みそ文

みんな「さちこ」

友人「ゆふちゃん」の父上は、現役世代だった頃、長い間、女子ソフトボールチームの監督さんをしておられた。試合の時にはビデオ撮影もしておいて、自宅でそれを見直して、その後の指導に役立てる、熱心なお父ちゃんなのだ。その日も熱心なお父ちゃんは、試合のビデオを再生していて、そのときたまたま自宅にいたゆふちゃんもそれを一緒に見ることに。

お父ちゃんのチームの何回目かの攻撃。打者の選手がバッターボックスに入る。味方ベンチから声援が飛ぶ。「さっちこー!」「さっちこー!」

ゆふちゃんは、へえ、この子「さちこちゃん」なんや、と思いながら、心の中で応援した。「さちこちゃーん。がんばれー」

場面変わり、次の打者がボックスへと入る。またベンチから声援が飛ぶ。「さっちこー!」「さっちこー!」

へえ。今度も「さちこちゃん」なんや。同じ名前の子が続くねんなあ。と思いながら、ゆふちゃんは引き続き観戦。そして心の中で応援。「二番目のさちこちゃんもがんばれー」

さらに場面は変わって、また次の打者がボックスに。やはり味方からの声援。「さっちこー!」「さっちこー!」

ええええ? 三人目もまた「さちこちゃん」か?  不思議に思ったゆふちゃんは、お父ちゃんに訊いてみる。「バッターの子ら、今の子ら、たまたま全員、さちこちゃんなん?」

お父ちゃんはいぶかしげに、「なんや、それ? だれが、さちこや?」
「ほら、だって、さっきから、ベンチのみんなが、さちこー、さちこー、言うて応援してるやん」
「はあ? そんなん言うてないぞ」
「言うてたって。ほらー」と、ゆふちゃんはビデオを巻き戻し、先ほどの場面を再生する。

「さっちこー!」「さっちこー!」

「ほらな。さっちこー、言うてるやん?」
「ゆふ。それ、さちこ、ちゃうぞ。さあっ、行こー! 言うて、気合入れてるんや」
「さあっ、いこー?」

「さっちこー!」は、「さあっ、行こー!」

お父ちゃんもー。ゆふちゃんもー。みんなー。がんばれー。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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