みそ文

いろう

出勤して、連絡事項を確認しようと、事務室に出向く。そこで同僚の女性社員(当時推定20才代)が、「わたし、いろうになったんですよ」と言う。

いろう、といえば、胃瘻? 胃に穴を開けるやつ? 嚥下困難やいろんな事情で、口から栄養を摂取できなくなった人が、鼻からのチューブではなくて、お腹に穴をあけてチューブを通して、栄養を摂れるようにする「胃瘻」? 鼻からのチューブに比べると、鼻や喉の違和感がなく、嚥下の練習もしやすいし、会話もラクだという胃瘻(別名:PEG)。

でも、彼女は、まだ若いし、毎日すごく元気に仕事しているし、ふくよかでぴちぴちしてるし、胃瘻が必要な状況だったなんて、今まで全然気付かなかった。毎日一緒に仕事してたのに、全然全然気付かなかった。私の顔がどんどん心配顔に変わっていくのを見た彼女が、「そんな、まだ大丈夫ですよー。来月になってからのことですし」と、私を安心させるような口調で言う。私はたまらず、「でも、痛いとか苦しいとか何か、今までなんともなかったんですか?」と問い返す。

彼女の表情が「あれ?」になる。「えーと、そんな遠くじゃないですし。またここにも寄りますし。異動先は○○店ですから」

「え? へ? いどう? イドウ? 異動? ですか? ああー、よかったー。いろう、胃瘻かと、病気か何かで胃に穴をあけるのかと、勘違いしました。で、え? 異動ですか? いつですか?」
「十月一日付けです。だから仕事ご一緒できるのも、今月までなんです」
「うわあ。そうなんですかあ。じゃあ、あと十日くらいですけど、いろいろよろしくお願いしますね」
「私のほうこそ、よろしくお願いします」

と、同僚同士、語り合う秋の日。私の「聞き違い」は、相変わらず絶好調。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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