みそ文

包丁生活

 前回の日記「爪と絆創膏」に書いたとおり、料理中に爪を怪我して以来、なにやら、食事のしたくをしていると、夫が妙に傍に近寄ってくる。私はごくふつうに、日常的に、洗ったり切ったりの作業をしているだけなのだけれど、夫は「替わろうか? 俺が切ろうか?」と何度も私に言ってくる。

「なんで、そんなに替わろうか、って言うん? わたくし、何か、手際がよろしくなくなってますでしょうか? それとも、どうやらくん、お腹ぺこぺこで飢え(かつえ)てて、私の料理速度での出来上がりが待てない、とか?」
「ちがうよ。今日は別に飢えてない。だって、みそきち、自分の爪を切り落とすじゃん。怖いじゃん。」
「それはご心配おかけしまして。でも、この爪切ったのって、結婚してから初めてじゃん。生まれてからも初めてだし。そういえば、小さい頃には、指本体の親指の爪の下辺りをぶっすりと切ったことがあるけど、爪を削いだのは初めてじゃけん。たぶん、もうせん(もうしない)と思うよ。いくら私が鳥頭(いろんなことをすぐに忘れる脳みそ)でも、身の危険に関することは、ちゃんと記憶できるはず。」
「そうかなあ。だいじょうぶかなあ。パソコン使うからつけといて、って頼んでも、うん、わかったー、って言いながら、パソコン消したりするじゃん。それで自分でびっくりしたりしてるじゃん。だいじょうぶかなあ、鳥頭。」
「大丈夫じゃなさそうだったら、そのときにまた考えようや。それよりも、そんなに手持ち無沙汰なら、私が切った材料を、順番にフライパンで炒めてくれる?」
「よっしゃ。まかせろ。」

 と、ただでさえ簡単な料理に二人がかりで取り組んで、よりいっそう素早く仕上げる。「いただきます」と唱えてから、向かい合って食事する。
 こうして毎日おいしく食べて、元気に生きている分だけ、爪は少しずつ伸びてくれる。
 もう少し(一週間か十日くらい)したら、「異様に深爪した人」くらいの状態にはなれそう。よかった。頑張ろうね、私の爪。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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