みそ文

ふく袋の活躍

肌触りと着心地のよい服が私のお気に入りだ。いったん気に入った服は、何度も何度も繰り返し着る。最近は、これは、と思うと、同じ生地、同じデザイン、色違いで、複数枚購入して、着回すようになった。色違いの制服のような私服体制だ。

少し前までは、実家の父や弟が私に、「ちいたあ(少しは)新しい服、買ええやあ(買えよ)」とよく言っていた。法事で久しぶりに会う親戚のおじちゃんが私に、「みそちゃんは、なんか全然変わらんねえ」と言う。するとそこで弟が、「ねえちゃん。わかっとるか? おっちゃんは、ねえちゃんに、いっつも、おんなじ服ばかり着とるのお、ゆうて、言いようてんで」と、私に解説する。それを聞いた親戚のおじちゃんは、「そ、そんなこと、はっはっはー」と、笑いながら、でも逃げる。

弟に言う。「服買うてるじゃん」
弟が言う。「言い直す。ええ服を買ええやあ」
弟に言う。「肌さわりのいいのを選んでるよ」
弟が言う。「言い直す。ちいと高くて、カッコええのを買いんさい」

むう。カッコよさと肌さわりのよさを同時に求めるのは、結構難しいのだ。

ある年のお正月に、父が福袋を買ってきた。中身は女性用の冬物衣類。父から、義妹(弟の妻)への「お年玉」としてプレゼントらしい。義妹は、「え、私だけ? おねえさんや、やぎさん(妹)には?」と落ち着かなさそう。私と妹は、「それは、ゆなさん(義妹)の。とーちゃんは、ゆなさんにプレゼントしたいんじゃけん、もろうといたらええんよ」と受け取りを促す。ゆなさんは、「ありがとうございます。開けてみます。でも、なんか、私だけが、ええんじゃろうか」などと言いながら、ごそごそと、中身を順に取り出す。

ゆなさんが、「あ。これ、私よりもおねえさんに似合うと思う」と言いながら、一枚のエンジ色のセーターをひろげる。「ああ、もう、だからー。全部ゆなさんが着たらいいんじゃけん。私ややぎに分けてくれようとせんでいいんだってば」と言う私の膝の上に、エンジ色のセーターをのせて、義妹は撤退する気のないやや強い意思を含んだ口調になって、「でも、おねえさん、いっつも同じ服着とってじゃけん、新しい服、着てほしいんです!」と言う。弟が、「ほら、みてみいや、ねえちゃん、ゆなにまで心配されとるじゃないか。ゆなも、ねえちゃんも、ちいたあ、ええ服を着いやあ」と言う。

義妹からありがたく分けてもらったエンジ色のセーターは、その後、何冬も何冬も繰り返し活躍することとなる。     押し葉

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
暮らし (110)
仕事 (161)
家族 (301)
想 (23)
友 (47)
学習 (79)
旅 (16)
心身 (8)

FC2カウンター

検索フォーム

FC2Ad

Template by たけやん