みそ文

さがしもの

広島の実家では、洗濯物干しの場所が、二階の外にある。両親が住む母屋(帰省中、私は、この母屋の二階の部屋で寝泊りする)と、弟夫婦と子ども二人が暮らす棟(今回便宜的に「離れ」と呼ぶ)の、二階部分を繋ぐように、七畳ほどの広さだろうか、屋根付きベランダが設置され、物干し竿が何本もかけてある。母屋からは、二階の部屋から出て行けて、離れからは、居住スペースの二階部分からそのまま出て、それぞれ洗濯物を干せるようになっている。離れの一階部分は、車庫や倉庫になっている。

母屋の洗濯機は、一階のお風呂の脱衣所にあり、離れの洗濯機は、二階のお風呂の脱衣所(といっても、実際は洗面専門スペース)にある。

母のほうは、父と二人の老夫婦の洗濯物は、量も種類も知れていて、最近はもうすっかり、洗濯も乾燥も全部機械におまかせで、「タンブラー(乾燥機)にかけないでください」と表示してある衣類でも、「なんか、ようわからんけど、なんともないみたいじゃけん」と、実際には多少縮んでいるであろうことなど気にすることなく、一緒にがんがん乾燥機にかけていて、洗濯物干し場に洗濯物を干しに行くことは、めっきり少なくなったようである。

一方弟宅では、子ども二人が日々出す大量の洗濯物、水着に何枚ものバスタオル、空手の胴衣などまで、乾燥機にかけていたら、きりのない量なので、義妹のゆなさんは、毎日こまめに、洗っては干し、干しては取り込み、を繰り返している。

私は、帰省中の衣類を、何度か洗濯することにして、実家の洗濯機を借りた。乾燥までいっきにするものは、両親のものと一緒に洗い、乾燥機にかけない衣類は別にして、洗濯だけした後で、ベランダに干していたら、姪っ子のみみがーが離れの二階扉から洗濯物干し場に向かって、「みそちゃーん」と声をかけてきた。

「みみ。おはよう。宿題、がんばりようる?(頑張っている?)(現在進行形で)」
「うん。がんばりょうるんじゃけど、カンド(漢字ドリルの略)はあるけど、漢字ノートがないけん、できんけん、さがしょうる(探している)。みそちゃんもいっしょにさがしてー。」
「どこにあるんね?」
「こっち。こっち。」と離れの子ども部屋に案内される。
「で。漢字ノートは、どんなノートなん?」
「えーとねー、か・ん・じ・の・お・と、いうてかいてあるノートなんよ。」
「他の特徴は?」
「えーとねー、大きさは、これくらい。」と指で四角を描くが、それは「漢字ノート」に限らないサイズであろう。
「うーむ」と、腕を組む私に向かって、みみがーが、かなり偉そうにこう言う。
「みそちゃん。なんで、ノートが、どこにいったかわからんようになるかしっとる?」
「なんでなん?」
「それはね。おしえてあげようか? なんでかいうたら、へやがぐっちゃ、じゃけん。」
「部屋がぐっちゃ、じゃけん、どこにいったか、わからんようになるんなら、ぐっちゃ、じゃないように、きれいにしといたらええんじゃないん?」
「そうよ。」(って、なんでそんなに堂々と偉そうなんだ?)
「あ! あった!!」(ああ。この発見で、部屋の片付けしなきゃがんばる隊は、もういなくなったな。)
「それは、よかったね。んじゃ、宿題できるね。がんばれ。」
「しゅくだいおわったら、あそぼうね。」
「うん。そうしよう。また、後でね。」と、ベランダつたいに、母屋に戻った夏の日。広島の夏は、暑かった。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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