うしかないんかと思っとった。でも、病院で出してもらえるんなら、助かるよねえ。でも、塗りなおしは、たしかに、面倒くさいねえ。けど、一番痛いときは、湿布で、がーっと、ラクにしてから、落ち着いたら、カブレる前に、塗り薬に変えたらいいっていうことじゃけん。痛ければ、朝昼晩とか塗ればいいけど、そうでもなかったら、そんなに塗らんでもええいうことじゃろ」
「うん。痛みがそうでもなければ、一日一回でも二回でも、痛みが気になるときとか、まあ塗っとこうかな、と思うときに塗っとけば。あとは、骨がくっついたり炎症や痛みが治まるまでには、どっちにしても、日にち薬が要るけんね」
「うんうん。あとは日にちようねえ。でも、ええこと聞いたわ。今度から、自分がカブレやすいことも、ちゃんと、病院で言うようにする」

同僚も、私も、全国の大人のみんなも、飛びたいときには、安全を確認して、思う存分、飛ぼう。あと、もしも、何かで怪我したり、病気になったりして、病院にかかるときには、自分に対してより適切な治療を施してやるためにも、必要な情報を、医療関係者と共有することをこころがけよう。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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