みそ文

家庭内の獣の毛

 妹夫婦が遊びにきたとき。うちの居間に四人で、三本川ならぬ四本川状態に並んで寝転び、大河ドラマを見る。ドラマが終了して、妹が、「ねえちゃん。見て。これ。知っとった?」と言いながら、手のひらにすくったもの私に見せる。

「ん? なんだ? それは?」
「もっきゅん(義弟。妹の夫。)が、こうやって、しばらく、ごろっと横になっとるとね、すね毛が抜けたのが、足元のあたりに、ふわふわーっと、たまるんよ。」
「うわ。そんなに?」
「そうなんよ。すごいじゃろ。うちは、とーちゃんも、にーちゃんも、すね毛が殆どない人らじゃけん、見慣れんじゃろ。もっきゅんやおにいさん(私の夫)みたいに、普通に毛深い男の人が、おらんかったけんねえ。」
「しめじ(弟。妹にとっては兄。)は、私の脛を見て、ねえちゃんは毛深いのぅ、いうて言うくらいじゃもんねえ。こんなの全然毛深くないのに。あ。そういえば、うちのバスマットとかトイレマットに、頭髪でも陰毛でもない、微妙な長さのよわよわしい毛がよく落ちてて、二人暮しだけど、いったい、誰のどこの毛だろうか、と思って、ずっと謎じゃったんよ。すっごい細くて短いけん、もしも頭髪だとしたら、それはそれで、どうやらくんの頭の毛髪力、ちょっと問題ありすぎかも、と思ったりして。あー。そうかー。どうやらくんのすね毛じゃったんじゃねー。すね毛なら納得じゃし、安心。でも、すね毛がそんなに抜けるっていう発想がなかったわー。」
「じゃろ。うちも結婚してすぐの頃は、ネズミを屋内で放し飼いにしようたけん、あちこちに落ちとる短い毛は、私、ずっと、ネズミのやつじゃと思っとったんよ。それが、ネズミがおらんようになっても、相変わらず毛が落ちとるけん、おかしいなあ、と思うて気にしようたら、もっきゅんの通り道や足元に落ちとるのがわかったんよ。」
「うわー。人間のすね毛って、けっこういっぱい抜けるんじゃねー。で、抜けたのがそんなにわからんくらいに、常に新しく生えてきとる、いうことなんじゃねえ。」
「もっきゅんが、玄関で靴を履くときに、座って、ジーンズの裾を持ち上げて、靴を履いてから、また裾をおろして、ってしたりするとね、いっきに抜けるみたいで、玄関に、ほわほわーほわほわーって、毛が舞うんよ。」
「なんかあっても、なんもなくても、抜け落ちたすね毛を追って鑑識したら、けっこういろんなことわかるかもね。」
「そうなんよ。私が仕事から帰ってきたときに、もっきゅんが、家におった日じゃったりすると、『今日は一日全然ごろごろしてなかった!』とかって、わざわざ教えてくれるんじゃけど、居間にしゃがんでみたら、すね毛の抜けたやつの密集してるところと、頭の毛がぱらぱら抜けて落ちてるところとが、もっきゅんの背の高さにぴったりでねー。今日、もっきゅんは、ここで長時間、横になって過ごしとったんじゃなー、いうのがわかるんよ。別に、ごろごろするのは全然かまわんのんじゃけど、全然ごろごろしてない、とかって、嘘つこうとするのはやめてほしいよね。」

 この夏の発見。人のすね毛は意外とたくさん抜け落ちて、頻繁に生え替わる。     押し葉

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
暮らし (109)
仕事 (161)
家族 (299)
想 (23)
友 (47)
学習 (79)
旅 (16)
心身 (8)

FC2カウンター

検索フォーム

FC2Ad

Template by たけやん