みそ文

新型マスクの提案

 今日も一日マスクなしの営業。医薬品コーナー前とマスクコーナーには、「ただいま品切れ中です。入荷予定も未定です。申し訳ございません。」の案内を貼ってある。それをぱっと見て、そのままお帰りになるお客様もいらっしゃれば、「やっぱり、ないんですか?」「いつになったら入るんですか?」と声をかけてくださるお客様もいらっしゃる。

 医薬品コーナーは、店内でも入り口から、一番離れたところにある。入り口から、てくてくと、さらにてくてくと、歩いて来てみたら、「マスクはありません。」と書いてある。それでは、マスクの有無だけ知りたい人にとっては、余計に腹が立つのではないだろうか。そう思って、店長に相談してみる。

「店長。今、マスク品切れです、のご案内を、医薬品コーナーとマスク売り場には掲示してあるんですけど、お店の入り口入ってすぐのところにも、目立つように掲示してみてはどうでしょうか。入り口で、マスクがないことがわかれば、奥まで探しに行く無駄な動きをしなくて済む分、お客様のがっかり感も、多少は少なくて済むのではないでしょうか。」
「入り口ですか。できることなら、とりあえず、店内に入っていただくだけでも入ってもらいたいのが本音ではあるんですが。一応お店に入ってもらって、マスクがあるかないか訊いてもらって、それでマスクはなくても、何か他のものを買ってもらえるかもしれませんし。」
「いえいえ、店長。マスクだけをお求めのお客様は、マスクがないと知ると、すぐに、他のお店に向かわれます。それに、ああ、そうか、店長は、一昨日お休みだったから、まだ報告してなくて、ご存じないんでしたね。実は、一昨日、マスクがないことに激怒したお客様が、売り場で延々と私に向かって怒鳴り続ける、という出来事があったんですよ。マスクが用意できないなら、お店をするのをやめてしまえ、って。非常にお怒りでした。」
「えっ、うわっ、そうなんですか。そんなことがあったんですか。全然知りませんでした。それはいけません。そういうことなら、すぐに作って掲示しましょう。」
「ありがとうございます。たぶんそれで、スタッフのマスク対応の仕事が減れば、みんなの通常業務も、もっと捗るかもしれません。今は何かしてても、すぐに、マスク対応で仕事が中断していますから。」
「わかりました。じゃあ、紙は一番大きいサイズで。じゃあ、マスク売り場の案内のサイズも、今の大きさから、一番大きいのに変更しましょう。」
「はい。了解です。では、両方に掲示しますね。」

 という経緯の後、お店入り口にも掲示。こころなしか、その後の、マスク問い合わせが減ったような気がする。今日は、新しい企画の売り場も、二ヶ所作成できたし、とても仕事が捗った。ああ、今日もよく働いた。よかった。
 そう思っていたら、「すみません。入り口にも、マスク売り場にも、マスクないです、って書いてあるけど、やっぱりないんですか?」と、お客様が声をかけてくださる。

「はい。そうなんです。すみません。」
「入荷予定も未定って書いてあるけど、そうなんですか?」
「はい、そうなんです。基本的には、薬関係の荷物は、火曜日の夜と金曜日の夜に入ってきますので、マスクもそのときに、入れば入るんです。でも、今は、マスクに関しては、こちらからは、いっさい注文が受け付けてもらえないので、入ってくるかどうかは、そのときそのときの、本部での在庫確保状況次第なんです。在庫が確保できれば、各店に少しずつ配分があるかもしれない、という状態です。」
「じゃあ、明日の夜、来たら、入ってる?」
「ええと、今日は、金曜日ですよね?」
「そう、そう、今日が金曜日。」
「では、今日の夜に入れば入ってきます。たとえ今夜少し入荷したとしても、売り場に出すと同時に、個数制限していても、数分以内に完売してしまうような状態なので、本当にタイミングよくご来店くださった方にしか、ご提供できないのもつらいところです。」
「どっちにしても、今日の夜は、もう来られんなあ。土曜日とか日曜日には、入ってこないの?」
「金曜日の次は、火曜日の入荷になりますねえ。」
「ああ、そんな、火曜日までに、罹ってしまったら、どうしたらいいんやろう?」
「ええ、もう、それは、罹ってしまったときには、ちゃんと養生して治しましょう。予防のためにも、治療のためにも、今は、ご飯をちゃんと食べて体力つけて、しっかり眠って気力を整えておきましょう。」
「はっ。そうかあ。そうよねえ。どうしようどうしようって思ってたら、なんか、それだけで、やられやすくなるよねえ。かかったら、かかったで治せばええやん、って思ったら、なんか力が湧いてきたわ。」
「そうですか。よかったです。でも、本当に、マスクをご用意できないのは、申し訳ないことです。ただ、お客様に、こんなこと、申し上げても仕方ないことなのですけれど、報道も、衛生の専門家の人たちも、もうそろそろ、マスクをしてください、っていう情報ではなくて、マスクが手に入らないときには、こういう対応をしてください、っていう別の提案をしてほしいなあ、と思います。」
「別の提案って? たとえば?」
「そうですねえ。たとえば、タオルや手ぬぐいの中央で鼻と口を覆ってから両端をぐるっとして頭の後ろで結んでマスク代わりにするとか。強盗みたいに、三角の布で鼻と口を覆って、三角の両端を頭の後ろで結ぶとか。イスラム教の女の人みたいに、スカーフをほっかむりして目以外を隠すようにする、とかでしょうか。」
「えー? あははははははー。おかしー。想像したらー。あー。笑ったー。そうよねえ。ないものを、ないない、どうしよう、と思っても仕方ない気になってきたわ。予防するにしても、治すにしても、やっぱりまずは体力気力よねー。ウイルスなんて吹っ飛ばすぞ、って、思うだけでも思うようにするわ。お互い、頑張ろうねー。」
「はい。頑張りましょう。ありがとうございます。」

 うーん。笑い話ではなくて、タオルも三角布もスカーフほっかむりも、けっこう本気で、考えているんだけどなあ。タオルなら、とりあえず、ほとんどの人が自宅に持ってるはずだし。バンダナくらいの大判のスカーフなら頭の後ろで結べるし。そのままでもそれなりに、両方とも内側に小型のハンカチか何かあて布をすれば、さらにしっかり、飛沫は防げるはずだし。悪くないと思うんだけどなあ。だめかなあ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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