みそ文

みずまんじゅう

日曜日に日帰りで、夫が一人旅に出かけた。行き先は、立山の「みくりが池温泉」。日本で一番標高が高いところにある温泉で、晴れていれば立山連峰も見渡すことができる場所らしい。

土曜の夜まで、夫は私に向かって、何度も、「一緒に行こうよ。お山の上はたのしいよ。みそきちは運転しなくていいから、ずっと助手席で寝てていいよ。」と誘ってくれるのだけれども、「私、おうちでゆっくり寝たいから。」と断る。それでも夫は、「だから、助手席で、ずっと寝てていいって言ってるじゃん。」と同行を推奨。私は「平べったいところで、お布団にくるまって寝たいの。」と具体的に希望を述べるも、「助手席を倒してフラットにして、毛布も持ち込んだらいいじゃん。」と提案される。「えーとね。振動のないところで、寝たいの。それにね、車にムアツ布団は持ち込めないでしょ。」と言ってようやく、「そうか。車にムアツ布団は持ち込めんなあ。」と納得してもらえた。(私が愛用しているムアツ布団は、110ニュートン2層式アコハード・ムアツ)

夫は朝7時前に出かけて行ったらしく、私がたっぷりと眠って11時頃目覚めたときには、すっかり気配がなくなっていた。

夕方5時前に帰って来た夫を出迎える。夫が「これ、お土産。」と小さな和菓子の包みを手渡してくれる。私は、「わあ。みずまんじゅうだあ。冷やしといたらいいね。夕ご飯の後で食べたらいいね。」と、喜びながら、冷蔵庫に片付ける。

夜になって、その日の出来事をメモ的に書き記しているネット上の媒体に、「夫が一人旅に行ってきた。お土産は水饅頭。」と、私が書こうとしていたら、夫がそれを覗き込んで、「字が違う。みずまんじゅうは、一部平仮名じゃん。」と教えてくれる。「あ、そうか。」と言ってから、「みず饅頭」と書き直してみる。夫は、「違う!饅頭が漢字じゃ重いじゃん。全然おいしそうじゃないじゃん。」と、再度指摘してくれる。それで、私は、もう一度、「あ、そうか。」と言い、「水まんじゅう」と書き直す。私が書き直している間に、夫は実物のお菓子を持ってきて、「ほら。これ。水まんじゅう。水が漢字で、まんじゅうが平仮名だからこそ、つるりと喉ごしがよくて爽やかなかんじが出るんじゃん。全部漢字で水饅頭とか、だめじゃろ。」と言いながら見せてくれる。私は、「本当だねえ。不思議だねえ。」と言いながら、「お土産は水まんじゅう。」と正しく書いてから、投稿ボタンをクリックする。

同じ「みずまんじゅう」という音でも、「水饅頭」と「みず饅頭」と「水まんじゅう」では、感じが全然違うんだね、不思議だね、と、二人で語り合う。そして、ふと、顔を見合わせて、「カタカナだったらどうだろう。」と思いつく。「書いてみよう、書いてみよう。」と、キーボードで「水マンジュウ」と書いてみる。私は「なんだろうねえ。全然おいしそうじゃなくなったね。」と言い、夫は「なんか中華っぽい気がする。平仮名がカタカナになっただけで、爽やかさがなくなる。」と言う。ディスプレイの文字を見て、二人並んで、リビングに、ごろごろ、と寝転び、げらげら、と笑う。

そのあと、私が夫に、「ところで、今朝はお見送りもせず寝てたけど、無事に出かけられてよかったね。朝7時に出かけて夕方5時に帰宅する日帰り一人旅ツアー、充実しててよかったね。」と言うと、夫は、「確かに充実感はあるけど、みそきちどんさん、今朝、俺が、起きて準備して出かけようとしたときに、布団の上に起き上がって、座って、にこにこして、俺に向かって、ひらひらと、手を振ってたけど、あれ、おぼえて、いないのか?」と、少し驚いたような顔をする。そんなことがあったとは。私が眠っている間に、私が何も知らないうちに、夫も、世の中の人々も、私も、いろんなことをしているらしい。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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