みそ文

大家さんの交替

 マンションの大家さんがかわった。これまでの大家さんはもともと左官さんだったらしいと聞いていてマンションの外壁内壁廊下床などの壁塗りはとても熱心な方だったのだけどそれ以外のことに関してはあまり熱心ではなかった。たとえば共用廊下の天井の電球が切れて暗くなった時に管理会社に電話して電球の交換をお願いしても一週間経っても二週間経っても交換してもらえず「まだでしょうか、いつごろ交換していただけますか」と管理会社に確認の電話をするとすぐに大家さんから「そんなに急ぐんですか!」と電話がかかってくることがあったくらいに壁塗り以外のことに関してはゆっくりとしているというかほぼ放置されていた。
 私にとっては共用廊下の電球がちゃんと点灯するかどうかはだいじなことなので切れたらすぐに連絡して交換してもらいたいほうだけど、大家さんと同じように共用廊下の電球はついていてもついていなくてもそれほど気にならない住人のひともいて、うちの両隣の部屋の前の共用廊下の電球はもう一年以上切れたままだけど切れたままでずっと交換されることなく、廊下電球の明るさがあるから帰宅した時にバッグから鍵を出すのもらくだし、宅配の荷物を受け取るときの伝票の内容を確認するのもらくなのに、あんなに薄暗くても平気なひとは平気なのだなあ、と感心しながら、今度うちの電球が切れたときには両隣の電球もずっとまえから切れています一緒に交換してくださいと伝えようと思っていた。

 それが、新しい大家さんにかわりました、という案内の紙が配布されてすぐに、その両隣の共用廊下電球が交換されちゃんと点灯するようになった。両隣だけではなくて、それまでは夜に外を歩いたときにマンションを見上げると共用廊下の電球がついているところとついていないところとが飛び飛びにあるのが見えて、なんとなくここのマンションイマイチだなあ感があった。それが全部の共用廊下の電灯がきちんとついているとなんとなく治安がよさそうというかきちんとメンテナンスされている良好物件なかんじがする。

 夫に「新しい大家さんやる気のあるえらいひとなんかもしれん。ずっと消えたままだった共用廊下の電灯が交換されて廊下が明るくなったんだよ」と話すと「えらくなくてもやる気があってもなくてもそこはきちんとするのが本来の大家だと思うけどな。共益費払ってるんやし」と言う。

 そして新しい大家さんは物置の屋根の修繕をされた。大家さんが直接屋根を交換するわけではなくて専門の業者さんが来て作業をされるのだが、これまでの物置の屋根では実は雨漏りがしていたらしく、工事に備えて各自の物置のだいじなものには工事中の鉄粉がかからないようにダンボールかビニール袋などをかけておいてください、の指示に従い我が家も新聞紙をかけに物置に赴いた時に物置のドアの内側が雨に濡れているのを見て、あら、うちの物置も雨漏りしていたとは知らなかったと気がついた。

 物置の屋根の修繕のあとはマンション外壁のクリーニングと塗り直しが行われるらしく、現在マンションの周りにはぐるりと作業用の足場が組まれており、足場の外側には洗浄剤等の建物周辺への飛散を防ぐためのネットが張られている。足場が組まれた状態では「気分は檻の中だなあ」と思っていたけれど、そこにネットがかかると「気分はカゴの中」になった。このネットがあるせいでベランダに干した洗濯物に当たるお日様が何割が弱くなり、ただでさえ日照時間の少ない地域でさらに日照が少なくなるのは一時的なこととはいえ少々残念ではある。しかしこのネットがあるおかげでちょうどよい雨除けにもなっていて、普段ならこれだけ雨が降ったらもうベランダに干していた洗濯物はベランダに吹き込んだ雨で全部濡れてるだろうなあ、帰ったら乾燥機だけで済むか洗濯し直しになるかどっちかなと思いながら帰宅しても雨除けネットのおかげで洗濯物はほとんど雨に濡れておらず若干湿気た程度で済むというメリットが生じている。ネットがある間はこのメリットをありがたく享受しつつ洗濯に励みたい。

 そして新しい大家さんにはまだまだやる気があるらしく、このマンションの一階入り口の扉がこれまでの手押しで開閉するものから自動扉にかわると工事予定表に記載されていた。これには夫も私も大喜び。特に夫は「山の遠征から帰ってきて両手に荷物をいっぱい抱えた状態で体でドアを開け閉めするのつらかったから自動ドアはうれしいなあ」と喜ぶ。

 ベランダ側の外壁の洗浄と塗り直しの時期にはベランダが使えなくなる日もあるらしくその日は洗濯物を外に干せなくなるけれど、今住んでいるところがどんなふうによくなるのかたのしみにしている。     押し葉

まごころを繰り返す

 自分としてはどちらかというとわりと日常的な繰り返しの話法で特段の変哲もない薬の説明だったのに、中学生の女の子と一緒に来ていたおかあさんが「わぁ、すごくわかりやすく説明してくださってありがとうございます。今の説明なら中学生のこの子でも自分の薬のことがよくわかります。(娘にむかって)な?」とおっしゃり女の子が「うん!」と大きく頷いてくれて、ああ、こんなふうにひとの仕事を肯定的に捉えてとっさにその場で感謝の言葉を述べることができるのはなんと聡いことであろうかとじんわりと感心する。そしてそんな母の柔軟で俊敏な対人対話の姿勢と術を見て育つこの女の子はきっと自分のまごころも他人のまごころも丁寧に取り扱うことができるひとに育っている最中なのであろうとまぶしいような気持ちがあたたかくなるようなそんな思いを懐きつつ「ありがとうございます」と伝える。

 日常的な繰り返しのなかでも自分の仕事と暮らしにできるだけ常にまごころを忍び込ませつつ生きてゆけますことを。     押し葉

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どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

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