みそ文

新年のお告げ(前編)

夫の実家の両親は、毎年元旦になると、ちょっと遠くのお寺まで、初詣に出かけてゆく。義父が信頼する尼さんのお経を聞いて、新しい一年を占ってもらい、そのお告げを持ち帰る。義父は張り切って、毎年小さな録音機に、お経とお告げを録音して、お昼過ぎに戻ってくる。

何年前のことだろうか。初詣から帰ってきた義母が嬉しそうにこう言う。「じめい(夫の名)の今年の運勢、すごいいいんじゃけん!」義父が録音機を再生する。何がそんなによかったのか。どれどれ。と聴いてみる。

「(お経が流れる)。ごおーん、ごおーん、ちーん(ここまで鳴り物の音)。どうやら じめい(夫のフルネーム)どうやら じめい。九年に一度のチャンス到来ー。九年に一度のチャンス到来ー。こころしてすごせよー。こころしてすごせよー。」

おおおおお! 九年に一度のチャンスってなんだー?

母はとても嬉しそうだ。「ねー。すごいいいじゃろー。なんかええことがあるんかもしれん。」

そうかなー。たのしみだねー。夫もちょびっと嬉しげだ。

父が「わしらのはきれいに録れんで、何を言いようてか(言っておられるか)わからんが、みそさんのはきれいに録れた。」と録音の続きを流してくれた。

「(お経)ごおーん、ちーん(鳴り物)。どうやら みそー。どうやら みそー。口は災いの元ー。口は災いの元ー。こころしてすごせよー。こころしてすごせよー。」

あっけにとられる私。笑いをかみ殺す夫。父と母に問うてみる。「このお告げの申し込みは、備考欄に、こいつは口うるさいです、とか書くんですか?」「いいや、いいや。なんも、なんも。名前と生年月日だけよ。」と母。

悠然と茶をすする父。うーん。腑に落ちん。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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