みそ文

イリュージョン

 私の母が印刷して郵送した「みそ文」を読んでくれている伯父(母の兄)が、ファクスで母に手紙を送って来てくれたようだ。母が、それをコピーしたものを、私に郵便で送ってきてくれた。一枚目上部には伯父からの手書きのメッセージが書かれていて、下部にはおば(伯父の妻)からの手書きメッセージ。内容を要約すれば、「みそ文」が脳の活性化に役立っていますよ、という肯定的な評価であるのだが、それがやや全体的に度を越して表現されているものと思っていただければ。

 一枚目の書き出しは、母の名前(こよみ)を呼びかけるところから始まる。

「こよみさんへ
「みそ文」いつもありがとう。
「みそ文」には、読む人を引きつけるいろいろな魅力があるので、読みっ放しにできないという心持ちになりました。」

 おじちゃん。読みっぱなしで、いいと、私は思うんだけど。

「そこで、その(魅力の)イリュージョンを解析してやろうと取り組んでみました。」

 イリュージョン、て。解析、て。取り組む、て。そりゃあ、たしかに、編集と推敲で、ネタ元とはずいぶん形が変わって、夫からは「みそ文は、捏造だー。俺は冤罪の被害者だー!」と揶揄されることもままあるけれど、今度夫がそう言ったら、小首をかしげて「んふふ。これはね、マジックなの。イリュージョンよ。」と微笑むことにしよう。

「ユニークなあだ名(愛称)と家系図のような絆と本名のつながりは、これで正しいのか、この次、教えてください。マ行がきれいに揃っているのは驚きでした。」

 はて。なんのことだろう。みそ文の登場人物につけている偽名のことみたいだけど、と、手紙の二枚目を見てみる。「みそ文の解析1 愛称と絆」というタイトルの下に、パソコンで図化した家計図が描かれている。父方の祖父母、母方の祖父母から始まって、ツリー(樹木)状に、私の父母、私と弟と妹と、それぞれの配偶者、義実家、甥っ子姪っ子たち、友人欄には友人とその家族の、それぞれの名前が、「みそ文」中の登場人物名で書き込まれている。そして、「まんまんちゃん(お仏壇)」「みそ(私)」「みみがー(姪っ子)」「むむぎー(甥っ子)」「めいちゃん(幼馴染の友人)」「もっきゅん(義弟=妹の夫)」の頭文字が丸で囲まれていて、それが「まみみむめも」で繋がっていて、「マ行が揃っている」のだそうだ。

 知らなかった。日記を書いている本人も気づいていないようなことを解析してくださるとは、おじちゃん「読者の鑑」すぎるよ。マ行が揃っていることも、そんなことに気づいてくださることも、驚きではあるのだが、手紙の続きの一文もさらに驚きだ。

「この調子で、みそ文から、いろいろな手がかりを発見して、解析を試みようと思って、手ぐすね引いています。」

 うわーん。手ぐすね、ってー。こんなところで引くものなのかー。

 そういえば、素人の日記と同列に並べるのははばかられるけれども、昔読んだ、原田宗典さんのエッセイで、原田さんの小説の一部が国語の試験問題に使われたとき、原田さんも実際に自分で問題を解いてみようとしたところ、あまりにも難しすぎて回答困難であった、という話があったような気がする。試験問題の中の「この文における作者(主人公だったかも)の意図を次の中から選びなさい」に至っては、「次の中」の選択肢に原田さん(作者)ご本人の思う内容のものはなく、それでもあえて一番近いものを選ぶならこれかなあ、と選んだものは不正解で、正解として模範解答となっている内容は、「俺も主人公も、そんなことは、これっぽっちも思ってないぜ!」というものであった、とか、そんな話。

 母にメールで「おじちゃんからの手紙を見せてくれてありがとう。登場人物の名前がマ行で揃っていることなど、考えたこともなかったので、たまげました。」と書いたところ、母からは、「年寄りが暇に任せてすることだから、好きにさせてあげてちょうだい。兄さんと姉さん(伯父夫婦)が二人で頭付き合わせて、ああでもない、こうでもない、と、みそ文を繰り返し読んでは、頭を鍛えてくれてるのだとしたら、老化防止にも役立つだろうし、私も嬉しい。」と返事が来た。

 はい。わかりました。伯父夫婦が「おじばか道」「おばばか道」を驀進してくれる、そのことに安心して、私はただ、ひたすらに書くこと、イリュージョンを繰りひろげることが、「姪っ子道」を究めることであるのだろう、ということにいたしとうございます。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

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