みそ文

夜のお楽しみ

 ほぼ毎日、夕食の後、しばらくして、ヨーグルトを冷蔵庫から出して少しだけ室温に戻し、少しぬるくして食べるのは、私の夜のお楽しみだ。お楽しみであると同時に、腸活動への投資でもある。だから、自宅にいるときにはもちろん、旅先でも、できるだけ、ヨーグルト(食べるタイプでも飲むタイプでも)を買って摂取するようにしている。

 先日、旅先の沖縄でも、ヨーグルトを買ってきて、宿の冷蔵庫に保管しておいて、食べた。夫の分と私の分と二個買ってきて、私はその日のうちに食べたけれど、夫は食べずにそのまま寝る。翌日のホテル朝食には、ヨーグルトもついているので、結局夫は、部屋の冷蔵庫のヨーグルトは食べないまま、その日は出かけることになった。この日はもう一泊、このホテルに泊まるので、部屋はそのままで、出かける。

 出かけて、少し遊んで、お昼ご飯を食べてから、さてこれからどうしましょう、と話したときに、夫が「どこでも、みそきちの行きたい所、好きなところに、行こう。」と提案してくれる。「やったー、じゃあね、カフェに行って、お茶飲みながら、ゆっくり何か読んだり景色を見たりして過ごしたい。」と希望を述べる。すると夫は「えー、カフェは、さっきランチについてたコーヒー飲んだから、もう、いいや。」と言う。

「私の行きたい好きなところどこでも、じゃないの?」
「じゃあ、カフェ以外で、どこでも。」
「うーん。じゃあ、ホテルに帰って、部屋でお茶飲んで、バルコニーから海眺める。」
「それ、いいねー。お昼寝もできるし。」
「お昼寝したいんなら、そう言えばいいじゃん。」
「いやいや。みそきちの希望を叶えておかないと。今夜もライブに付き合ってもらうし。」
「えー? またライブに行くのー? 私、今日はいいよー。一人で行って来てー。」
「まあまあ、そう言わんと。ライブ、たのしいよー。うちなー音楽、たのしいよー。ライブ見ながら聞きながら夕ご飯、おいしいよー。」

 などと話しながら、ホテルを目指して運転する。途中で、ふと、ヨーグルトのことを思い出す。

「あ。私、ホテルに帰る前に寄りたいところがある。」
「どこ?」
「スーパー。」
「何買うの?」
「ヨーグルト。今夜のぶんの私のヨーグルト。それにこっちのスーパーの品揃えがどんなのかも見たいし。」
「ヨーグルトなら、部屋の冷蔵庫に残ってる俺の分、食べていいよ。買わなくても。お店の品揃え観察は、今日でなくても、また明日でも明後日でも、ゆっくり立ち寄ったときにすれば?」
「え? ヨーグルトくれるん? いいの? ありがとう。じゃあ、そうする。」

 そしてホテルに辿り着き、部屋でゆっくりお茶を飲み、ソファに腰掛けて本を少し読み、風吹きすさぶ海を眺める。しばらくすると眠気が訪れ、ベッドにもぐりこみ、眠る。どれくらい寝たんだろう。目が覚めると、日差しが少し夕方っぽくなっている。まどろみながら、少しずつ、眠りの世界から自分の体に戻ってくる。私が起き出したのを見て、夫が私に声をかけてくる。

「昨日買ったヨーグルトのスプーンって、どこに置いてあるん?」
「え? ヨーグルトのスプーン? えーっと、冷蔵庫の上の、ティーバッグとか入れてるポーチの中にまとめて入れてあるけど、なんで?」
「冷蔵庫のヨーグルト、食べようかと思って。」
「あれ? え? なんで? ヨーグルト、私にくれるんじゃなかったっけ? あれ、夢? 私、昼寝で、寝ぼけてる?」
「うん、あげるって言ったよ。あげる、って言ったけど、やっぱり自分で食べようと思って。」

 わかった。夫は、お昼ご飯の後、きっと、とにかく、すぐにホテルに戻って、お昼寝がしたかったのだ。どこにも行かず、どこにも寄らず。でも、自分の希望としてではなく、私の希望としてそうすることで、「自分もみそきちがホテルでゆっくりお昼寝したい希望に付き合ったんだから、夜のライブに行きたい自分の希望にも付き合ってよね。」という展開にしたかったのだ。お昼寝もしたいし、妻の意向を受け容れた実績も積みたいし、夜のお楽しみであるライブにも行きたいし、彼もいろいろたいへんなのだ。

 私が食べるヨーグルトはどうなったかというと、ライブの帰りにコンビニでちゃんと買って帰ったからだいじょうぶ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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