みそ文

R指定

 六年くらい前のことになるだろうか。香川県に住む友人宅に遊びに行って、泊めてもらったときのこと。私は自分で持参した漫画の本をお布団の中で読んで、枕元に置いて寝た。翌朝になり、友人の本を、いろいろ貸してもらいましょうと、彼女の本棚を物色していたら、私が持参したのと同じ漫画があった。「あー、同じの買ってたんだー。私達、ときどき好みが似てるもんねー。」と、思っただけで、すぐに他の本に目を移す。「それにしても、私が持ってきたのと同じ漫画は、本棚のえらく高い場所に置いてあるな。」と、うっすら思いはしたものの、読みたい本を漁るのに夢中で、そんなことはすぐに忘れる。そして、これと、これと、これを借りて順番に読みましょ、と、ほくほく気分で、朝の紅茶を飲みながら、本をぱらぱらめくりながら、窓越しの陽の光を浴びて、ほうっと、和む。

 友人には、当時保育園児の子どもが二人いて、上の女の子の「一号ちゃん」は、保育園児だけれども、日本語の読み書きが、すでにかなり上手で、次から次へといろんな本を読む子に育っていた。少しくらい難しくても気にしない。わからないことはお母さんに質問して、教えてもらいながら、どんどん読む。そんな一号ちゃんが、私の寝床の枕元に置いてある漫画を見つけて、しばらくじっと見つめている。友人の本棚の高いところに置いてあったのと同じ漫画だ。一号ちゃんは、憤懣(ふんまん)やるかたないという表情で、母である友人に訴え始める。

「お母さん! 私には、この本はまだ読んだらだめ、って言って、高いところに隠したのに、どうしてみそさんは読んでいいん?」

 一号ちゃんが立腹顔で指差す先には、私の枕もとの漫画が。友人は、その本をちらりと眺めただけで、「みそさんは大人やけん、なんでも読んでいいんよ。あんたはまだ子どもやろ。」と説明する。一号ちゃんは、とても不本意そうだけど、「大人はいいけど子どもはダメ、と、お母さんが言うものは、どうやったって、ダメなのだ。」ということも、きちんと理解しているおりこうさんだ。

 そんな友人宅において、当時R指定となっていた図書は、西原理恵子さんの「ぼくんち(全)」。作品全体としては、叙情豊かな名作だと思うのだが、友人としては、作中に出てくる「ピンサロ」だとか「ちんちんくわえて」といった語彙は、保育園児にはまだ不要、と判断したのだろう、きっと。

 そんな「ぼくんち」を、無造作に読んで、枕元に置いたままにしておいて悪かったかな。いやいや、私は大人なんだから、読むのは別にいいんだってば。「ぼくんち」でも、どんな耽美本でも。ただ、本の内容によっては、小さな子どもの目に付くところには、放置しないほうがいいよね、うん。と、その後ひとりで、ちょびっとだけ葛藤したり反省したり。

 教訓。小さな子供のいるおうちでは、その家のR指定基準にも配慮しながら過ごすこと。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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