みそ文

他人の激似

 海の日をからめた連休を利用して、土曜日日曜日月曜日と、広島に住む妹と義弟(妹の夫)が、二人で遊びにきてくれた。

 広島を朝早く車で出発し、高速道路をひた走り、北陸の地に入るのはお昼前後。
 「今どこどこまで来たよ。」という妹からのメールを確認して、出勤する。妹夫婦には、「夜七時まで仕事じゃけん、七時半前に合流して、一緒に夕ご飯を食べに行こう。それまでは、観光したり、温泉銭湯に入りに行ったり、うちでお昼寝したり、好きに過ごしてね。玄関にタオルとバスタオルとお風呂道具は用意して置いてあるけん、持って行って使ってね。どうやらくんは、休みでうちにいてくれとるけん、必要に応じて連絡して、いいぐあいにしてもらってね。」と、伝えてある。

 そして私は、いつものように、職場で仕事をしていた。
 お客様を見かければ「いらっしゃいませ。」「こんにちは。」と声をかける。何か探し続けていらっしゃるようであれば、「お探しのものはありそうですか。」と声をかけてみる。
 私の職場では、十数列くらいの通路が並んでいて、その両脇に商品棚が置いてある。各通路の半分の長さのところには、各通路を横切るように中央通路が配置されている。私はその中央通路を歩きながら、お客様をご案内した売り場から、自分の担当売り場まで、歩いて帰る途中だった。右左と通路を見ては、お客様の姿を確認すると、挨拶の声をかける。

 四列目にさしかかって、ふと右側に目をやったときに、若い男性のお客様がいらしたので、「いらっしゃいませ。こんにちは。」と会釈をしてから直進した。
 次の列(五列目)で左右を見たときに、また右側に、先ほどの若い男性のお客様の姿が見え、今度はその人は、なんだかとてもにこやかに、私に向かって微笑んでくださる。常連のお客様だろうか。記憶にない方だけれども、義弟によく似た体格と顔の人だなあ。
 六列目で再び左右確認したときには、そのお若い男性のお客様は、明らかに私に向かって、片手をあげて、「きたよ!」という表情を投げかけてくださっている。どなただろう。リピーターさんだろうか。それにしても、つくづく義弟によく似ている。世の中にはよく似た人がいるものだ。他人の空似とはよく言うけれど、これはもう他人の激似だね、と思いながら、どなただろう、と記憶を手繰る。

 と、ここで、はたと、気づく。ちがう。他人の激似で似てるんじゃない。あれは義弟本人だ。
 今頃は、どこか観光に行っていると思い込んでいて、職場を訪ねてきてくれることを、迂闊にも、全く想定していなかった。

「うわあ。もっきゅん(義弟の呼び名)じゃん。来てくれたんじゃ。遠くから、長距離長時間運転お疲れ様でした。ようこそ、ようこそ、よくきてくれたねえ。」と、ようやく、声をかける。ふと気づくと、妹も、そこにいる。
 二人は、「職場の皆さんに食べてもろうて(食べてもらって)。」と、広島のお菓子を手渡してくれる。職場では、妹夫婦が来てくれることになったからと、もともとは出勤予定だった海の日(月曜日)を休みに変更してもらっていた。
「私ら(妹夫婦)が来るけんいうて、ねえちゃんが休みを取ってくれて、ねえちゃんがおらんようになるぶん、職場の他の人らが頑張ってくれてんじゃろうけん。」と、たぶんそう思い、だからと、手土産の菓子を届けてくれる、そういう大人らしい気配り心配り機能を搭載している妹夫婦のことが、私は、大好きで、自慢だ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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