みそ文

読み間違い道

 広島帰省時の手土産は、和菓子にすることが多い。今回は、生協さんのカタログから、中村屋の「うすあわせ」という、パイ饅頭三種のあんこセットを選んだ。どちらの実家でも「おいしい!」と好評で、よかったよかった、であった。

 私の実家には、弟夫婦用にひとつと、両親用にひとつと、妹夫婦用にひとつ、合計三個、用意する。両親用のお菓子は、まずお仏壇にお供えして、お仏壇に手を合わせる。道中の無事をありがとうございました。おかげさまで、無事に帰ってくることができました。また、これからも、どうぞよろしくお願いします。と、ご先祖様にご挨拶する。

 弟夫婦用のお菓子は、むむぎー(甥っ子)が「今食べたい!」と、すぐに開けて、いっきに二個食べた。ほう。そんなにおいしかったのなら、よかったね。ゆなさん(義妹。弟の妻。むむぎーの母)が、「よかったら、うちに頂いた分、おねえさんも食べちゃったら」と、菓子箱を持って来て、奨めてくれたので、「いやいや、お仏壇にまだあるんよ。それは、ゆなさんちで子ども達と食べて。じゃあ、私は、お仏壇のお菓子をおろしてきて、開けようかしらね」と、お仏壇のある和室に行こうとしたら、みみがー(姪っ子)が、「私も一緒に行く!」と、はりきってついて来て、一緒に座って手を合わせる。目を開けて、お菓子の箱を手に取る。みみがーが、ふと、おもむろに、「ねえ。みそちゃん。かっぱら、って何?」と聞いてくる。

「かっぱら?」
「うん。かっぱら」
「うーん。私が知ってる言葉の中で、その音に一番近いのは、かっぱらい、なんじゃけど」
「かっぱらい、は、何?」
「えーとね、人が持っているものを、素早く盗んで行くことを、かっぱらい、って言うんよ」
「うーん。やっぱり、かっぱらい、とは、違うと思う。だってね、かっぱら、っていうのはね、みそちゃんがくれたお菓子に、そう書いてあったんじゃけん」
「ええ? このお菓子に、かっぱら、って書いてあったん?」
「うん。私、さっき、見たもん。おにいちゃんが食べようた(食べていた)のが、かっぱら、じゃったもん」
「うーん。それは、どれじゃろう?」
「こっち、こっち」

 と、みみがーが誘導してくれる居間に戻り、既に開いている菓子箱の中のひとつ(一列)を指さして、「ほら、これ、見てみて」とみみがーが言うところを、見てみる。

「ねえ、みみ。これは、かっぱら、とは、書いてない、と思うんよ。もう一回、ゆっくりでいいけん、落ち着いて、字を一個一個、読んでみんちゃい」
「これよ。かっぱら。いいよ。読んであげる。聞いとってよ。か・ぼ・ち・や・あ・ん。あれ? かぼちゃあん、って書いてある。かっぱら、じゃない」
「そうみたいじゃね。かぼちゃあんの意味はわかる?」
「うん。かぼちゃのあんこじゃろ?」
「そうそう」
「なんで私、かっぱら、って、思うたんじゃろう」
「それはね、読み間違い、じゃね。言い間違いや、聞き間違い、の仲間で、読み間違い、っていうのも、あるんよ」

 世の中には、いろんな間違いがあるけれど、この手の間違いは、芸としては悪くないと思うよ。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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