みそ文

化粧の早さ

 友人の子「一号ちゃん」が、小学校低学年だったころ。その日は、友人夫婦の出勤と、ニ号くんの保育園登園を、一号ちゃんと私の二人で、見送る。そして、ひとりだけ学校休み(休日にあった学校行事の代休か何か)の一号ちゃんは、近所のお城の公園に、私を案内してくれることになっている。前の日から、その計画を思っては、「くふふ。」と、楽しみでたまらない様子の一号ちゃんであったが、弟のニ号くんが羨ましがって、保育園を休むと言い出すといけないから、と、公園に行くことは、ニ号くんには内緒にしてある。だから、一号ちゃんが「くふふ。」と声を漏らすたびに、母である友人は唇の前に指を立てて、「内緒」という合図を目で送り、そのたびに、一号ちゃんは「はっ」として、「わかってる」の合図を母に返して、「くふふ」を自制していた。みんながちゃんと出かけたあとで、マンションの窓から見える保育園に、ニ号くんが元気に到着した様子も確認する。一号ちゃんは、ニ号くんに秘密を保持していることが、少し苦労だったのだろう。片腕で額の汗をぬぐう格好をしながら、「ふう。やっと行ってくれたー。みそさんー、早く、お城行こうー。」と元気に誘ってくれる。

 私が、「一号ちゃん。申し訳ないけど、ちょっとだけ待ってくれる?出かける前に化粧するから。」と言うと、一号ちゃんは、「えーーーー、いいけどー。」と、不満げである。私はいつものように、約五十秒で、さらさらと、化粧を終え、「たいへんお待たせいたしましたー。行きましょー。」と声をかける。すると一号ちゃんは、「え? もう化粧すんだの?」と非常にびっくりした様子になる。そして、「みそさんのお化粧道具これだけ?」と、私の手のひらサイズのポーチをしげしげ触ったり眺めたり。そのあとで、「私のお母さんのお化粧道具はね、こーんな大きな(膝上サイズ)入れ物に入っててね、時間もすっごくいっぱいかかるのにー。みそさん、早すぎー。」との評。

 お城の公園では、一号ちゃんがブランコに乗ったり、小さな動物園の動物達に釘付けになる様子を、眺めながら、陽の光に目を細めて、ほよよんとした時を過ごす。二人とも、水筒にお茶を入れて持参したものを、ときどき飲んでは、喉を潤す。

 化粧に時間がかかる人もいれば、時間のかからない人もいる。人間は、こうやって、「人それぞれ」を、少しずつ少しずつ、いろんな場面に遭遇しながら、学習していくのかもしれないなあ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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