みそ文

毎日の手紙

姪っ子みみがーのひと昔前の話。みみがーが小学生になってしばらくした頃。彼女はもう、ひらがなに関しては、書くのも読むのも、完全に自由自在になった。書くことの自由自在を彼女は謳歌している。

学校から家に帰ると手紙を書く。クラスメイトひとりひとりにあてて。
「だれだれちゃんは、いつもやさしくにこにこしてるのがとてもいいね。」
「だれだれくんは、はやくはしるのがじょうずだね。」
「だれだれさん。いつもよくあそんでくれてありがとう。」
翌日学校で各自に手渡す。みんな受け取ってくれるけど、返事はなかなかもらえない。

手紙の相手は、クラスメイトに限らない。各学年の上級生にもあてて書く。
「四ねんせいのみなさんへ」と書いた手紙は、通りすがりの適当な四年生に手渡す。上級生も受け取ってはくれるけど、返事はまだもらったことがないらしい。それでも彼女は書き続ける。

彼女と同じ年のころ、私はノートに書き続けたが、手紙に書いて誰かに渡す、という方法は、思いつかなかった。いや。手紙も結構書くほうではあったけど、ときどき誰かひとりにあてて書くことはあったけど、クラスメイト各自に向けて毎日書くということは、全く思いつかなかった。私が書くもののその多くは、よく知っている物語の、思い起こしで自分が語りなおしたものと、創作したその続編。国語ノートに宿題をしたあと、残りページに書き続ける。ノートがどんどんなくなっていく。ノートをいくら買ってもらっても買ってもらってもおいつかない。でもそれは、自分用のノートなので、人が読むことは殆んどない。宿題を採点する担任の先生だけが、唯一の読者だったとおもう。ああ。そうか。そうだったのか。だからだったのか。あの先生が、とあるとき、私に、とある作文コンクールのようなものに応募するように、ほぼ無理やりに作文を書かせてくださったのは、私の止まらぬ書き癖や書き欲のようなものの発露を考えてくださってのことだったのかもしれない。

みみがーの書き癖は、いつまで続くのだろうか。手紙という手段が、彼女の中の何かの発露として、うまく機能していることを静かに願う。ひらがな以外の文字もこれから、少しずつ身につけて、自由自在に使いこなして、「文字の世界」をさらに彼女が味わうことを深く永く期待する。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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