みそ文

むむぎーが釣ったカワハギくん

広島の実家の母は趣味で細密画を描く。

この夏帰省したとき、母の部屋に行ってみると、画材が置いてある机の上に、最近のものと思われる作品が数枚。母がよく描く植物が一枚と、母には珍しく魚の絵が二枚。へえ。めずらしい。魚だ。と、思いながら見ると、画用紙の右下に「むむぎーが釣ったカワハギくん」と書いてある。大きさは、体長二十センチというところだろうか。けっこう大きいな。実物大かな。拡大かな。

そんなことを思いながら、母のパソコンを借りて、メールチェックなどをしてたら、廊下のほうから、どたどたどたどたー、と、複数の小さな人間の足音が母の部屋に近づいてきた。

「やっほー」と、甥っ子のむむぎー。「みそちゃん、きょうとまるん?」と、姪っ子のみみがー。私は「やっほー。泊まるよ。」と応える。

「ねえ。ねえ。むむぎー。このカワハギくん、ずいぶん大きいけど、実際の大きさはどれくらいじゃったん?」
「え? この大きさ。」
「それは、すごいじゃん。ずいぶん大きかったんじゃね。」
「うん。ちょうどこの絵の大きさで、ばあちゃんが、しゅううっ、しゅううっ、って切って、みんなで、ぱくぱくうって、しょうゆ付けて食べた。」
「むむぎー、それは、刺身にして食べた、という意味?」
「そう。そう。刺身。」
「わたし(みみがー)もたべたよ。」
「そう。美味しかった?」
「うん。まあね。わたしはマグロのほうがもっとすきじゃけど。」
「で、むむぎーは、このカワハギくんを、釣竿で釣ったん? それとも釣り糸を手で持って釣るやり方でしたん?」
「手で持つやつ。でも、ぼくが釣ったんじゃないんよ。」
「え? でも、この絵には、むむぎーが釣ったって書いてあるよ。」
「釣り糸を持っとったのはぼくじゃけど、釣ったんじゃなくて、海の中に糸を入れたら、くんっ! て、カワハギくんが勝手にひっかかって来たんじゃもん。」
「それは、カワハギくん、どうしたんじゃろうね。」
「たぶん、泳ぎようたら、ちょうど口のところに針が下りてきて、ひっかかってしもうたんじゃと思う。」
「そうじゃろうか。そうじゃったら、カワハギくん、びっくりしたじゃろうか。」
「そうでもなかったみたい。びっくりしたのはぼくの方。だって、糸入れてすぐに、ぐん、ぐん、って、何もしてないのに、ぐん、ぐん、って、なったんじゃけん。」
「へえ。そうなんじゃ。でも、これくらい大きかったら、だいぶん食べるところあったじゃろ。」
「うん。みんなで食べた。他にもいっぱい釣れたけん、みんなでいろいろ食べた。」
「よかったねー。」

カワハギくん、こんなに大きく成長して、みんなのお腹に入ってくれて、ありがとうございました。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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