みそ文

お台場ガンダム

7月の下旬頃、8月の勤務予定表を見た同僚が「あ。どうやら先生。お盆出勤になってる。今年は広島帰らないんですか?」と訊いてきた。「あ。今年は、9月のお彼岸連休に帰省しようと思って。お盆の暑い盛りに、長距離運転するのも、暑い土地に長期滞在するのも、寄る年波とともにだんだんとつらくなってきたんで、ちょっと涼しくなったころを狙ってみることにしました。」と応える。以下、同僚と私との会話。(同僚→私→同僚→私、の順で会話している。)

「広島までって、高速で、どれくらいかかるんですか?」
「時間ですか?」
「はい。」
「順調に走って、普通に休憩もして、運転も交替して、7時間が目安かなあ。」
「うわ。そんなにかかるんですか。」
「7時間はスムーズなときなんで、ちょっと渋滞したりすると13時間くらいかかっても仕方ないですかねえ。」
「げー。それって、距離はどれくらいなんですか?」
「550kmくらい。」
「えー。じゃあ、500kmを5時間で行くのは無理かなあ。」
「ずーっと高速道路で、一般道なしで、時速100km維持できて、休憩なしで、5時間ですね。」
「はあ。やっぱり無理じゃん。5時間なんて。」
「近々どこか行くんですか?」
「はい。お台場へ。」
「え?お台場?」
「お台場です。先生、お台場って知ってます?」
「はあ。でも、なんで?」
「ガンダムって知ってます?お台場に実物大のガンダムがいるらしいんですけど。」
「はい。知ってます。でも、なんでお台場でガンダムなんですか?ガンダム好きなんですか?」
「いいえ、私は全然。ただ、うちのだんなが・・・」
「もしかして、ガンダムおたく、なんですか?」
「はああああ、そうなんですよ。そうだったらしいんですよ。知らなかったわけじゃなけど、そこまでとは知らなかった、というか。」
「それは、仕方ないですね。それにしても、7月の沖縄に続いて、旅先、暑いところばかりですね。」
「でしょ?いやなんですよ、私。うちは、山の高原のキャンプ場で、長袖着て、寒い寒い、って言いながら過ごすのが、夏休みの恒例で、私も子どもたちも、今年もそれ、すごく楽しみにしてたんです。なのに、だんなが・・・」
「それは、ガンダムおたく、としては、キャンプに行ってる場合じゃないんでしょう。」
「って、言ってました。「俺は、お台場でガンダムを見るまで、死んでも死にきれん!」とも言ってました。」
「あはははは。いいですねえ。」
「だから、私、「それなら行かんでよろしい。行って満足して死んだら困るし。家買ったばっかりで、まだまだローンもあるんやし。死なずに元気に働いてもらわんと。キャンプ行こう。涼しいところ行こう。」って言ったんですよ。そしたら、だんなが、「ちがう!言い間違えた!お台場でガンダムを見たら、元気に働けるんだ!元気に働くためにも、俺にはガンダムが必要なんだ!」って言い出して、さらには、「俺は!子どもたちに!ガンダムの素晴らしさを伝えるんだ!!これは!俺の使命なんだ!!」ってもう、暑苦しくて。」
「いいですねえ。素敵ですねえ。」
「はあ。もう。で、だんなが、お台場までは500kmだから、5時間で行ける、って言ってたけど、どう考えても無理ですよね。」
「ああ。お子さん二人とも小学生ですもんねえ。子どもはそんなにいろんなことをさっさとできないですからねえ。休憩も余裕を見たほうがいいし。」
「うちの子酔うから、吐いたりして、水道で口ゆすいだりしてたら、もっと時間かかるし。」
「それは、さらに余裕を見たほうがいいですね。」
「ですよねえ。だんな、私を説得したいあまり、時間短めに言ったんやろうなあ。はあ。まあ、もう、行くって決めたし、がんばってみます。」
「まあ、せっかくなら、楽しんできてください。長距離移動の道中が、あんまり暑くないといいですね。」
「ほんとに。思い切り曇っててほしいです。なんなら雨降ってくれてもいいくらい。暑くて眩しいと、私、偏頭痛ひどくなるし、ほんと暑いの苦手なんです。」

その同僚のお台場行きの有給休暇は今日から。そして今日は、北陸にしては、ほんとうに珍しく、よく晴れて空が眩しく、残暑厳しい一日だった。ここ何日か、もうすっかり、秋になったかんじだったのに、今日は何かを思い出したみたいに、夏が本気を出していた。職場では、出勤した皆が口々に、「今日の高速道路は、暑くてたいへんそうねえ。」と、彼女を想った。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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