みそ文

箪笥と鏡台

本日の校正「あたり

祖母がお嫁に来るときに、嫁入り道具として持って来た「箪笥」と「鏡台」を、祖母はとても大切にしていた。暇があれば乾いた布で磨いて、いつもピカピカに保っていた。祖母は生前、「箪笥はやぎちゃん(妹)に、鏡台はみそちゃん(私)に」と、言っていたらしく、それぞれ、祖母の形見として、譲り受けることになった。祖母の没後は、実家の母が、箪笥のことも鏡台のことも、丁寧にお世話してくれていた。しかし、明治生まれの祖母の嫁入り道具だから、製作そのものは、たぶん大正後期が昭和開始期のものだ。それをそのまま引き続き現代に使うには、若干の不都合感が否めない程度には、やはり老朽化していた。それをこのたび、母と妹が、家具職人さんに頼んで、修理してもらったという。元旦に見せてもらった箪笥と鏡台は、姿はそのままでありながらも、見た目と使い勝手が、大幅に円滑になっていた。

今回帰省するにあたって、荷物の準備をしているときに、私は何か、もう少しお金を多く、何万円か持って帰らなくてはならない予定があるような気がしながらも、それがいくら必要で、何のお金なのか、誰に払うのか、どうしても思い出せずにいた。いくら考えてもわからないから、もう、いいや、思い出したらそのときにATMで出せばよしにしよう、郵便局は年末31日まで営業しているはずだし、ということにした。だから手持ちの財布には、道中自分が何か食べたり飲んだりするのに必要な金額くらいしか持たず、あとは甥っ子と姪っ子用のお年玉の二千円札とポチ袋を持つだけにした。元旦に、妹宅で、修理の済んだ祖母の箪笥を見てようやく、「あ、私、鏡台の修理代金を払うことになってたんだ」と思い出す。妹に「ごめん、私、なんかお金を持って帰るの忘れとるなあ、と思いながら帰って来たけど、鏡台の修理代金が要るんじゃったんじゃ。今日明日で、開いてるATM探して寄るの、めんどくさいけん、やぎの銀行か郵貯の口座番号を教えて。むこうに戻ってから振り込むけん。ネットバンキングなら家でゆっくり作業できるし」と話す。妹は「そっちのほうがめんどくさいじゃん。すぐに要るお金じゃないし、次に会えたときでええわいね」と言い放つ。

家具職人さんと交渉したり、古い家具を修理に出したり、そうしたことの連絡をくれたり、そのお金を私の分まで立て替えて支払っておいてくれたり、さらには借金の返済を気長に待ってくれたり、と、妹は、ほんとうに、大きくなったことだなあ、と、しみじみとする、二千十年のはじめ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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