みそ文

鼻風邪と花粉症

毎年、季節の花粉が飛ぶ時期になると、「鼻風邪」の相談を受けることが多くなる。鼻水、鼻づまり、くしゃみ、などの鼻特有の症状だけで、鼻以外の症状はない。痛みも熱も咳もない。そういう場合は、鼻炎薬を紹介する。そうすると、お客様は「鼻炎ではなく、鼻風邪なのだから、鼻炎薬ではなく、鼻風邪の薬のほうがいい」と言われる。

「鼻炎薬の成分は、風邪薬の中に入っている鼻の症状対策の成分だけ抜き出して量を少し多めにしたようなものです。ですから、鼻だけの症状であれば、咳止めも熱さましも痛み止めも飲まなくてもよいので、鼻だけの成分のほうが、ぱしっと効いたかんじがすることが多いです。でも、そうなりますと、お薬の分類は、鼻炎薬、になってしまうんですが、鼻風邪でもアレルギー性鼻炎でも花粉症の鼻症状でも、使う薬は同じなんです。あとは漢方系のものか、そうでないか、も選択肢になりますね。お薬の箱に書けるのは、効能効果としての「症状」だけなので、「鼻水、鼻づまり」とは書けても、「鼻風邪」とは書けないんです」と説明してみる。けれど、それでも、たいていの多くのお客様は、「自分は鼻炎でも花粉症でもない。鼻風邪だ。ほしいのは鼻風邪の薬だ」とおっしゃられる。

「それでは、どうでしょう。総合の風邪薬の中でも、特に、鼻のための成分を、強化してるということを、売りにしているような、こちらや、こちらの、お薬ではいかがですか?」ときいてみながら、そのお薬をお見せする。箱の表には、「鼻水、鼻づまり」の文字が先に大きめに書いてあり、 「ねつ、いたみ、せき」の文字は、小さく控えめに書いてある。あるいは、「鼻水、鼻づまりに」と大きく書いてあり、そのあとに続いて小さく「ねつに効く」、そして再び大きく「かぜ薬」、と書いてあるものも。箱の裏には、「かぜの諸症状(いろいろ)の緩和」と書いてある。これは総合感冒薬のお約束。

「ああ、これがいい。鼻風邪だから」と、熱さましも痛み止めも咳止めも入っているものを選ばれる。それでいながら、「これ飲んだからって、体に悪いことはないんやろ? いらんものは入ってないんやろ?」と訊ねられる。

「お客様の症状の場合は、熱も痛みも咳もなくて、鼻の症状だけが強いので、できれば、鼻の成分だけにした方が、体にとっては、不必要な成分を入れなくて済みますし、代謝の負担も少ないですし、体のためにはよいはずですが、鼻炎薬よりも総合の風邪薬がお好みであれば、必要のない成分については、体に頑張って代謝してもらいましょう。それに、もしかすると、お気づきでないだけで、どこかに少しは、炎症や痛みがあるのかもしれないですし、知らず知らずのうちに軽い咳も出ているのかもしれませんし、だとしたら、熱さましや痛み止めや咳止めが入ったものを飲むことで、ふうっとラクに軽くなったかんじがするかもしれません」と、若干くどめに説明してさしあげてみる。

また別のお客様は、「毎年春先になると鼻風邪を引く」とおっしゃる。「お客様。それは、花粉症ということはないですか?」と、訊いてみると、どうしてか、「いいや。自分は今まで一度も花粉症にはなったことがない。だから花粉症じゃない」と自信を持って言われる。「花粉症は、今までなったことがなくても、あるとき突然症状が出るんですよ」と説明してみても、「いいや。絶対に、花粉症じゃない。今までなったことがないから。春先恒例の鼻風邪だ」と、かたくなに否定される。しかし症状をきいて見ると、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、目の充血、皮膚の痒み。けれど、その方にとっては、「春先の鼻風邪の特徴であって、花粉症ではない」のだそうだ。あくまでも、風邪なのだ。「アレルギー性鼻炎」等、風邪以外の意味の文字が箱に書いてあるお薬はちがうのだ。薬の箱には、「かぜの諸症状」と書いてある必要があるのだ。

この話を夫にすると、彼はなぜか、「そのお客さんの気持ちはよくわかる。自分が花粉症であることは、なかなか認めたくないものなんだ」と、共感を示す。物心付いた頃には既に花粉症症状を自覚していた私には、理解が難しい感覚ではあるが、御意見ありがたく参考にする。それで、最近は、少し言い方を変えてみることにした。いきなり鼻炎薬にいくのではなく、風邪を自称する方には、まずは、風邪薬コーナーを通りながら、「総合の風邪の薬で、鼻のことが書いてあるものなら、どれを使っていただいても、だいたいは、大丈夫なんですけどね」と言ってから、鼻炎薬のコーナーにさしかかり、「症状が鼻だけならば、鼻炎薬を使った方が、効きがいいかもしれません。症状が鼻だけならば、ですね」と言ってみる。そして、総合感冒薬も鼻炎薬も両方紹介した上で、「場合によっては、花粉症の可能性もある時期ですので、しばらく様子をみていただいて、あまり長く続くようでしたら、花粉対策もご検討くださいね」と案内する方法で、お客様の反応を観察中。

ちなみに、風邪を自称するわけではなく、「鼻の薬ください」とおっしゃる方には、最初から、鼻炎薬コーナーをご案内しています。どうぞご安心ください。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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