みそ文

肝油

実家の祖母が生きていた頃。

弟はときどき、「カワイの肝油ドロップ」を買ってきて、居間の棚に置いていた。そして居間を通るたびに、思い出すたびに、肝油ドロップを口に入れて、ビタミンAを補給する、というよりは、肝油の味を楽しんでいるようであった。ある日、いつものように、肝油の缶の蓋を開けて、肝油ドロップを摂取する弟に、ばあちゃんが声をかけた。

「おう。しめじちゃん(弟の名前)も、わしの肝油を食べようるんか。ええんで。気にせんと、いつでも食べたらええ。」
「ばあちゃん!! 言うとくが、この肝油は、わしが自分の金で、自分用に買うてきて、ここに置いとるんじゃけえ。ばあちゃんも食べてええけど、もともとわしのものなんで。」
「へっへっへ。そうかいね。まあ、そんなに気にせんと、好きなときに食べんさい。」
「ばあちゃん…」

聞いているのかいないのか。聞こえているのかいないのか。言いたいことは言うけれど、聞きたいことしか聞かないのが、きっと長生きのコツなのだな。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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